2008年08月28日

ある青年の死

とうとうアフガニスタンの地で、有為の日本人の青年が亡くなるという事件が起こった。 彼が拉致されたとの報を聞いたとき、どうか無事に・・・と思いましたが、最悪の、そして、残念な結果に終わってしまいました。 ご家族ご親族の皆様への心よりの哀悼の意を表すと共に、青年のご冥福を心よりお祈り致します。 結果は結果として受け止めねばなりませんが、誠に残念でなりません。


拉致犯人で拘束された2人は自らを「ヒズビ・イスラミのメンバー」と名乗り、共同通信の電子版によると『最初から殺すつもりだった』と供述しているという。 今回の事件は情報が最初から錯綜しており、この報道もどこまで正しいのか判らない。 犯行グループと治安部隊(これも現地警察なのかはっきりしないが)との銃撃戦もあったという報道もあり、青年らしい遺体が発見され足に銃創があったとの報道に接した時には、まず、治安部隊に誤射されて亡くなったのではないかと疑った(普通、軍事訓練を受けた者なら腹を狙うと聞くし、頭部を撃つは無抵抗の時だろう)。 ただ唯一疑いの余地の無いことは、亡くなった青年は、現地の人々のために、現地の人と、現地に溶け込んで皆に信頼されて援助活動を行っていたということだろう。


なぜ、現地の人々から慕われ、信頼の厚く、アフガニスタンの未来のために尽くしてきたこの青年が死ぬことになったのか? むろん、実際に手を下した犯行グループの所為であり、彼らと深く係わりがあると言われ、今回の犯行声明を出したターリバーンにも責任がある。 ただ、私は、彼らだけが悪者だとも思えない。

もともとは、アフガニスタンの実権を握っていたターリバーンに対し、9・11と言われるNYの同時多発テロの首謀者を匿ってる(?)として報復攻撃をかけた「テロとの戦い」がそもそもの始まりかもしれない。 しかし、国連の承認によるNATO軍を中心とした「国際治安支援部隊(ISAF)」がアフガニスタンの治安維持を支援し、そしてターリバーンは弱体化したはずだった・・・。 現に、アフガニスタン軍の元兵士の武装解除のみならず、非合法な武装集団の武装解除も進んでいたと聞く。 日本も、外務省のリリースにあるとおり、非合法武装集団解体他のために、現カルザイ政権に対し30億円を超える無償資金援助をしている。

しかし、元々ターリバーンの勢力が強かったアフガニスタン南部地域だけでなく、他の地域・州にもテロ、外国人襲撃、盗賊行為が飛び火し始めているという。 北部地域では大規模なテロが発生するようになり、カルザイ政権には、もはやターリバーンなど非合法武装集団を抑える力がない状況になっているようだ。 実際、カルザイ大統領暗殺未遂事件も起きている。 いったん力が弱まったターリバーンたちが何故勢力を盛り返してきたのか? もちろん、息を潜め身を隠していた連中もいるのだろうが、新たにメンバーになったり、また、協力する人々がどんどん増えているからではないだろうか。

では、なぜターリバーンなどの下に走る人が増えるのか。 「アジアプレス」所属のあるジャーナリスト氏によれば、『アフガン東部や南東部は米軍の誤爆や誤射などが多く、(一般人の間にも)外国人への反発が強まっている。 盗賊くずれやタリバン志願者も増え、2年間でさらに治安は悪化している。 2年前には“敵国”の外国人ばかりをターゲットにしていたが、最近は対象が「すべての外国人」に広がっている風潮がある。(要旨)』という。 また、空爆やその不発弾により畑の耕作ができなくなり、耕地が減ったため収益性の高いケシ栽培(アヘン)に走り、販路を持つターリバーンなどに資金が流れているとも聞く。

やられたから、やりかえす・・・。
今、アフガニスタンでは負のスパイラル・負の連鎖が再び広がっているのではないのだろうか。


ところで、今日の某公共放送のニュースで、『高村外務大臣はアフガニスタンの外相と電話会談し、「国際社会は尊い犠牲を払いながらアフガニスタンの平和と復興のための努力を継続しており、日本としても、引き続きできるだけの努力をしなければならないとあらためて感じている」と伝えた。』と報道されていたが、当の外務省は、先のリリースを出して2年、これまで何をしてきたのだろう。 今回の青年が拉致された事件でも錯綜した情報に振り回されっぱなしだ。

今回被害にあった青年の所属する「ペシャワール会」をはじめ、日本のNGOは5団体くらい活動していると聞く。 ところが、外務省はアフガニスタン国内に「日本人の安否」といった重要事項を収集するための情報網すら構築していない。 いろいろな情報を得るために、信頼できるアフガニスタン人を選び、雇う、といった時間はたっぷりあったし、そのための費用は十分あったはずだろう。 外務省は、普段からまともに仕事をしていないことも、また、入ってきた情報を分析するといった一番重要な能力すらないことも、今回また露呈してしまった。 アフガニスタンにも首都カブールに日本の大使館があるはずなのだが・・・。 

これでは、今回の事件の対策本部の本部長たる外務副大臣が何の対策も打てず、事件が起こったこの2日間に、然して訴えるものもないブログをパソコンに向かって打って、10回以上更新する暇があるのもいたしかたなかろう・・・。
posted by 少彦梛 at 23:19| Comment(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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