2008年10月25日

腰抜武士の後思案

腰抜武士の後思案(こしぬけぶしのあとしあん)。 臆病な武士(腰抜武士)はイザというときに役に立たず、事後に無益な思案をめぐらすことを表わす、ことわざ。

先日、当ブログの「労働者としては扱われないのか?」で昨今の医療崩壊について思うところを書いた。 その中で「大都市以外の地方都市」では人材不足・医師不足で、過酷な労働条件を強いられてる、とも書いた。 ところが、時事通信社の電子版「24歳看護師の過労死認定」によると、昨年、東京都済生会中央病院において、看護師が宿直明けに意識不明になり過労死したと報じられた。 記事によると、その看護師さんは当時24歳で、担当する手術室はもともと26人態勢だったのが同僚の退職等で18人になり、新人の補充後も人員不足の状態は続いたらしい。 その看護師さんは4月から5月にかけ「25時間拘束」の宿直勤務を8回こなしたほか、土日に働くこともあり、残業は月約100時間だったそうだ。 一般のホワイトカラーの会社員でも月100時間の残業はかなりキツイが、医療現場、しかも人の生死に直結する手術の現場で、かつ、仕事に不慣れな新人の教育もこなしていたのだろうから相当の肉体的精神的ストレスが掛かっていたのだろう。 医療従事者でない私でも、過酷な状況の想像はつく。

しかし、大都市東京の、それも著名な「北里柴三郎先生」が初代院長を勤めたことでも名の通った、東京都済生会中央病院ですら『人員・人材不足』が起こっている。 驚愕的な報道だ。 医師、看護師の人員・人材不足はすでに大都市東京の医療現場すら蝕んでいる・・・。 都内に住む人はその事実を知っているんだろうか?

そして、もうひとつの事件。 脳内出血を起こした妊婦さんが、かかりつけだった産科院が必死に探したにも係わらず、対応できる転送先の病院が1時間近く見つからず、結果として妊婦さんが亡くなるという痛ましい事件が発覚した。 結局、「総合周産期母子医療センター」で「東京ER(総合救急診療科)」にも指定されている『東京都立墨東病院』に受入れられ、帝王切開による出産と、そして妊婦さんの脳内出血の手術が行われた。 しかしながら、残念なことにその3日後、お母さんの方は亡くなったという。 ご遺族の方はもちろんのこと、かかりつけの産科医さんも「もっと早く頭部の処置ができればお母さんの命も救えたのではないか」という想いはお強いだろう。 担当の産科医さんは自責の念にかられているかもしれない。 受入れた都立墨東病院は、昨年末に産科常勤医1名、今年6月に研修医1名が退職したため、7月から土日と祝日のセンター当直医を本来の2人から1人に減らし、週末の受入れ態勢が整っていなかったそうだ。 「リスクの高い妊娠に対する医療、及び、高度な新生児医療等の周産期医療を行うことができる医療施設」であるはずの、しかも人材を集めやすいと思える「東京」の、総合周産期母子医療センターですらこのような状況・・・。 日本の産科医不足は相当深刻なことは間違いない。

詳しいデータがある訳ではないが、医師については、産科医、小児科医、麻酔医、外科医の順で不足しているらしい。 どの診療科も、特に命に係わる緊急時には無くてはならない医師達ではないだろうか? とはいえ、一人の医師を育てるには相当な時間がかかる。 ブルーカラー・ワーカーとは異なり、人が足りないからと募集広告を打てばすぐ集まるといった類のものではない。 日本全体の「医師」というリソース、特に先にあげた4つの科の専門医数には限りがある。 殊更、救急医療においては、このリソースを効率的に、そして効果的に活用する施策を早急に打つ必要があると言えそうだ。 もちろん、医師も人間であるから無理はさせられない。 恐らく、そのためには、リソース管理といった仕組み(システム)作りやカルテの電子化とネットワーク(データ流通)構築等が必要であり、相当のコスト負担が求められる。 千、二千億円では利かない。 場合によっては都内だけでも1兆円超えということも・・・。 ただ、これは、小泉純一郎氏が、厚生大臣時に「医師削減」を閣議提出・決定し、その後、彼が総理大臣の時に医療に関する制度を大幅に変えたことに連なる失政のツケなのだ。 投票という間接的な行動であっても、そういう政権を選択してきた国民がそのツケを払うしかない。 失政のツケは結局税金という形で国民が負担せざろう得ない。 国会議員も官僚も払ってはくれない。 むろん、ツケをお金をかけずに済ますこともできる。 救急医療を切り捨てるという選択肢だ。 その時は、自分の命でその代償を払う場合があることを覚悟せねばならない。 放っておけば、救急医療の状況は今より確実に悪くなる・・・。


閑話休題

一般医療にしろ、救急医療にしろ、医療の現場への対策は焦眉の急の事態にあるのに、今回の妊婦さんが脳内出血でお亡くなりになった事件については「いい加減にしろよ」と思うことが2つある。

まずはマスコミの報道だ。 今回も、奈良県で破水した妊婦さんが17件(だったかな)の病院が受入れなくて亡くなった事件があった時と同じく、センセーショナルに書きたて、事の本質を深く掘り下げた取材をした報道をせず、「また悲劇」などと書きたて悪者探しに終始し、騒ぎ立ててるだけだ。 以前、福島県立大野病院の産科で帝王切開手術を受けた産婦が死亡したことについて、執刀医が逮捕されたことをセンセーショナルに書きたて、それが産科医を目指す医学生の減少といった結果に繋がった、と言われている。 報道が産科医減少といった事態に向かう片棒を担いだという反省はないのだろうか。 今回の報道で、また医師の産科医離れが加速するのではないかと懸念している。 書くなとは言わない。 ただ、重箱の隅をつつくようなことを報道の自由と言うのはいい加減に止めにして、現実を丹念に調べあげる義務と責任を果たした上で、報道の自由を闊歩していただきたい。 特に、大手新聞社やTV局には心すべきだろう。

