2008年10月10日

労働者としては扱われないのか?

朝日新聞の電子版、「林を抜けると一面ピンク」によると、長野県箕輪町で「高嶺(たかね)ルビー」という赤いソバの花が満開だそうだ。
見ごろを迎えた赤ソバの畑=長野県箕輪町、加藤丈朗撮影.jpg
加藤丈朗氏撮影
蕎麦好きの私とすると、11月下旬頃から出回る新ソバで打った薫り高い蕎麦が今から楽しみなのだが・・・。 ただ、ここ数年、その時期出かける時間が取れなくて、お目当ての蕎麦になかなかあり付けない(涙)。 

まあ、時にはそんな楽しい話題も書きたいのだけれど。 昨日は日経平均株価が9千円割れ寸前でしたが、翌日の今日にはもう8千円割れ目前。 はてさて、どこまで下げ続けるのでしょうか。 明日からG7の財務相・中央銀行総裁会議があるそうだが、私としては然したる成果は期待できないと見ている。 まあ、この話題は日経平均が7500円割れ(汗)するか、政府から新たな金融政策等が出た時にしたいと思います。


今日の本題は、昨今の医療崩壊について。

毎日新聞の電子版「女性産科医、妊娠中も当直減らず」によると、法律で義務付けられた育児休暇制度が無いなどのため、産婦人科で働く女性勤務医が妊娠・育児中であるにもかかわらず、当直(夜勤)を続けざろう得ない状況であり、当直回数を減らすなどの対応すらしていない病院が5割強もあるという。 確かに、産科医そのものの減少に拍車がかかっており、人材不足がその背景にあるのだろう。 出産をする妊婦さんも、自分の担当医は男性であるよりは同じ女性を望むだろうから、経営する立場の病院側としても女性産科医に働いて欲しいという一面があるのかもしれない。 しかし、何故産科医はこれほどの人材不足になったのだろうか。 日本の出生率、つまり生まれてくる赤子の数は年々減っているのだが、それに見合う以上に産科医のなり手が減っているのだけではないと思われる。 インフォームドコンセントやそれに付随する同意書の作成などなど・・・仕事量も増えたのだ。 患者一人当たりにかかる時間も増えていることも大きな要因の1つと思われる。

だが、勤務医は労働者として見られていないのか?

実際、出産は昼夜問わずだし、必ず予定日に出産になる訳でもない。 ましてや、母体にも胎児にも気を配らねばいけないのだろうから、医師としては相当の重圧があると思う。 それ故、産科医にはなりたくないと思う医学生も多いのだろう。、更に拍車をかけたと思われるのが、福島県立大野病院で帝王切開を受けた女性が亡くなった件で、マスコミなどがセンセーショナルに報道し、執刀した産科医が業務上過失致死と医師法違反の容疑で逮捕、起訴されたことだろう。 この事件以後、ますます産科を敬遠する傾向が強まったとも聞く。 しかしながら、事は産科医に限らず、医師の総数そのものが減っているのだという。 もともと厚生省は '80年代中頃から医大の学生の定員を絞ってきた(医師過多で収入が落ち込むことを恐れた日本医師会が圧力をかけた?)。 しかも '90年代後半の頃だったか、閣議決定により医療費抑制施策として(直接はそう書いて無いが)大幅な医師数の抑制が行われたと記憶している。 当時の厚生大臣は小泉純一郎氏だったはずだ。 所謂、医療費亡国論の始まりだ。 医療費抑制に一番手っ取り早いのは、医師の数を減らすことだ。 医師がいなければ患者は病院に掛かることができず、結果として健康保険を利用できないから医療費が減る。 暴論のようだが、事実そうなのだ。 例えば、風邪をひいても医者にかかられず市販薬で済ませてもらえばいいのだから・・・。 

