2009年01月09日

地獄に行っても困らない人?

かつて、日本の大手企業でこれほど二枚舌の経営者はいただろうか? 閻魔様に舌を抜かれても困らないだろう。 他ならぬ、経団連会長でありキャノンの会長でもある「御手洗冨士夫」氏のことだ。

昨日、今日、TVニュースを観て「この大嘘つき野郎!」と突っ込みを入れた(い)人はどのくらい居たのだろう? その御手洗氏曰く、『そもそも、経営者であれば誰しも従業員の生活の安定を第一に考えております。 私は、そうでない経営者は経営を担う資格はないと思っております。』 この極短い発言ではあるが、突っ込みどころ満載である(苦笑)。

どの口が言う?? ( ゚ Д゚)アングリ


最初に断っておくが、私はもともとCanon(キヤノン)のファンであった。 確かミノルタ社がα7000シリーズとして初めてAF(オートフォーカス)一眼レフを世に出し、しかもその人気は非常に高かったにも係わらず、キヤノンがEOSシリーズが発売されるのを待って購入(EOS650を所有)した程である。 もっとも、今ではそのEOS650も半導体デバイスが異常を起こしてか、撮影はできないのだが・・・(まずAFしなくなり、それでもマニュアル・フォーカスで使っていたのですが…シャッターも切れなくなって…現在は押入れでオヤスミ中)。

閑話休題

経団連の副会長に就任して以来、御手洗氏が表に出るたび、発言するたび、この下郎の身勝手さや、「社会に貢献する」という発想も「社会あっての企業」という思想も無い、『下劣な経営者だ』という想いが澱のように積もっていた。 つまり、私個人として『ダイキライ』な人物の一人である。



『従業員の生活の安定を第一に』? どの口で言うか・・・。  

「ホワイトカラーエグゼンプション」を法制化して残業代を削ろうと奔走したのはどこの誰でしたっけ?
「子会社の大分キヤノンなどで『偽装請負』」を行っていたのは誰ですか? その後、400名以上を「派遣・請負労働者を直接雇用しており、決して直接雇用に消極的なわけではない」と反論してますが、正社員としてですか? 言明されてませんよねぇ・・・。
同じく、まさに今、大分キヤノンにおいて「契約終了の前であるにも係わらず非正規社員を締め出し(つまりクビ)、その責任を全て『請負企業』とやらにおっ被せた」のはどなたなのですか?
その上、「苦渋の判断で雇用調整」と言ってた経営者が、その舌の根も乾かぬうちに「雇用安定に最大の努力」と今更言っても、誰も取り合わないでしょうに・・・。

そもそも、人件費は正社員から非正規雇用へ大きくシフトして人件費を大幅に削減した上、株式時価総額を重視した経営を行い(つまり従業員のための経営ではない)、株主至上主義を標榜して配当などは大盤振る舞いし、更に、役員報酬については2003年の1億4千万円弱から2006年には2億2千万円強へと3年間で1.5倍以上も引き上げている御手洗氏・・・。

しかも、「大手製造業 内部留保 空前の33兆円」と言われる始末。 私の手元にある資料では、キヤノンの内部留保は3兆円弱にも達するという。
(注:内部保留は全て「現金」といったカタチで存在するのではない。 詳細はC/S(キャッシュ・フロー計算書)やB/S(バランスシート・貸借対照表)など、キヤノンの財務諸表を見て各自でご判断ください。)

にも係わらず、今回、時事通信社の電子版「時短で雇用確保へ」といった報道にあるように、何の前触れもなく、突然「ワークシェアリング」を持ち出した御手洗氏・・・。 自分の経営している会社、ならびに、そのグループ企業で実施してもいないことを何故持ち出すのか? 恐らく、その魂胆は、今問題になっている雇用維持を逆手に取って「製造業への派遣の見直し」を牽制しつつ、更には「正規社員の人件費を派遣社員並みに抑える」狙いがあるのだろう。 