例えば、ある番組で「産科医1人でも、ERなんだから患者は受入れるべき」という意味合いの発言もあったようだ。 しかし、今回の脳内出血の妊婦さんの処置の場合、ICUとNICUを確保した上で、必要な医師が
 脳外科医:2人
 産婦人科医:2人
 新生児科医:1〜2人
 麻酔科医:1人以上
であったろうと言う方もいらっしゃいます。 この人員が正しいかはともかく、きちんと取材していれば番組内で「産科医1人でも・・・」といったいい加減な発言はあり得ない。 こういう輩は、恐らく、産科医が1人なのに患者を受入れ、患者がもし亡くなれば「なんで受入れたのか」と責める側に廻るのだろう。 残念ながら、今のところ、きちんと取材したと思われる真っ当な報道には接してない。 単に耳目を集めるからといった理由で情報をタレ流すだけでなく、きちんと検証もしてもらわねば、戦争に突っ走る片棒を担いだ報道のニノマエだろう。 
 

もうひとつは、舛添厚生労働大臣と石原東京都知事のクダラヌ論戦だ。

舛添厚労働大臣が記者会見で「周産期医療問題の解決に力を入れてきたのに、このようなことが起きたのは羊頭狗肉だ」とか「医療体制が整備されているはずの東京都でこのような事態が起きたのに、妊婦の死亡から2週間以上も厚労省に報告があがってこないのはどういうことか。とても都には任せられない」と批判したと思えば、(そもそも報告義務なんてあるの?)
石原知事は「東京に任せてられないんじゃない。国に任せていられないんだよ。厚労省の医療行政が間違ってきて、お医者さんがこういう体たらくになった。(中略)こういう事態つくったの国じゃないですか。国に任せていられないんだよ。誰がやったんですか?国に任してたからこういうことになっちゃったんだよ。反省してもらいたいのは厚労省で、今担当のその大臣様だね。物言うならもう少し冷静に頭冷やして物言った方がいいと私は思いますけども」。

まあ、どちらも呆れてモノが言えません。 まるでガキの喧嘩のようだ。 今回の都立墨東病院の件については、厚労省も都も、両者ともイザという場合の備えに全く役にたたず、事後に無益な言い争いをしている・・・。 まさしく、タイトルにした「腰抜武士の後思案」そのものだろう。 石原知事にいたっては、今回妊婦が脳内出血を起こしたことを「レアケース」とまで言い切ってる。 ホントにレアケースなのか? 確か、昨年8月にも妊婦が出産時に脳内出血で亡くなったというニュースがあったはずだ。 その時も20近い病院に受入れを断られていたと記憶している。 症例は少ないかもしれないが、特殊な例(レアケース)と、少なくとも専門外の石原知事が言うことではなかろう。 少し話が逸れたが、お二方とも今回の件の責任者であることを自覚されてるのでしょうか。 また、国民、あるいは都民の命を預かる立場にあるのだから、お互い責任の擦り合いのようなことを言ってる場合じゃないことぐらい分からないんですかね。


最後になりましたが、今回取り上げさせていただきました、お亡くなりになった看護師さん、妊婦さんには、ご冥福をお祈り申し上げます。
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posted by 少彦梛 at 04:42| Comment(4) | 医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月17日

日本の新たな国際貢献の有り方

読売新聞の電子版「新テロ法案、衆院特別委で論戦スタート」にあるとおり、今日から「新テロ特措法」、所謂OEF−MIO(海上阻止行動)に対するインド洋上での参加艦艇への給油・給水活動を1年延長するための法案の衆議院テロ防止特別委員会の審議が始まった。 麻生総理は、「補給活動は、日本が国益をかけて日本自身のためにしてきた活動だ。」と言っていたが、そもそもこの給油活動をやめたらどんな「国益」が守れないのか? どんな「国益」が掛かっていたのだ? 彼の発言は勢いがあるように見えるだけで、いつも肝心のところが分からない・・・。 実を言うと、今日は体調が芳しくなく仕事を休んだのだが、体調も悪いし、しかしすることもないので床の中から国会の委員会中継をずーっと見ていた(苦笑)。

今回の委員会審議で、特筆すべきと思う政府回答は、河村建夫官房長官が、現在行われているテロとの戦いである不朽の自由作戦(OEF)とそれに伴う海上阻止行動(OEF-MIO) は「国連憲章第51条基づく、米国の自衛権の行使とそれに伴う集団的自衛権の行使である」と答弁したことだ。 つまり、日本の給油活動の後ろ盾である「新テロ特措法」の目的中に「国連安保理決議の第1368号、第1373号、第1776号」をわざわざ持ち出しているが、給油活動の実態は「集団的自衛権の行使」であることを間接的に認めてしまったことだろう。 つまり、給油活動は国際貢献ではなく、米国を始めとした連合国の自衛権行使への参加であることははっきりしたのではないか? 日本は集団的自衛権は行使できない、というのが政府と与党自民党の見解だ。 この矛盾を報道各社がこの矛盾を取り上げ報道しないのは、私には不思議でならない。


また、今回の委員会で民主党が提案してる「アフガニスタン復興支援特別措置法案」も同時に審議される。 私自身、この法案を読んだ訳ではないが、この法案の主旨(特徴)は以下のとおりと聞く。
 ・抗争停止合意の形成の支援及び合意成立後の復興支援活動の実施
 ・計画実施前の国会承認と国会への報告義務
 ・アフガニスタン人間の安全保障センターの設置
 ・自衛権の発動及び国連憲章第7章のに係る対応措置に関する基本原則の制定
  ( 安保理決議第1674号(2006/04/28) 「武力紛争と文民に関する決議」(武力紛争における文民の保護)に基づく活動)
 ・国際の平和及び安全に対する脅威に対し直ちに必要な措置を執るための組織設置の検討
 ・国際連合の決議に基づくテロ対策海上阻止活動に対する参加の検討(→海賊行為の多発)
  ( 安保理決議第1816号(2008/06/02)安保理決議第1838号(2008/10/07) 「ソマリア情勢に関する決議」(ソマリア沿岸、アデン湾での海賊行為の阻止)活動など)

