2008年11月29日

麻生v.s小沢

先日28日の麻生総理と小沢民主党代表の党首討論は、時事通信社の電子版「党首対決、与党に落胆の声」によると『細田博之幹事長こそ「首相の圧勝」と記者団に強がったが、首相官邸サイドは「完敗だ」と認めざるを得なかった』という。

日本テレビの日テレNEWS24の電子版「党首討論、まるごと見せます!」で全編観ましたが・・・「わざわざ観た私がバカだった・・・」が正直な感想だ(苦笑)。

時事通信社の電子版に掲載された別の記事「小沢氏との違い示せた」では、麻生総理は『国民の皆さんにわたしと小沢代表の考え方の違いをはっきりできたと思っている』と述べたという。 しかし、結局、11月9日に茨城県の水戸市で、総理として初めて立った街頭演説で『生活者支援や中小企業金融に(資金が)回っていくような仕組みになっている。』と豪語したはずが、その為の予算と関連法案を先送りしてしまったのだ。 国民のひとりとしては、『国民のために』今国会に2次補正の提出を求め、また、それをしないのならば、衆議院を解散し、国民の信を問うよう求めた小沢氏の方に理があると思う。
(第一、事実上麻生政権は政治空白化しているのだから・・・(呆れ))


ところで、麻生総理は、2次補正を来年1月に国会提出しなくとも、先の1次補正で充分年内の「借り手(中小企業)への対応は可能だ」としている。 本当にそうだろうか?
(麻生総理は経済の実態を分かっているのだろうか? 私は…ワカラン・笑)

東京商工リサーチの「2008年(平成20年)10月度 全国企業倒産状況」によると、10月の中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)は、前年同月比13%増で今年最多の1,415件(全倒産件数1,429件)。 運転資金の欠乏(所謂貸し渋り、貸し剥がし)が原因で倒産したのは99件(前月は91件、2008年10月までの累計は818件)だという。 1次補正が成立したのは10月16日とはいえ、確実に増えている。 今月ももう終わるが、11月は更に増えているのではないだろうか? 年を越せない中小企業の倒産累々といった状況になるだろう。 更に、ほとんどの企業の決算期にあたる年度末の資金繰りを考えると、年内に2次補正を行わないと間に合わないだろう。 若しかして、麻生総理は、年度末までに多数の失業者が出ることを見越し、多くの国民が困窮している時に「下々の皆さん」(麻生氏が衆議院選挙に初めて立候補した際の第一声と言われている)に恩着せがましく『定額給付金』をばら撒く算段なのであろうか?

ちなみに、中小企業にその支持者が多いと言われる与党・公明党は、次期総選挙では票の獲得が難しくなることを覚悟しておいた方がいいのではないか・・・。 会社が倒産すれば、選挙どころではあるまい・・・。


今回の党首討論で、もう1つの議論(と言えるレベルではないが)されたことに、麻生総理が「金融機能強化法」の早期成立(参議院での議決)を小沢氏に求めたことだ。 小沢氏は「民主党も政府案とは別の主張がある。参議院での修正協議に自民党は全く応じようとしていない(要旨)」と応じた。 解散を狙う「政局」含みも無いとは言えないが、金融機能強化そのものに反対しているわけではないようだ。 現に、衆議院の財務金融委員会では金融機能強化法案の政府「原案」には反対しているが、「修正案」には賛成している。 ただ、「原案」においてどうしても相容れない部分があるから衆議院本会議では反対したに過ぎない。 参議院でも同じだ。

では、何に反対なのか。 単純に言えば、デタラメ融資で破綻しそうな金融機関、大和生保のように「バクチ」で大損害を出した銀行も救済可能な法案であるということがその理由だ。 しかも公的機関の系列銀行であれば特に許されまい。

例えば、デタラメ融資でつとに有名なのが、東京都が400億円もの都税を追加出資した新銀行東京だ。 追加出資した400億円も既に毀損してるのではないかとの噂もあり、また、元行員の逮捕者まで出した新銀行東京だが、参議院の財政金融委員会が参考人招致を求めた、石原都知事や副知事、所管の産業労働局長、金融管理室長など都側は全て出席拒否、新銀行東京の大塚取締役会議長(新銀行設立に係わった元都副知事)も出席拒否だ。 銀行の内情がバレると責任論が噴出しヤバイと判断したのではないかとの憶測も流れている。(※1)

また、バクチ経営ではないかと言われてるのが「農林中央金庫」だ。 もともと61兆円ともいわれる資産を有しながら、現在、損失を出した補填として、1兆円の増資を検討していると聞く。 農林中央金庫は農林漁業関係者への融資を行う政府系金融機関であったが、現在の融資残高は資産の6分の1の10兆円ほど。 半分以上は株や債権への投資で運用されているといわれ、そのうち25兆円は海外の有価証券だという。 しかも、昨年7月に米国のサブプライムローン問題が叫ばれて以降も「サブプライム関連債が安くなった」と買い進め、今年のベアー・スターンズ、さらに9月のリーマンショック後も「ここぞ」とばかり、リスクの高いサブプライム関連を始め、債権証券を買い増したと聞く。 まさに常軌を逸したバクチ買いではないか? しかも、農林中央金庫のトップは年収4000万円を越える、他に類を見ない報酬の天下り先だ。 農林中央金庫としての本来の使命を逸脱している感がある。

