2009年01月18日

あれから14年

「平成7年兵庫県南部地震」(通称、阪神・淡路大震災)がおきたのが14年前の昨日、1995年(平成7年)1月17日の午前5時46分のことである。 公式には死者6,437名、行方不明者3名となっている。

お亡くなりになった方々のご冥福を、改めてお祈りします。

昨日も、阪神・淡路大震災で亡くなった方々への祈りが捧げられた。 神戸を始め、街も復興してきているとはいえ、家族を震災で失くされた人々の心の傷はまだまだ癒えることはないだろう。


ところで、1200万人もの人口を抱える首都、東京の災害、首都直下大地震に対する備えは大丈夫なのだろうか?

世界大手の保険企業「ミュンヘン再保険」が2003年3月10日に発表した「世界主要都市の自然災害が 発生する危険度ランキング」によると、危険度1位が首都圏(東京、横浜)、4位が関西圏(神戸、京都、大阪)だという。 前回の阪神・淡路大震災の被災より8年も経過した時点で発表されたレポートである。 併せて危険判定指数の算出結果も表示されたが、4位の関西圏が92.0ポイントであるのに対し、首都圏は710.0ポイントである。 単純に、そしてざっくり言えば、東京は「阪神・淡路大震災」の7.7倍もの危険性を孕んでいるわけである。 もちろん、単純な積算除算での比較は成り立たない。 しかしながら、2位のサンフランシコの危険判定指数でさえ167.0と首都圏の4分の1とされていることを鑑みれば、東京の災害リスクは極めて大きいのは確かである。 しかも、現在の首都圏の社会環境を考えると、ひとたび首都圏で大きな震災が起きればその影響は計り知れないものとなることは想像にたやすい。 ところが、阪神・淡路大震災から14年・・・この間、東京の震災対策が充実してきているとは、とても言いがたい状況にあるのではないか。 もちろん、首相官邸に災害対策室を作ったり、東京都も「緊急災害現地対策本部」の整備をしたりはしている。 首都高の高架も耐震補強工事を行った。 表向きには、震災対策をしてるようには見える。


ちなみに、内閣府の防災情報のページによれば、中央防災会議は平成20年版 防災白書において、「大規模地震の被害想定」を発表しているが、被災規模は『首都直下地震:想定死者数約11,000万人、経済的被害は約112兆円』だという。 死者は阪神・淡路大震災の2倍までは達しないことになる。 それに対し『近畿圏内陸地震:想定死者数約42,000万人』とはじき出してる。 近畿圏内陸地震は、大阪・谷町筋沿いの上町断層帯による地震を想定しているのだろうか? 確かに、古い木造住宅は多いとは思うが(かつて5年ほど大阪市に住んでましたので)、ただ、大阪市は東京と比べると過去からの都市計画がしっかりしており、区画整理により道路が碁盤目状になっている。 無秩序に都市を拡大してきた東京より、震災直後の被災者救済活動は比較的スムーズに済むのではないかと思う。 近畿圏内陸地震を基準としてみると、東京の想定死者数がその3分の1以下、約4分の1の被害というのは、想定が大甘すぎるのではないだろうか? 東京湾北部地震(M7.3)を想定した人的被害の概要をみても、余りに被害想定数は小さいように思う。


少なくとも「ミュンヘン再保険」のレポートとは大きく乖離している。 どちらを信じるかと聞かれれば、私はミュンヘン再保険のレポートの方を信じる。 もちろん、ミュンヘン再保険の算定根拠も不明なのですが・・・。 東京でも、大阪でも、同じくらいの期間仕事をした者の「肌で感じる感覚」としか言い様がありませんが・・・。

   
それよりも、現在の状況で阪神・淡路大震災級の首都直下地震で起きた時、日本全体に与える影響は計り知れないだろう。 何より、あらゆる産業と金融を始めとする経済の大部分が東京に集中しているからだ。 日本全体が機能不全に近い状態に陥りかねない。 日本経済を支える根幹の部分が東京に一極集中してるからだ。 東京の被災により、日本国内全体の産業に影響を及ぼす可能性は高い。 特に現代はあらゆる経済活動がコンピュータを始めとする情報通信技術に支えられており、そのネットワーク社会の中核にあたる部分が東京に集中している。 これは、ダメージコントロールの観点からすると極めて危険な状況であろう。 