これらほとんどは国連の安保理決議に沿って国際貢献活動を実施すことに主眼に置かれてる。 また、アフガニスタンの国内の安定がテロ活動を抑制する効果があるとし、現在アフガニスタン大統領が軍事力によらず、ターリバーンとの和平への道を模索していることを後押しすることを目指しているらしい。 委員会での民主党案への質問にも「アフガニスタンの生活再建こそがテロ対策」「アフガニスタンの和平には『油』(洋上給油)でなく、『水』(を供給して農業の発展)を」と民主党・犬塚直史氏が答弁してきた。 つまり、ペシャワール会などが行ってきた渇水対策やケシ栽培から食糧生産への転換活動などの人道復興支援を日本国が行うことで、米軍やNATO軍がテロとの戦いで巻き添えにしてきた一般市民の憎しみからの負の連鎖を断ち切り、テロの温床を無くして行こうということらしい。

もちろん、仮にこの法案が通って実施する段階になれば、さまざまな課題も想定される。 例として、イラクの復興支援を行った際には、現地の人からは「雇用」を期待されたが希望に添えなかったことや、せっかくの水道の給水施設を造っても運用・維持管理をする技術者の育成を怠ったため満足に水道施設の運用できなかったなど、多くの事例、問題があった。 また、アフガニスタン内で武装勢力に襲われた時、「安保理決議第1674号(2006/04/28)」に乗っ取って行動するとはいえ、陸自の銃火器の使用についての議論など、クリアすべき点はあると思う。 もしかすると、「ペシャワール会」の伊藤和也氏に続き日本人の犠牲者が出ることがあり得るのも確かである。 しかしながら、日本がとるべき新しい国際貢献のあり方として、民主党の法案を基に国民が議論することは大切なことではないだろうか。


今回、もうひとつ衆議院テロ防止特別委員会の審議で特筆すべきと思う、民主党の長島昭久氏が質問した、日本のシーレーンにも関わる「ソマリア沿岸、アデン湾での海賊行為の阻止活動」についての論議もあったのだが、これについては次回に述べたい思う。


最後になりますが、エチオピアで拉致され現在ソマリアで拘束されていると言われている国際NPO「世界の医療団」の日本人医師とオランダ人看護士が無事に、また、早期に開放されることを心よりお祈り申し上げます。
posted by 少彦梛 at 23:53| Comment(0) | 軍事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月16日

お詫び

これまでの記事において、自ブログ内のリンク先設定に誤りが数件ありました。 謹んでお詫びしますとともに、修正致しましたことをご報告いたします。
また、報道各社の電子版につきましては、報道各社の方針(掲載期間など)により記事(リンク先)が削除される場合があります。 どうかご了承ください。
posted by 少彦梛 at 12:43| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月13日

給油活動は国際貢献になっているのか?

ロイターの電子版「対テロ新法改正、審議入り」によると、先日10日に、インド洋での海上自衛隊による給油活動を延長するための「テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法」改正(延長)案について政府側が趣旨説明し、審議入りしたそうだ。 早ければ、参議院で否決後、衆議院の3分の2条項を使って24日に再可決、成立する見込みという。 また、時事通信社の電子版、「アフガン支援、給油に専念」によると、アフガニスタンへ戦闘部隊を派遣していない日本やNATO加盟国に対し米国からアフガニスタン軍育成のために少なくとも1兆7千億円の拠出を求めている件について、「給油活動継続が現在の最大の仕事で、これを確実にやることが一番大事だ」と述べたらしい。 別の報道では、9日にキーティング米太平洋軍司令官と会談した浜田靖一防衛大臣も、「活動の意義を国会、国民に丁寧に説明して支持を得るよう努力したい」と応えたという。 少なくとも、政府・自民党はインド洋上での無料給油スタンドを継続する気マンマンのようだ。 ただ、旧テロ特措法の審議の際も、現行の所謂新テロ特措法の可決にあたっても、安倍政権や福田政権が国民に丁寧に説明してきたとは思えない。 昨年の各報道機関の世論調査でも、約6割の国民が、海上自衛隊のインド洋上での給油活動継続に反対だったと記憶しているが、それが証明している。 今回も「国民が納得できる」説明は期待できまい。


実際のところ「テロ対策海上阻止行動」がテロとの戦いに功を奏してるとも思えない。 事実、IMFの報告では、'07年のケシの生産量は、ターリバーンがケシ栽培を禁止した'01年の44倍の8200トンにのぼるという。 国際市場に流れているアヘン(ケシから採れる)の90%はアフガンからのものと言われ、ターリバーンの資金源になっている。 このケシにより豊富な資金を得たターリバーンは武器を調達している。 そして '05年以降、アフガニスタンのテロ活動は再びターリバーンが勢力を盛り返し、治安も儘成らない状況だ。 英国軍の駐アフガニスタン最高司令官のカールトンスミス准将が、ターリバーンとの戦闘について「我々はこの戦いには勝てない」と悲観的な見方を示した、と英紙サンデー・タイムズ(電子版)が報じているという。 これらの状況は、テロ対策海上阻止行動が結果として役に立ってないことの裏返しではないだろうか。

また、新テロ特措法も直接的な実績を見ても首をかしげざろう得ない。 情報自体があまり公表されてないから分かり難い面もあるが、防衛省の資料や、昨年のテロ特措法(旧法)改正案が審議された時に提出された資料「テロ対策特別措置法に関する資料」(270P)を読むと、効果が無いことが読みとれると思う。 一部、'04年(H16)を抜き出すと、海上阻止行動(OEF-MIO)艦船の臨検で検挙されたのは以下のとおりである(防衛省公開分)。
 ・大麻約280万ポンド(1270トン?、末端価格約11億円)
 ・ライフル・軽機関銃540丁、同弾薬12000発、14.5mm機銃2丁、同弾薬84発
この間、海上自衛隊が給油したのは、約5万トン、約20億円。 少し時期はズレるが '04年度に海上自衛隊が給油活動に要した費用(歳出)は合計約82億円だ。 海上阻止活動に参加してる他国の艦艇の艦数は不明だが、「大金を投じて、成果はたったこれだけ?」という感が否めない。