そんな金融機関に、かつて銀行に公的資金を注入した時と同じように、経営責任の有無を問わず、国民の税金を投入できる法案が果たして良いのか、というのが民主党の主張であろう。

衆議院の11月5日の財務金融委員会の議事録にもあるように、
<抜粋>
松野頼久委員

私は、民主党・無所属クラブを代表し、政府提出の金融機能の強化のための特別措置に関する法律及び金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案の原案に対して反対、政府案に対する修正案に賛成する立場から討論を行います。

 まず、政府原案に反対する理由は、第一に、農林中央金庫を公的資金注入の対象としている点であります。農林中央金庫等農協系統金融機関は、農業者の育成を図ることを目的としているにもかかわらず、農業者から集めた預金を市場運用に集中させ、農業者への融資が極めて低い水準にあります。このように本来の設立の目的に大きく反する経営を行っている農林中金に公的資金を注入することは、その資金運用の失敗を国民の税金で救済することに等しく、地域の中小企業に対する金融円滑化という本法の目的から逸脱するものと言わざるを得ません。また、農林中央金庫等農協系統金融機関の政治的中立性が担保されていない点も極めて重大な問題であります。

 第二に、新銀行東京も本法に基づく公的資金注入の対象となり得る点であります。新銀行東京は、ずさんな経営により大きな損失を出しており、まさに乱脈融資の源と言っても過言ではありません。このような損失を国民の税金で穴埋めすることには断固反対するものであります。

<抜粋終わり>


故小渕元首相がそうであったように、民主党の案を丸呑みすれば(そこまでとは言わなくとも民主党案を充分取り入れれば)、民主党に反対する理由はない。 金融機能強化法案がなかなか成立に漕ぎ付けないのは、与党側にも大きな責任があるのだ。

※1 招致予定だった11月25日の委員会は流会となった



蛇足だが・・・
党首討論で、総選挙を経ず3人も総理大臣が代わったことを問われ、麻生総理の発言「我々は大統領制とは違う。少なくとも議会制民主主義に則っている。」は何かオカシクないか? 例えばアメリカは大統領制であるが、議会制民主主義の国でもある。 立法府としての「議会」と行政府としての「大統領」と各々独立しているだけだ。 基本的に行政府の大統領は、立法府としての「議会」の制定した法の下に権限を行使する執行官にすぎない。 まあ、米国の場合、法案に対しての拒否権や執行遅延権などが大統領に認められてるけれど。 議会制民主主義で成り立ってる日本は、「大統領制」ではなく「議院内閣制」なのだが・・・。

これまでの麻生総理の発言について、報道などを介してではあるが、麻生総理は本当に物事を理解しているのか、極めて疑わしいと感じるのは私だけだろうか? 

20日に開かれた政府の経済財政諮問会議の議事要旨でも、麻生総理は「全国知事会で、『中福祉・中負担はわかった。中福祉の定義を言ってくれ』と言われ、私は、ぐっと詰まりまして、『それは今から社会保障国民会議と与謝野議員のところで出すから』としか答えようがなかった。」と発言している。 11月9日の茨城県の水戸での街頭演説では、「米国みたいに低負担で低福祉にするか。北欧みたいに消費税がものすごく高くて福祉も高いのにするか。それとも中福祉・中負担にするのか、みんなで考えないといけない」と述べたが、麻生総理自身が『中福祉・中負担』とは何か分からずに叫んでいたことになる。 

そもそも、麻生総理の言う、「米国は『低負担・低福祉』」という発言も怪しいものだ。 確かに医療に対する国民皆保険制度は米国には無いが、例えば障害者福祉や生活保護政策、子育て支援など、その他の福祉は日本より遥かに高福祉なのではないだろうか? ただ、合衆国としてではなく、各州ごとに福祉を担っていると思われるので単純な比較は難しい。 私自身、確認したわけではないのだが・・・。 もちろん、NPOなどの非営利団体による福祉活動は米国の方が遥かに充実している。 しかも、麻生総理のような「金持ち」はそういった「福祉団体」への寄付や、また、自らも福祉活動に携わっている点も見逃せない。 それも、彼らには「富める者の当然の行為」として認識されている。 また、NPOへの寄付をした場合も所得税からの控除があるなど、税制面でも日本とは大きな違いがある。 


麻生総理の発言は、「イメージ先行・実態不明」なものが多く、一国の宰相として我々国民が行政を負託するには極めて危うい人物なのではないかとつくづく思う。 
posted by 少彦梛 at 21:58| Comment(0) | 経済・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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