2008年10月17日

日本の新たな国際貢献の有り方

読売新聞の電子版「新テロ法案、衆院特別委で論戦スタート」にあるとおり、今日から「新テロ特措法」、所謂OEF−MIO(海上阻止行動)に対するインド洋上での参加艦艇への給油・給水活動を1年延長するための法案の衆議院テロ防止特別委員会の審議が始まった。 麻生総理は、「補給活動は、日本が国益をかけて日本自身のためにしてきた活動だ。」と言っていたが、そもそもこの給油活動をやめたらどんな「国益」が守れないのか? どんな「国益」が掛かっていたのだ? 彼の発言は勢いがあるように見えるだけで、いつも肝心のところが分からない・・・。 実を言うと、今日は体調が芳しくなく仕事を休んだのだが、体調も悪いし、しかしすることもないので床の中から国会の委員会中継をずーっと見ていた(苦笑)。

今回の委員会審議で、特筆すべきと思う政府回答は、河村建夫官房長官が、現在行われているテロとの戦いである不朽の自由作戦(OEF)とそれに伴う海上阻止行動(OEF-MIO) は「国連憲章第51条基づく、米国の自衛権の行使とそれに伴う集団的自衛権の行使である」と答弁したことだ。 つまり、日本の給油活動の後ろ盾である「新テロ特措法」の目的中に「国連安保理決議の第1368号、第1373号、第1776号」をわざわざ持ち出しているが、給油活動の実態は「集団的自衛権の行使」であることを間接的に認めてしまったことだろう。 つまり、給油活動は国際貢献ではなく、米国を始めとした連合国の自衛権行使への参加であることははっきりしたのではないか? 日本は集団的自衛権は行使できない、というのが政府と与党自民党の見解だ。 この矛盾を報道各社がこの矛盾を取り上げ報道しないのは、私には不思議でならない。


また、今回の委員会で民主党が提案してる「アフガニスタン復興支援特別措置法案」も同時に審議される。 私自身、この法案を読んだ訳ではないが、この法案の主旨(特徴)は以下のとおりと聞く。
 ・抗争停止合意の形成の支援及び合意成立後の復興支援活動の実施
 ・計画実施前の国会承認と国会への報告義務
 ・アフガニスタン人間の安全保障センターの設置
 ・自衛権の発動及び国連憲章第7章のに係る対応措置に関する基本原則の制定
  ( 安保理決議第1674号(2006/04/28) 「武力紛争と文民に関する決議」(武力紛争における文民の保護)に基づく活動)
 ・国際の平和及び安全に対する脅威に対し直ちに必要な措置を執るための組織設置の検討
 ・国際連合の決議に基づくテロ対策海上阻止活動に対する参加の検討(→海賊行為の多発)
  ( 安保理決議第1816号(2008/06/02)安保理決議第1838号(2008/10/07) 「ソマリア情勢に関する決議」(ソマリア沿岸、アデン湾での海賊行為の阻止)活動など)

これらほとんどは国連の安保理決議に沿って国際貢献活動を実施すことに主眼に置かれてる。 また、アフガニスタンの国内の安定がテロ活動を抑制する効果があるとし、現在アフガニスタン大統領が軍事力によらず、ターリバーンとの和平への道を模索していることを後押しすることを目指しているらしい。 委員会での民主党案への質問にも「アフガニスタンの生活再建こそがテロ対策」「アフガニスタンの和平には『油』(洋上給油)でなく、『水』(を供給して農業の発展)を」と民主党・犬塚直史氏が答弁してきた。 つまり、ペシャワール会などが行ってきた渇水対策やケシ栽培から食糧生産への転換活動などの人道復興支援を日本国が行うことで、米軍やNATO軍がテロとの戦いで巻き添えにしてきた一般市民の憎しみからの負の連鎖を断ち切り、テロの温床を無くして行こうということらしい。

もちろん、仮にこの法案が通って実施する段階になれば、さまざまな課題も想定される。 例として、イラクの復興支援を行った際には、現地の人からは「雇用」を期待されたが希望に添えなかったことや、せっかくの水道の給水施設を造っても運用・維持管理をする技術者の育成を怠ったため満足に水道施設の運用できなかったなど、多くの事例、問題があった。 また、アフガニスタン内で武装勢力に襲われた時、「安保理決議第1674号(2006/04/28)」に乗っ取って行動するとはいえ、陸自の銃火器の使用についての議論など、クリアすべき点はあると思う。 もしかすると、「ペシャワール会」の伊藤和也氏に続き日本人の犠牲者が出ることがあり得るのも確かである。 しかしながら、日本がとるべき新しい国際貢献のあり方として、民主党の法案を基に国民が議論することは大切なことではないだろうか。


今回、もうひとつ衆議院テロ防止特別委員会の審議で特筆すべきと思う、民主党の長島昭久氏が質問した、日本のシーレーンにも関わる「ソマリア沿岸、アデン湾での海賊行為の阻止活動」についての論議もあったのだが、これについては次回に述べたい思う。


最後になりますが、エチオピアで拉致され現在ソマリアで拘束されていると言われている国際NPO「世界の医療団」の日本人医師とオランダ人看護士が無事に、また、早期に開放されることを心よりお祈り申し上げます。
posted by 少彦梛 at 23:53| Comment(0) | 軍事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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