それから、日本の給油した燃料が本当にテロ対策のみに利用されてるかも疑問だ。 新テロ特措法は、給油の条件を「テロ対策海上阻止行動」に使われるものに限定している。 ただ、これは参加国からの申請を信じるしかない。 だが、かつて米国の補給艦を介して米空母キティホークに間接給油されていたが、その時、実はキティホークがイラク戦争参戦の命を受け活動していたのではないかとの疑惑もある(米軍は否定。給油時はあくまでテロ対策海上阻止行動中であったと強弁している。給油後イラク戦争に実戦参加。)。 他にも '04年度にはパキスタンの軍艦へ約5300kLの給油を行っている。 米軍、仏軍に次ぐ給油量である。 そのパキスタンは、カシミール地方の領有権をめぐって対立するインドとは現在停戦状態であり、対インドを想定したパキスタン海軍の軍事演習に流用されている・・・可能性も考え得る。 当時のパキスタンはムシャラフ大統領統治下にあったが、ムシャラフ大統領は軍出身(統合参謀本部委員会議長)であるし、パキスタンの情報機関・3軍統合情報部はターリバーンに資金支援しているという報道もされている。 極めて不透明な国であるのは事実だ。 

OEF(Operation Enduring Freedom・不朽の自由作戦)とその作戦の一部である海上阻止行動(OEF-MIO) は、国連での位置付けは、あくまで国連憲章第51条基づく「米国の自衛権の行使」とそれに伴う集団的自衛権の行使である。 世界各国は、給油を含むロジスティクスも軍事行動と認識している。 つまり、インド洋上での海上阻止行動に参加する艦船へ給油することは、他国は「集団的自衛権の行使」に他ならないと認識していることとなる。 日本が国内で「集団的自衛権」に当たらないと強弁しても、それは国内だけ通用する言い訳であって、日本政府が普段好んで使う言葉である「グローバル・スタンダード」ではないことを銘記していただきたい。 実際、昨年、当時の防衛大臣であった小池百合子氏がパキスタンへ行き、記者会見で「給油活動を中止することは国際社会やテロリストに「ネガティブなメッセージ」を与えてしまう」と発言。(小池氏はイスラム圏であるエジプトのカイロ大卒というが、イスラム社会であるパキスタン国内でこのような発言をした場合、イスラム原理主義者へ与える影響が大きいことを考えはしなかったのか?)

その後、アフガニスタンで平和貢献活動をする民間団体・NGOは現地市民による敵対感が強くなり活動を縮小せざろう得なくなったらしい。 また、パキスタンでの小池氏の発言が、8月にNGO・ペシャワール会の伊藤和也さんが拉致された原因、または、遠因になったのではないかとも言われている。 実際AFP通信の電子版「パキスタン情報機関が関与か」でも、伊藤氏の拉致にパキスタンの情報機関の関与が取りざたされている。 他の報道でも、パキスタンのイスラム原理主義者の関与が取りざたされているのも事実だ。 少なくとも、これまで敵対視されていなかった日本人も、現在ではパキスタン・アフガニスタンの両国の国民からは日本も米国に加担(集団的自衛権を行使)する敵国の一員と見る市民がどんどん増えているようだ。


軍事力ではテロは解決できない。 先の英軍准将の言葉も、英軍が、アイルランド独立闘争として対英テロ闘争を繰り返していたIRAを武力だけで封じることができなかった経験を踏まえての発言ではないか。 武装闘争に対して軍事力はあるていど必要なのは分かるが、米国のように軍事力一辺倒では解決しない。 強大な軍事力投入によるテロとの戦いが逆にテロ活動を拡大している結果になっている。 米軍などの軍事行動の犠牲になったアフガニスタンの一般市民が、 '05以降の累計で3200人を越えているという調査報告もある。 犠牲になった民衆の身内の多くがテロ活動に身を転じたり、あるいはテロリストを匿うのが現実として起こっている。 アフガニスタンの副大統領が、和平に向けてターリバーン側と交渉を開始したらしいが、ターリバーン側は「外国軍がアフガニスタンから出て行かない限り和平には応じられない」と主張しているという。 テロとの戦いと称する軍事行動がアフガニスタンの和平を阻害しているという一面も存在する。 なにも、軍事力を全否定するつもりはない。 テロリストによるゲリラ活動(自爆テロ含む)などの武装闘争から民を守るには、軍事力も必要だ。 ただ、テロリストを攻撃する場合は、必要以上の軍事力行使(空爆など)は一般市民を巻き込み、それが結果として新たなテロを生む。

閑話休題

日本も、自衛隊の補給艦、護衛艦の派遣といった、米国の行う軍事力行使優先のテロとの戦いに追従する道をもう一度見直し、新しい手法によるテロとの戦いを議論し、模索する時期に来ているのではないでしょうか? 合わせて、国際貢献に寄与しない、もしくはその度合いが低いインド洋上での海上阻止行動の補給活動はもう止めるべきだろう。
posted by 少彦梛 at 13:33| Comment(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月10日

労働者としては扱われないのか?

朝日新聞の電子版、「林を抜けると一面ピンク」によると、長野県箕輪町で「高嶺(たかね)ルビー」という赤いソバの花が満開だそうだ。
見ごろを迎えた赤ソバの畑=長野県箕輪町、加藤丈朗撮影.jpg
加藤丈朗氏撮影
蕎麦好きの私とすると、11月下旬頃から出回る新ソバで打った薫り高い蕎麦が今から楽しみなのだが・・・。 ただ、ここ数年、その時期出かける時間が取れなくて、お目当ての蕎麦になかなかあり付けない(涙)。 

まあ、時にはそんな楽しい話題も書きたいのだけれど。 昨日は日経平均株価が9千円割れ寸前でしたが、翌日の今日にはもう8千円割れ目前。 はてさて、どこまで下げ続けるのでしょうか。 明日からG7の財務相・中央銀行総裁会議があるそうだが、私としては然したる成果は期待できないと見ている。 まあ、この話題は日経平均が7500円割れ(汗)するか、政府から新たな金融政策等が出た時にしたいと思います。


今日の本題は、昨今の医療崩壊について。

毎日新聞の電子版「女性産科医、妊娠中も当直減らず」によると、法律で義務付けられた育児休暇制度が無いなどのため、産婦人科で働く女性勤務医が妊娠・育児中であるにもかかわらず、当直(夜勤)を続けざろう得ない状況であり、当直回数を減らすなどの対応すらしていない病院が5割強もあるという。 確かに、産科医そのものの減少に拍車がかかっており、人材不足がその背景にあるのだろう。 出産をする妊婦さんも、自分の担当医は男性であるよりは同じ女性を望むだろうから、経営する立場の病院側としても女性産科医に働いて欲しいという一面があるのかもしれない。 しかし、何故産科医はこれほどの人材不足になったのだろうか。 日本の出生率、つまり生まれてくる赤子の数は年々減っているのだが、それに見合う以上に産科医のなり手が減っているのだけではないと思われる。 インフォームドコンセントやそれに付随する同意書の作成などなど・・・仕事量も増えたのだ。 患者一人当たりにかかる時間も増えていることも大きな要因の1つと思われる。

だが、勤務医は労働者として見られていないのか?

