2009年01月22日

ああ・・・、オバマ氏の思い込み?

日本時間の昨日未明、アメリカの新しい大統領として就任演説を行ったバラク・フセイン・オバマ氏。 日本でも彼の演説集(CD付き)が売れているようだから、もしかしたら、オバマ氏のおかげで日本人の英語理解力は飛躍的に伸びるかもしれない(笑)。
 

そのオバマ氏は、大統領就任前の1月16日に行った演説で自らの政策のひとつであるグリーン・ニューディールについて触れている。 読売新聞の電子版『オバマ氏が環境集中投資を強調』によると、「日本、ドイツ、スペインは、この分野への投資に力を入れ、新時代の環境産業でリードしている」と述べ、「政府が環境分野への大胆な投資を促進し、国民が懸命に発明した技術に報いたからだ」と指摘し、「クリーンエネルギーは遠い将来のことではない。たくさんの雇用を生み出せる」と強調したという。

ドイツ、スペインの情勢は知らないのだが、日本については「政府が環境分野への大胆な投資を促進」したというのは勘違いだろう。 もちろん、公害対策も環境分野への投資と言えなくもないが・・・。 逆に、クリーンエネルギーを始めとする環境対策は、政府はスローガンを掲げるぐらいで、温暖化ガス削減に「大胆な」投資を促進したとは思えない。 実際、環境省の報道発表「2007年度(平成19年度)の温室効果ガス排出量(速報値)について」によると、2007(H19)年度の温暖化ガスの排出量は、京都議定書で基準年とされた1990年より8.7%も増加している。 京都議定書に定められた1990年より排出量を6%削減するには、14.7%もの削減が必要なのだ。 この状況では、日本政府が環境分野に積極的だったとは言い難いだろう。


ちなみに、日本政府は温室効果ガス削減の内3.8%は森林吸収源対策で削減すると言ってますが、これもあまり進んでいないのが現状のようだ。 林野庁は年間約55haの間伐により、木の成長を促すことでCO2削減の実現を目指しているが、実際には年間目標の半分強しか間伐を実施できていない。 木は成長する時に二酸化炭素を吸収するから、木の成長を促す森林の間伐はCO2吸収に大きな効果がある。 逆に、環境省が保護している原生林などは森(木々)としての成長が止まっているので、CO2の吸収への貢献度は極めて小さい。 (むろん、原生林保護は別の意味での環境保護として必要ではある。) その上、整備新幹線、高速道路の延伸、土地開発などで、植林可能な森林の面積が年々削られているのが実情だ。

日経エコロミーの電子版に、稲本正氏が『森と人の懸け橋』というコラムを連載されています。 その中で『「森林吸収で3.8%削減」の中身とは――「マイナス6%」への具体像 (08/02/15)』などといった記事に、「森林事業をどのように実施しCO2削減目標達成するのか」について、林野庁への質問や回答、また、それを元にした氏のお考えなどが連載されています。 ここに、ご紹介しておきたいと思います。


閑話休題

京都議定書の締結以降、日本の環境分野への対策、特に温暖化ガス削減については「環境分野への無能無策な政府」には頼れないと感じた国民の「自らが(企業内等において)努力し、懸命に研究開発をしたり、環境対策に取組んだ」頑張りの結果であろう。 その結果に対し、政府が報いてくれたなどといったことは殆ど聞かない。(むろん、高効率なシステムの導入に対する企業等への補助金や税負担の軽減など、導入促進措置はある) 


例えば、同じ読売新聞の電子版で、『「NTT製」の堆肥人気 』によると、NTTグループが、残飯などから「堆肥生産を手がけ」、しかも農家などには「作物の育ちが良い」と好評という。 「へぇ〜」と思ってしまうが、「市の焼却炉で燃やすゴミの減量につなげたい」と当該企業は意気込んでいるようだ。 「通信(電話)」と「堆肥」という大きく乖離した事業だからここまで話題になるのだが、NTTに限らず、多くの企業が本業とは違う環境対策事業、産業に取組んでる。 だが、あくまで「経済活動」の上でのことだ。


これに対し、政府がした大胆な投資といえば、「国民から徴収した電源開発促進税」を原発設置周辺自治体に「電源立地地域対策交付金」などの形でばら撒いて原発建設の後押しをしたり、排気塔から放射性物質を外部に垂れ流し続ける「核燃料再処理工場」を六ヶ所村に作ったことぐらいだろう(苦笑)。 しかも、未だに再処理後の高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分の候補地すら決まっていない。 

