2008年09月19日

牛・ホルモン戦争

今日、一連の「事故米問題」で、後5日も任期がない農林水産大臣が引責辞任した。 時事通信社の電子版『農水相臨時代理に町村長官』によると、福田首相も自らの太田大臣の任命責任を認めたそうだ。 個人的感想だが、22日(月)の自民党総裁選を含め、政府として実質4連休後に内閣総辞職する福田首相とすれば「ヤケクソ」なんだろうか。 ただ、そのトバッチリを受ける国民としては、たまったものではないが・・・。

先日記したブログでも、そもそも農水省が「食品と考えていない」と思える輸入米購入行為そのものが問題の根本だと意見したが、実は似たような事象がもうひとつある。 米国産牛肉の輸入だ。 韓国では、現政権が倒れるかと思うほどのデモ・抗議活動が起こった、あの米国産牛だ。

実は日本ではほとんど知られてないが、今、米国とEUの間で米国産牛について「冷戦」が起きている。 韓国で騒乱になったBSE問題ではない。 ご存知のとおり、英国をはじめ、EU域内ではすでにBSE牛が発生しているのだから。 問題になっているのは、牛の生育過程で投与される成長「ホルモン剤」である。 実はこのホルモン剤、女性ホルモンと似た構造なようで、乳癌や子宮癌の多発、乳幼女児の異常成熟(乳腺の膨らみ、異常な早期初潮など)、また、アレルギーの原因など、人体への影響が世界中で報告されていると聞く。 そこで、EUでは、牛へのホルモン剤の使用を全面禁止したのだが、当然、ホルモン剤を投与した米国産牛も全面輸入禁止にしたのだ。 ちなみに、日本では '99年にメーカーが自主的にホルモン剤の承認を取り下げて以降、国内で投与が認められたホルモン剤はない。(逆に言えば投与も残留値の規制もない?)


EU域内での使用はダメなのに輸入品は使用OKだなんて「ダブル・スタンダード」は、EU諸国の国民の健康を考えればあり得ないのは誰でも理解できるだろう。 しかし、これに噛み付いたのは米国である。 自国の生産牛が売れないのだから当然である。 米国とEUの交渉は今も続いている。 ただ、昨今のEUの多くの諸国は自国の「農業」を保護する方向に大きくシフトしており、そう簡単に米国産牛のホルモン剤使用は認めないだろう・・・。

省みて、日本の場合はというと・・・。 EUで問題になっているホルモン剤の使用について、輸入牛には一切規制がない。 米国内の残留基準はあるかもしれないが、日本国内では使用されていないことが前提なので残留基準は無いのだろう。 米国でBSE牛が発生して、米国産牛は生後20ヶ月以内しか輸入させないと制限したため、米国の牛畜産農家は短期で肥えさせるために大量のホルモン剤を投与していると聞く。 国内基準がなければ、どれほどの量のホルモン剤が残留していても輸入に関してはスルーである。 そうであれば大問題ではないだろうか。

そもそも、日本でBSE感染牛が発生してから食用牛は全頭検査が義務付けられた。 ところが、米国の外圧により「生後20ヶ月以下」の条件で輸入を再開し、それに引きずられる形で今年8月から国から都道府県へのBSE全頭検査の補助金が打ち切られた。 これで、生後20ヶ月以内でのBSE発症の可能性に対する検証も事実上打ち切られた。 本当に安全か検証できぬままであり、また、生後20ヶ月以内の牛のBSE検査の技術研究の道も事実上絶たれた。 日本は、生後20ヶ月以内の場合「BSEと確認する方法がない」としてるだけで、BSEで無いとは言っていない。

確かにダブル・スタンダードは自由競争である市場経済にとって良いことではないのは認めるし、するべきではない。 ただ、日本に食品を売り込みたいなら、食に対する「ジャパニーズ・セィフティー・スタンダード」の元で自由競争をしていただきたい。 日本だって、工業製品であれ食品であれ、輸出相手国のスタンダードに沿って商品を輸出してるのだから・・・。 そして、日本政府は、消費者の安全に関わる件に関しては日本のスタンダードを譲ることなく、毅然として諸外国に対応して欲しいと思う。 EU諸国が国民の健康を守るために譲れない条件を死守しようとするように、日本にもその姿勢があれば、今回の農水省が輸入した事故米流通などの問題は起こりえなかったのでは無いか・・・。 私はそう思う。

食の安全に関しても他の件にしても、どこの国、国民のための日本国政府なのだろうか・・・。 良く考えていただきたい。
posted by 少彦梛 at 23:19| Comment(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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