実際、出産は昼夜問わずだし、必ず予定日に出産になる訳でもない。 ましてや、母体にも胎児にも気を配らねばいけないのだろうから、医師としては相当の重圧があると思う。 それ故、産科医にはなりたくないと思う医学生も多いのだろう。、更に拍車をかけたと思われるのが、福島県立大野病院で帝王切開を受けた女性が亡くなった件で、マスコミなどがセンセーショナルに報道し、執刀した産科医が業務上過失致死と医師法違反の容疑で逮捕、起訴されたことだろう。 この事件以後、ますます産科を敬遠する傾向が強まったとも聞く。 しかしながら、事は産科医に限らず、医師の総数そのものが減っているのだという。 もともと厚生省は '80年代中頃から医大の学生の定員を絞ってきた(医師過多で収入が落ち込むことを恐れた日本医師会が圧力をかけた?)。 しかも '90年代後半の頃だったか、閣議決定により医療費抑制施策として(直接はそう書いて無いが)大幅な医師数の抑制が行われたと記憶している。 当時の厚生大臣は小泉純一郎氏だったはずだ。 所謂、医療費亡国論の始まりだ。 医療費抑制に一番手っ取り早いのは、医師の数を減らすことだ。 医師がいなければ患者は病院に掛かることができず、結果として健康保険を利用できないから医療費が減る。 暴論のようだが、事実そうなのだ。 例えば、風邪をひいても医者にかかられず市販薬で済ませてもらえばいいのだから・・・。 

医師不足や医療崩壊など世間が騒ぎだし、2年ほど前になって、厚生労働省は「医師の需給に関する検討会報告書」を出した。 大まかに言うと、ここでは確かにマクロ(総数)でみられる医師数は需給バランスとしてみると不足していることを認めつつ、 '22年には需給バランスは均衡するという。 そして、 '40年には概ね1万人程の医師過剰になるような書きぶりだ。 ちなみに、この報告書は読んでて頭が痛くなるくらい難解です(苦笑)。 ただ、どうやら厚労省としては、医師数が不足してるのではなく、都市と地方間、それぞれの専門分野間において需要供給のバランスがとれていないことを強調したいようだ。 それを考慮に入れて読むと、この報告書自体が机上の空論に思える。 第一、検討会のメンバーを見ても、九州(恐らく福岡)と茨城県在住と思われる2名を除き、全員東京で働いているような方々だ。 医療現場の実態をどこまで理解しているのかは私には甚だ疑問である。


閑話休題

実際、女性の産科医に限らず、また、男女を問わず大都市以外の地方都市では人材不足・医師不足で、過酷な労働条件を強いられてるのは確かだ。 地方自治体などと共同で、中核病院自身、また、各病院間の連携、などといった努力は行われているがそれにも限界がある。 地域医療の維持は、医師および看護師個人に大きな負担を強い、つまり、個々人の頑張りに負ってるところが大きい様に思う。 それ故、「医者の不養生」という言葉もあるけれど、養生したくともできない医師は毎年増加しているのも現実だ。 体を壊して医者を辞めざろう得ない方も多いと聞く。 医師も人間だ。 無理を強いれば過労で倒れるし、病気にもなる。 私自身の身近でも、歳もさほど違わない内科の私の主治医が、昨年、突然心筋梗塞を起こし亡くなった・・・。 当直を多くこなすと当然生活は不規則になるし、自分の体調管理に裂く時間すら取れない・・・。 過酷な医療現場ほど、例えば産科医のように、辞める医師は多く、残った医師への負担も膨らむこととなろう。 負の連鎖が断ち切れないでいるのだ。 しかも、現行の研修医制度が施行され、人員不足に落ちいった医大病院が地域の病院から派遣医師を引き上げたことがそれに拍車をかけたのも周知の事実だろう。

厚労省は、昨年「医師確保対策について」をまとめたが、実情に合った施策かは疑問に感じる。 内容はいわゆる補助金行政であり、その効果についても甚だ疑問に思う。 また、今回の補正予算では当直勤務の医師に直接手当てを支給(病院へではない)することも盛り込まれたが、地方の人手不足の現場からは「同情するなら医師をくれ」といった想いではなかろうか。 労働行政も司る「厚生労働省」である。 医療行政だけでなく、勤務医や看護師が一般の労働者と同程度の「労働環境」で働けるよう、逆にいえば、病院の経営サイドが法律で義務付けられた労働条件を整えることができるよう、対処することは急務であると思う。 また、既に医師全体の3割を占める女性医師への労働環境改善は特に必要だと思う。 助産師さんの増員や、医療秘書の増員など、医師でなくともできる業務を賄う人員養成も必要だ。 そして、出産などで退職を余儀なくされた(子育てしながら勤務医を続ける労働環境にないため)女性医師の勤務医復帰の道を開くための研修制度など、特に地方で、早急に対応して欲しいと思っている。 

しかしながら、行政任せではなく、我々患者サイドも自ら地域医療を守るために行動すべきであろう。 昼間は待たされるからと夜間外来に行くなどといった、コンビニ受診をやめる。 ホームドクターを持ち、病院の掛け持ちをしないことにより無駄な薬の処方を避け、医療費を抑制する・・・、などだ。

医師は決して病気を治してくれるのではなく、患者自らが病気を治そうとする力に手を貸してくれる存在なのだと思う。 医療をひとつのサービス業と観る向きもあるが、それは間違いだ。 「患者と医師はパートナー」という自覚が自らになければ、治るものも治らない。 相手に無理を強いれば、パートナーは居なくなってしまうこと(=地域医療の崩壊)を我々は肝に銘じたいと思う。 もちろん、「医は算術」といったような病院や医師がいないか監視し、そういう輩を許さない、排除することも必要だ。 