東京被災により国内全体の経済活動に国家的ダメージを与えかねない。 日本の経済的被害は112兆円で済まないのではないか。


罹災人数も多すぎる。 過去に起きた新潟県中越地震、能登半島地震、新潟県中越沖地震、岩手・宮城内陸地震の罹災の比ではない。 阪神・淡路大震災では約30万人以上の避難生活者が出たとういう。 ざっくりと、神戸市、姫路市、明石市、西宮市、尼崎市の人口が約300万人とすると、およそ10%が避難生活を送ったことになり、仮にこれを東京23区約900万人に当てはめると90万人であるが、そもそも人口密度が2〜3倍違うので、2倍強として、約200万人の避難生活者を3ヶ月程度継続支援する必要がある(実際には被害は横浜市など近隣県のもっと広い範囲に及び、700万人近くが避難生活者となるという話も聞く)。 果たしてこれだけの避難生活者を日本全体で支えていけるのか、少なくとも現在の経済状況、疲弊しきった地方自治体の財政を考えると大変であることは違いない。

また、4万人を超えると推定される「自立脱出困難者」。 この推定数もあまりに少ないとは思うが、果たして救出できるのか? 先月、2年ぶりに映画館へ行って観た映画の1本が「252 生存者あり」だが、東京消防庁のハイパーレスキューが地下に閉じ込められた生存者を救出する物語である。 ただ、実際に首都直下地震で地下に生きて取り残された人を救出できるのか? 阪神・淡路大震災では、被災3日目以降に救助された人の生存率は6%を切っている。

阪神・淡路大震災では朝6時前だったこともあり、ほとんどの人が地上で罹災しましたが、救助したのは近所の住民で、彼らに救助者された人達の数は全体の65%と聞きます。 しかし、これは地上での罹災だったから一般市民でも救出可能だったと思います。 東京の地下で罹災した場合の救助は、重機も必要となり困難の極みです。

そもそも、東京消防庁には18000名しか人員はいません。 それも、幹部や事務方、救急隊全て合わせてです。 即日動ける陸上自衛隊は、練馬駐屯地の第1師団第1普通科連隊約1000名、同師団第1後方支援連隊約500名、それから、朝霞駐屯地の中央即応集団約4200名・・・実働員数は最大でも5500名というとこでしょうか。 朝霞駐屯地には埼玉からの派遣要請があるでしょうから、実際には1〜2000名は減るでしょう。 地下で罹災した場合、映画とは違い、生き残れても救助がこないと思った方が良さそうです・・・。

閑話休題


首都直下地震が及ぼす被害が甚大となる一因は、つまるところ、東京への一極集中です。 であれば、首都機能・経済拠点は各々の拠点分散を行うなり本社機能の拠点の分散なりを行うか、少なくとも政経拠点分離(政治はワシントン、経済はニューヨークといった米国のように)などにより政経どちらかが被災しても、同時被災による国家の基幹が壊滅せぬよう、社会的危険分散を目指すべきだ。 ところが、これまで、これらの危機を回避する目的も含んだ、道州制の導入や首都(行政機能)移転は話の俎上には上がるが一向に議論が進んでいない。

折りしも、現在は深刻な不況に突入し、景気対策、雇用対策は焦眉の急である。 府政は、首都移転も含め、東京の一極集中の是正政策を行い、そのための資本を積極的投下して景気・雇用対策を行うまたとない機会だと思うのですが・・・。


映画、「252 生存者あり」について書いてみました。
ネタばれしてますから、これから映画を観ようとお思いの方は
「続きを読む」は読まないでください(1/19追記)→続きを読む
posted by 少彦梛 at 21:00| Comment(0) | 経済・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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