医師不足や医療崩壊など世間が騒ぎだし、2年ほど前になって、厚生労働省は「医師の需給に関する検討会報告書」を出した。 大まかに言うと、ここでは確かにマクロ(総数)でみられる医師数は需給バランスとしてみると不足していることを認めつつ、 '22年には需給バランスは均衡するという。 そして、 '40年には概ね1万人程の医師過剰になるような書きぶりだ。 ちなみに、この報告書は読んでて頭が痛くなるくらい難解です(苦笑)。 ただ、どうやら厚労省としては、医師数が不足してるのではなく、都市と地方間、それぞれの専門分野間において需要供給のバランスがとれていないことを強調したいようだ。 それを考慮に入れて読むと、この報告書自体が机上の空論に思える。 第一、検討会のメンバーを見ても、九州(恐らく福岡)と茨城県在住と思われる2名を除き、全員東京で働いているような方々だ。 医療現場の実態をどこまで理解しているのかは私には甚だ疑問である。


閑話休題

実際、女性の産科医に限らず、また、男女を問わず大都市以外の地方都市では人材不足・医師不足で、過酷な労働条件を強いられてるのは確かだ。 地方自治体などと共同で、中核病院自身、また、各病院間の連携、などといった努力は行われているがそれにも限界がある。 地域医療の維持は、医師および看護師個人に大きな負担を強い、つまり、個々人の頑張りに負ってるところが大きい様に思う。 それ故、「医者の不養生」という言葉もあるけれど、養生したくともできない医師は毎年増加しているのも現実だ。 体を壊して医者を辞めざろう得ない方も多いと聞く。 医師も人間だ。 無理を強いれば過労で倒れるし、病気にもなる。 私自身の身近でも、歳もさほど違わない内科の私の主治医が、昨年、突然心筋梗塞を起こし亡くなった・・・。 当直を多くこなすと当然生活は不規則になるし、自分の体調管理に裂く時間すら取れない・・・。 過酷な医療現場ほど、例えば産科医のように、辞める医師は多く、残った医師への負担も膨らむこととなろう。 負の連鎖が断ち切れないでいるのだ。 しかも、現行の研修医制度が施行され、人員不足に落ちいった医大病院が地域の病院から派遣医師を引き上げたことがそれに拍車をかけたのも周知の事実だろう。

厚労省は、昨年「医師確保対策について」をまとめたが、実情に合った施策かは疑問に感じる。 内容はいわゆる補助金行政であり、その効果についても甚だ疑問に思う。 また、今回の補正予算では当直勤務の医師に直接手当てを支給(病院へではない)することも盛り込まれたが、地方の人手不足の現場からは「同情するなら医師をくれ」といった想いではなかろうか。 労働行政も司る「厚生労働省」である。 医療行政だけでなく、勤務医や看護師が一般の労働者と同程度の「労働環境」で働けるよう、逆にいえば、病院の経営サイドが法律で義務付けられた労働条件を整えることができるよう、対処することは急務であると思う。 また、既に医師全体の3割を占める女性医師への労働環境改善は特に必要だと思う。 助産師さんの増員や、医療秘書の増員など、医師でなくともできる業務を賄う人員養成も必要だ。 そして、出産などで退職を余儀なくされた(子育てしながら勤務医を続ける労働環境にないため)女性医師の勤務医復帰の道を開くための研修制度など、特に地方で、早急に対応して欲しいと思っている。 

しかしながら、行政任せではなく、我々患者サイドも自ら地域医療を守るために行動すべきであろう。 昼間は待たされるからと夜間外来に行くなどといった、コンビニ受診をやめる。 ホームドクターを持ち、病院の掛け持ちをしないことにより無駄な薬の処方を避け、医療費を抑制する・・・、などだ。

医師は決して病気を治してくれるのではなく、患者自らが病気を治そうとする力に手を貸してくれる存在なのだと思う。 医療をひとつのサービス業と観る向きもあるが、それは間違いだ。 「患者と医師はパートナー」という自覚が自らになければ、治るものも治らない。 相手に無理を強いれば、パートナーは居なくなってしまうこと(=地域医療の崩壊)を我々は肝に銘じたいと思う。 もちろん、「医は算術」といったような病院や医師がいないか監視し、そういう輩を許さない、排除することも必要だ。 


最後に、兵庫県の県立柏原(かいばら)病院で、小児科が廃止になりかけた際、地元のお母さん達が立ち上がり、地域の小児医療を守った「県立柏原病院の小児科を守る会」を是非紹介しておきたい。
posted by 少彦梛 at 22:46| Comment(0) | 医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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