最後に、兵庫県の県立柏原(かいばら)病院で、小児科が廃止になりかけた際、地元のお母さん達が立ち上がり、地域の小児医療を守った「県立柏原病院の小児科を守る会」を是非紹介しておきたい。
posted by 少彦梛 at 22:46| Comment(0) | 医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月09日

遅すぎる政権与党の対応

昨日、日経平均株価が1万円を割り9200円近くまで下落し、今日は多少の反発して株価は上がるかとも思ったが、終値は更に下落し9100円台となった。 9000円割れは目の前だ。 先月、『リーマン・ブラザーズの経営破綻』(9/16)の記事に「次の総選挙(衆院選)の投票日前までに日本の株価(日経平均)は1万円を割る」気がすると書いたが、麻生総理は衆議院の解散すら行えずに、現実となってしまった・・・。

今日の読売新聞の電子版「首相が追加景気対策を指示」によると、今日の午前中に麻生総理が自公与党の両政調会長に「国内の株価下落などを受け、追加的な景気対策を取りまとめるよう指示した」らしいが・・・。 対応が遅すぎるのではないか。 そもそも、リーマン・ブラザーズの経営破綻の記事を書いたときにも、当時の町村前官房長官や与謝野経済財政担当大臣の発言について「悠長なことを言っていられるはずは無い」と記したが、あの時に日本への影響に対する対策案を検討していればもっと早く手を打てたはずだ。 まあ、今更言っても詮無きことだが・・・。 ただ、今回の追加景気対策案も然したる効果は見込めないだろう。 検討されるであろうと言われる、〈1〉証券優遇税制拡充、〈2〉企業の設備投資を促す減税、〈3〉住宅ローン減税の延長・拡充・・・などが柱と云われるが、果たしてどのくらい経済へのカンフル剤としての効果があるかというと、甚だ疑問である。

例えば「証券優遇税制拡充」も、株の配当を300万円(未定)まで非課税にするというが、今回の株式1万円割れ以前に多くの企業が経常利益見込みを大きく下方修正していることから、そもそも「配当があるかどうかも分からない」状況だった。 そこへ今回の株暴落だ。 企業収益の落ち込みは、先の収益見直し時から更に大きくなるだろうから配当が見込める企業は極僅かではないか。 とすれば、今回の優遇税制案が株価安定・上昇、株購入に有効な手立てとなるとは思えない。 「設備投資減税」も、GDPの6〜7割を占める一般消費の回復見込みがなければ、メーカー側も「減税」があるというだけでは設備投資に踏み切り難いだろう。

「住宅ローン減税」にいたっては、この減税を延長したところで新規住宅建設の増加には繋がるまい。 そもそも姉羽氏の「耐震偽装問題」を発端に、昨年、建築に関する法改正をし偽装チェックを厳重にしたまでは良いが、法の施行に向けての準備を国交省が怠ったため、「建築確認申請」が積滞し、多くの住宅は建設着工そのものができない状況に陥った。 そのため、昨年度の住宅着工件数は前年度比3割減だったとも聞く(要確認)。 しかも、確かこの10月からだろうか、一級建築士も「構造設計」と「建築設計」の2つの資格が新たに必要となったらしい。 つまりこの新たな2つの資格を取得しないとこれまでとおり設計の仕事ができないから、勢い、建築士の人員も減るだろう。 ましてや今年に入ってからは金融庁が銀行各行への監査(資本比率など?)を厳格化したらしく、貸し渋りが横行しているとも聞く。 住宅ローンを借りられなければ、家は建たない。 住宅建設については行政の引き起こした「官製不況」という感が否めない。 加えて首都圏では1万戸以上の分譲マンションの在庫があると聞くし、とてもじゃないが「住宅ローン減税」の延長によって住宅着工件数が増えるとは思えない。 着工件数減少への歯止めにすらならないかもしれない。


リーマン・ブラザーズの救済について米国政府関係と米大手銀行などの協議が報道され表に出た時に、政府がまともに日本への影響を検討していれば、現在の日本の株価はもう少しマシだったかもしれない。 過ぎた時間に「もしも」は無いが・・・。 少なくとも、その時期、自民党が「総裁選」というお祭騒ぎを繰広げていたツケは大きい・・・。
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2008年10月08日

幼稚で稚拙な、今の「責任政党」

先日暴言を吐いて国土交通大臣辞任した中山成彬氏は、次期総選挙には出馬しないという。 私は、彼については国会議員としての資質すら欠いていると思うので、次の総選挙といわず、即刻議員辞職するのが妥当だと思うのだが・・・。 ところでその中山成彬氏は、「日本は単一民族」発言や「成田空港問題での『ごね得』」発言については撤回したが、「日教組」に対する発言は撤回せず、逆に「日教組粉砕は火の玉になってもやりぬく(要旨)」といったそうだ。 中山成彬氏の発言については、町村信孝前官房長官も「(中山氏の日教組発言の)中身は一つの神髄をついている」と中山成彬氏をかばったそうだ。 朝日新聞の電子版『町村氏「日教組発言、神髄ついた」』でもそう報じられている。

もともと中山成彬氏は自民党町村派の事務総長(確か)をしていたこともあり、また町村氏自身、文部大臣・文部科学大臣であったこともあり、同じ文教族として「日教組」憎しの想いは同じなのであろう。 そして、これまでの自分達の教育行政の失敗を全て日教組に押し付けて、自らの責任逃れをしてるとしか感じられないのは私だけだろうか。

ところで、中山成彬氏の「日教組悪玉論」は個人の信条と言ってたらしいが、実は一介の議員の意見ではなく「自民党としての見解」のようだ。 恐らく中山成彬氏はそれを代弁したに過ぎない。 実際、自民党のHPに「あきれた教育現場の実態」というページが存在する。 記事の内容については実際読んでいただいて、どのようにお考えになるかはそれぞれ読者の皆さんにお任せます。 しかしながら、自らを「責任政党」と称する自民党が、教育のあり方を正々堂々論ずるのではなく、ある断片のみを捉えてある一部を攻撃する・・・。 まるで、学校でのイジメの温床ともいえる「学校裏サイト」と同じような、この手の稚拙な手法を使う自民党という政党の幼稚性にはほとほと呆れます。