実の所、彼ら大手企業の経営者の思惑は、法人税の大幅引下げに留まらず、厚生年金(現在の掛け金は労使折半)や雇用保険、健康保険にいたるまで、ありとあらゆる企業負担を全て放棄し、国に押し付けたいのだ。 これまでの政府の「有識者会議」とやらをつぶさに見ていると、その魂胆が透けて見えるというものだ。 今回持ち出したワークシェアリングなどの雇用対策も、経団連に参加している経営陣の自らの企業努力としてではなく、「政府とも協力して新しい雇用の維持・促進策を打ち出していきたい」と御手洗氏は言っている。 その真意は「政府協力」することにはない。 その本心は、「セーフティネット」と称し公共性をアピールしつつ、被雇用者に支払う賃金以外の人件コスト(年金など各種保険料)を全て日本政府に押し付けたいのだ。 言っておくが、国にコストを押し付けるということは、つまるところ我々国民に「税金」というカタチで負担させるということだ。

そもそも、経団連会長である御手洗氏が今の雇用問題について真剣に考えているというなら、職を失って路頭に迷っている事態が報道されている「年越し派遣村」に集っている人々に、まずは「暖かい場所」の提供をしたらどうなのか。 今回の派遣村には300名もの職も住む所もない人々が集まった聞く。 しかし、経団連にとってこの人数を建物内に収容することは決して難しいことでは無い。 何故なら、同じ千代田区内には「経団連会館」があるからだ。 あそこの12階の「ダイアモンドルーム」は、標準席数300席(立食定員600人)の広さがあり、300人が横になれる充分な広さがあるではないか。(約150坪) 何故、そういった行動を起こさないのだ?

行動の伴わない指導者に従う国民は、戦前ならいざ知らず、現代の世の中にはいないだろう。 御手洗氏の発言は、国民にとって白々しく聞こえるだけだと思う。 更には、私のように、反感すら覚える人は少なくないと思うのだが・・・。



※内部留保とは・・・
今期の税引利益から、税金、配当金、役員賞与など社外に払い出される分を差し引いた、残りの部分のこと。企業内に留保され再投資される。
内部留保には、商法によって積み立てることが決められている「利益準備金」、企業の判断によって積み立てられる任意積立金のほか、未処分の利益もある。
(野村證券のHPより)
余談だが、政府・与党は、法人税が高いままだと企業が海外へ流出してしまうと危惧し、法人税の引下げに懸命であるが、日本国外に出て行きたい企業は勝手に出て行くがいいのだ。 そのかわり、海外で日本人以上に勤勉でロイヤルティー(忠実、誠実)の高い人材が得られるかは保証しない。 ソニーやニッサンの例を見るまでも無く、優良国内企業であっても、外国人のCEOを迎えたら好調な業績も日本では長続きしないだろう。 逆に、海外へ移転した企業は、今の不況のような困難な時代を乗り越えれると思えない。 特に、製造業においては、製品の優劣の鍵を握るのは日本の中小企業であり、そこで働く日本人の職人「技」に他ならないと思うのだ。 まさに、技術は「人」である。 逆に言うと、日本と日本政府は、人材(=ソフト)の教育にお金を掛けなければ、この先、国家として立ち行かなくなることを充分銘記しておくべきであろう。

企業が国外に出ていても我々日本人は困らない。 いかにして、人材の流出を食い止めるかの方がが重要なのだ。 昨年ノーベル物理学賞を受賞した米国籍の南部氏や、米国で研究を続けている化学賞を受賞した下村脩氏を思い起こしていただきたい。 それ以前に受賞した田中耕一氏も受賞した研究成果はイギリスでのものだし、日本人初の生理学・医学賞を受賞した利根川進氏も研究の拠点は米国だった。 

日本人として、日本の企業が世界で名が知れ、国際企業になるのは嬉しい限りだが、一たび日本から海外へ出て行ってしまえば、一消費者としては他の外国企業と同列にしか映るまい。 日本で売れれば海外でも売れる商品は多くとも、海外で売れたからといっても日本では売れない例の方が多いだろう(だからこそ、米国などは国家として商取引に圧力をかけてくるのだ)。

日本には、日本人にしか通じない消費文化とういものがあるのだ。 それは外国のメーカーには決して太刀打ちできないだろう(真似はできても)。 例えば、携帯電話機のように・・・。
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posted by 少彦梛 at 02:03| Comment(0) | 経済・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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