件の自民党の記事を大雑把にいうと、
(1)北海道滝川市で起こったイジメを起因とした児童の自殺などに対する、北海道教職員組合(日教組)批判。
(2)北海道教育委員会と北海道教職員組合との労働密約と教員のサボりの実態などへの批判
(3)そんな日教組の支援を受けているのが民主党であること
(4)教育格差を広げるのは日教組であり、あなた方国民は、日教組が応援する民主党を選ぶのか自民党を選ぶのか
といった、いわゆる民主党に対するネガティブキャンペーンですね。 まるでガキの喧嘩と同じで、敵対するグループの悪口をまくし立てて、目の前の級友に「お前はどっちのグループに入るんだ」と凄んでみせるのと変わりませんな。

私は民主党を支持しているわけではありません。 私自身が属してる労働組合が、私が支持しているわけでもないのに、私の払ってる組合費の中から政治団体に寄付をしていることも不満でなりません。 ところが、この幼稚な公党、自民党は更に支持できません。


今日の教育の荒廃を含めた「教育問題」は日教組、教育委員会、文部科学省それぞれに責任があると思います。 例えば「教育委員会」などは強大な権限を持つとともに、文部行政の末端となって官僚的な組織と化しているのが実態だろうと思います。 杉並区立和田中学校が、保護者などで作る団体と進学塾が連携し受験向けの補習を始めようとしたとたん、当初強行に反対し、校舎使用の許可を出さなかった東京都教育委員会などが最も分かりやすい一例でしょう。 また、イジメ問題にしても、町村氏や中山氏が文部科学大臣であった時には、イジメの定義を「自分より弱い者に対して一方的に、身体的・心理的攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの」とし、『イジメによる自殺は無い』と強弁してたのではなかったでしょうか。 先の滝川市の児童が自殺を図った時も、当時は中山成彬氏が文部科学大臣だったのではなかったでしょうか。 その時、中山氏が職責とそれに見合う手段を尽くしたという記憶は私にはありません。 その後、新潟県での中学生自殺事件などの報道で世間が騒がしくなり、それを受けて文部科学省が「イジメか否かの判断は、苛められた子どもの立場に立って行う」としたのは '07年1月のことである。 町村氏も中山氏も、他者を責めるより、まず自らの行いを省みることから始めるべきではあるまいか。

また、公務員たる教員の不正なサボりは上司たる校長など管理職がしっかり管理監督すべきことであり、必要なら分限免職を含めた対処をしてこなかった教育委員会や行政サイドにも同じく責任があるだろう。 ましてや、自民党のHPに記載されてる「労務協定の密約」などは、労働組合側の問題ではなく、それこそ教育委員会など行政サイドが責めを負うべきだ。 だいたい、社会保険庁でもそうだが、都道府県等の教育委員会も文部科学省から出向してくるキャリア官僚が正しく労働組合と対峙せず、2年かそこらの出向期間中に面倒な事をしたくない「事なかれ」主義で職責を果たさなかったからだ。 普通の企業の管理職には、このような密約は考えられないことだ。 


閑話休題

そもそも日教組は「旧社会党」を支援していたのだ。 その社会党の党首であった村山富市氏を総理大臣に祭り上げ、連立政権を組んだのは「自民党」、あなた達ではないか。 そのことを棚に上げ、さも日教組が支持する民主党をあげつらうHPを作ることが、自民党が幼稚で稚拙な政党であると思うもうひとつの理由だ。 自・社・さ連立当時の社会党への日教組による影響力は、現在の民主党への影響力より遥かに強かった。 逆に言えば、この連立以降日教組の力は弱まったとも聞く。 そして、現在の日教組の下部組織は、県によっては自民党議員を支持支援しているとも聞くのだが・・・。 矛盾してないか?自民党サン。
posted by 少彦梛 at 18:47| Comment(2) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月04日

米国発金融不安は収まるか?

先月中旬、米リーマン・ブラザーズが破産法11(日本でいう民事再生法)の適用を受け、AIGにはFRBから資金が注入され、メリル・リンチがバンク・オブ・アメリカへ身売りした。 この米国の「金融恐慌」とも言える事態に米国政府は2年間で7000億ドル、約72兆円規模の税金を使い、住宅・不動産債権を中心に買い取るという「金融安定化法案」を議会に提出した。 しかし、この法案は政府と議会のトップクラスで合意が得られたものの、下院では否決。 修正法案が上院で可決され下院で再審議されるらしい。 ロイターの電子版『3日に下院本会議で採決へ』によると、下院の民主党院内総務は「3日に下院本会議で議論し採決を行う」としているが、下院議長のペロシ氏は「法案が可決されると確信できるまで採決するつもりはない」と言い、約14兆円の減税施策と預金保護を約2600万円(25万ドル)まで引き上げることを抱き合わせて何とか現地時間の3日に可決された。

自民党の総務会長である笹川堯(たかし)氏は、米下院で金融安定化法案が当初否決されたことについて、「下院議長は女性でしょう。」云々と女性蔑視に取られかねない発言をしたらしいが、米下院の金融安定化法案は否決は恐らく議長が誰であれ、仮に共和党が議長でも否決されていたと思う。 何故なら、法案否決は米国民の声が反映したものであるからだ。

リーマン・ブラザーズやメリル・リンチ、モルガン・スタンレー、そして、業界1位のゴールドマン・サックスなどは、日本では証券会社として紹介される場合もあるが、アメリカでは「投資銀行」という位置づけである。 彼らはコンシューマ(一般客)は相手にしない。 大企業や富豪しか相手にしないのだ。 それ故、多くの米国民は、「何故金持ちを助けるために税金を投入しなければならいのか」という不満が大きい。

また、ウォール街の経営者達にも、米国民からは憎悪の目が向けられているようだ。 例えば、メリル・リンチがバンク・オブ・アメリカへの身売り交渉を始めるに当たって、経営者達は、まず、自分たちへの経済的保証の確認を求め、その了承を得てから交渉に入ったという。 6万人の部下の雇用が危ういというときに、自分たちの経済的な保身を優先したのだ。 このことは、米通信社のブルームバーグが報じている。 それによると、最高経営責任者(CEO)のジョン・セイン(John A.Thain)氏が合併後の新会社に入社しない場合、1100万ドル相当の新会社株を受け取る。 また、トレーディング部門の責任者に就いたばかりのトーマス・モンタグ(Thomas K. Montag)氏は、メリル・リンチへの移籍時に貰うことが決まっていた2008年分の3900万ドルのボーナスとは別に、今回の合併に伴って解雇・降格される場合、3000万ドル相当の株と640万ドル相当のオプションを受け取れる、という。 これを知ったアメリカ国民の怒りは収まらないだろう。 普段から巨額の報酬を受け取ったうえ、いざ会社が破綻するとなると従業員を見捨てて自己保身に走る・・・。 そういう輩が跋扈するウォール街を救う必要性を感じるアメリカ国民はいまい。 ウォール街を跋扈するこうした経営者の罪と自己責任を明確にすることを法案化しない限り、今のままでは、アメリカの国民の支持を得るのは難しいのではないだろうか。


今回、米国の金融安定化法が可決したからといって、現在の金融不安が可決する訳でない。 住宅・不動産債権を米国が買い取るといっても「どういうルールで買い取る」かは明らかでない。 米国のサブプライムローンに関連する住宅・不動産債権の残高は15兆ドル以上とも言われている。 今回可決された7000億ドルでは焼け石に水だろう。 実際は、債権の「時価」で買うことになると思うが、そうなると、金融機関は経営上のバランスシートから債権の損出を切り離せる反面、同時に資本不足に陥ることになる。 つまり、日本で起こったバブル崩壊後に銀行が行ったのと同じく、「貸し渋り」「貸し剥がし」が起きるだろう。 結果として、アメリカの内需は更なる収縮が起こる。 例えば、車を買うにも「貸し渋り」でローンが組めなくなる。 当然、日本車も米国では売れなくなる。 米国の不況は、米国の金融機関がサブプライム債権などの不良債権を一掃し、体力が回復するまで続くことになる。 つまり、現在の外需頼みの日本経済は、日本政府が国内の産業の構造改革に乗り出し、内需拡大政策に転換しないかぎり、アメリカに引きずられて更に永い不況に喘ぐ事になる。

ただ、日本の内需拡大といっても、むやみに公共事業・土建国家を拡大をしても、これまでの経験から日本の国の借金を増やすだけで景気対策にはならないことを付け加えて記しておく。 今日の日本の不景気を鑑みれば、失われた10年、プラス小泉政権下の5年を見ても、これまでの日本政府・与党自民党の土建国家&新自由主義の経済政策の失敗は明らかであろう。
posted by 少彦梛 at 06:40| Comment(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月02日

麻生総理大臣は何がしたいのか?

先日29日、史上初めて野党第1党の民主党に向けて「代表質問」を敢行した麻生総理大臣。 朝日新聞の電子版『麻生首相の29日の所信表明演説の全文』(リンク先はその1)を読んでも、一国の首相として具体的に何をし、どういう目標を定めたいのか分からないだけでなく、まったく心に響かない・・・。 演説で掲げられた「日本の抱える問題点」は麻生氏に言われるまでも無く、ほぼ全国民が認識しているところであろう。 それに対し、麻生氏の言葉は、
「弾力的に行います。」
「努力します。」
「取り組みます。」
「推し進めます。」
「信じるものであります。」
「検討を急ぎます。」
「全力を挙げます。」
などなど・・・。 自民党総裁選に4度も挑戦しておきながら、自らの具体的な政策は何も無かったということを証明しただけではないか。

また、麻生氏が景気対策のために「焦眉の急」という『補正予算』も、ベースとなってるのは福田内閣が8月末に発表した「安心実現のための緊急総合対策」である。 その中身を読むと・・・、
『2002年第一四半期から始まった景気回復は総じて外需依存型であり、家計全体は賃金増を通じてその恩恵を実感するにはいたらなかった。こうした中、世界的な原油・食料価格高騰により、農林水産業者や中小企業者など、価格転嫁が困難な立場にある生産者の活動は大きな打撃を受けている。
(中略)
世界全体の構造的な価格体系の変化に対しては、生産サイド・需要サイド双方における適応を円滑に進め、新たな状況への適応力を経済成長の新しい推進力としていくとの考え方に立つことが必要である。
具体的には、
(1)移行過程における生活者の「痛み」や「不安」を和らげること
(2)経済・国民生活のあり方を抜本的に転換し、世界に先駆けて「持続可能社会」とするための構造改革を進めていくこと
(3)新価格体系に対応するための企業・家計の前向き・果断な対応を後押しすること』
という。

これを麻生氏は「安心実現のための緊急総合対策」と胸を張っているが、緊急でも「焦眉の急」とも言えない。 (1)にいたっては経済へのカンフル剤にすらならない、単なる「栄養ドリンク」ではないか・・・。 しかも、民主党の政策には「財源を示せ」としつこく迫りながら、公明党と与党間合意した「定額減税」については財源の当ても無く、しかも今回の補正予算では事実上の赤字国債である「建設国債」を増発するという。 米・リーマンの破綻で、リーマンの日本法人が入札したものの入金せず、宙に浮いたままの売却できない未発行の国債が約4000億円もある。 それとほぼ同額の国債を追加発行しようというのだ。 この不況下、誰がこの計8000億円もの国債を引き受けるのか・・・?


外需、特にアメリカに経済を依存してきた日本。 今、そのアメリカは金融破綻の危機にある。 少なくともアメリカの景気減退は当面続くだろう。 私見だが、アメリカの需要はこの先5年は見込めないだろう。 麻生氏は「日本経済は全治3年」と言っているが、その根拠は何だろう。 日本は為替介入で円安ドル高に誘導し、輸出産業を事実上保護してきた。 しかし、その政策も限界が見えてきてはいまいか。 掛け声だけで終わった小泉氏の構造改革。 この先、真の構造改革が求められる日本。 少なくとも「補正予算」に見られる古い体質の自民党政権では、成し遂げられないだろう・・・。

posted by 少彦梛 at 20:31| Comment(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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