「環境にやさしい」「リサイクル可能」なエネルギーとして喧伝している原子力も、政府の原発への認識の甘さからか、それとも政府の管理監督が行き届かないからか・・・何度も問題を起こしている。 例えば、核燃料再処理でできるプルトニウムを燃料とする高速増殖炉・「常陽」の燃料加工工程において、臨界事故(東海村JOC臨界事故)を起こしている。 また、国の定める原発の耐震基準の甘さから、2007年7月16日に発生した新潟県中越沖地震により、世界最大の原子力発電所といわれる「柏崎刈羽原子力発電所」が被害を受け、未だに使用停止命令が出されたままだ。 そこで、必要電力を供給するため、東京電力はCO2を大量に発生させる火力発電所をフル稼働させざろう得ないという、温暖化ガス削減の逆の事態にまで陥っている。

また話が横へ逸れてしまったが・・・。


アメリカ大統領となったオバマ氏が言う、「政府が環境分野への大胆な投資を促進し、国民が懸命に発明した技術に報いた」というのは、たぶん、日本には当たらないであろう。 日本車がいち早くハイブリッド車などを売り出したこと等のイメージからきた、彼の「思い込み」と推察する。


これも蛇足だが・・・、麻生首相が記者団から、オバマ大統領の就任についての質問に対し、「経済危機に関する認識が一致している。国民の潜在力を引き出す手法も同じ。世界1位、2位の経済大国が一緒に手を組んでやっていけると確信した(概要)」と答えたらしい。 麻生総理の勘違いも甚だしい、と思うのだがどうだろうか?


まず、「経済危機に関する認識」が一致しているとは思えない。 オバマ大統領はグリーンニューディール政策という新たな経済対策を掲げている(具体策といった中身は不明な点も多いのだが…)。 今の経済危機の深刻さを深く理解してるだろう。 対する麻生総理は、これまでに景気回復の柱となる政策は、お題目すら打ち出せていない。 2兆円の給付金ですら国会審議で汲々しているのが現状である。 来年度の予算案も、旧態然とした景気刺激策。 その多くがこれまでどおりの積み上げとシーリング方式による予算案。 例年と変わらず、予算の分捕り合戦と、取って付けたような付け焼刃的な景気対策が並んでいるだけである。 景気回復効果の期待できる政策は目に付かない。


それから、「国民の潜在力を引き出す手法」もまったく異なるのではないか?

非正規雇用の解雇者続出の現在のニッポン。 彼らの潜在力を引き出すための手法は、これまでもまったくといっていいほど国民には示されていない。 麻生総理がしていることは、企業経営者に雇用し続けて貰えるようお願いするだけだ。 しかも、一度は経団連の御手洗氏にソデにされている(苦笑)。 無能な政府に痺れを切らした地方自治体が、独自に臨時雇用採用し出したくらいだ。 麻生総理は、「放置プレー」で国民の潜在力を引き出そうとしてるのか?(苦笑)。 だいたい、支持率が20%を切っていると言われるリーダーに、ほとんどの日本国民は付いて行くまい。

それに対し、オバマ大統領は国民健康保険の整備を始めとした、社会保障等を充実させることによって米国民の潜在力を引き出そうとしてるのではないだろうか? だとしたら、日本政府とはまったく逆の手法である。 


最後の「一緒に手を組んでやっていける」については、笑うしかない。 「確信」するのは個人の自由だが、どのような根拠をもって確信したのかが疑問である。 アフガンへの自衛隊派遣などで一緒に手を組むのかな?(汗)

経済については、米国は自国の経済成長のために日本を踏み台にしかねない。 手を組む前に米国の動向を探り見極める。 そのくらいの注意が必要ではないかと思う。 まだ、オバマ政権の対日政策は、その断片も明らかではない。 昨日、今日で確信できるのか?

外国人投資家などは、「次に日本の株を買うのは総選挙が終わって(政治の動向を見極めて)から」と言ってるらしい。 オバマ氏に更に近い位置にいるであろう人物でも、対日政策の一端すら掴めていないのだろう。 総選挙後も自公与党の現政権が続けば、外国人保有の日本株は投売りかもしれない・・・。



そもそも、オバマ大統領も国務長官となったヒラリー・クリントンも、元は弁護士だ。 恐らくロジカル(理論的)な思考をもって外交にあたるだろう。 お友達とナアナアでやってきた息子ブッシュとは明らかに対照的になると思う。 ちなみに、日本を軽くあしらい、日本の頭越しに中国と外交を行ったビル・クリントンも元弁護士だ。 ビルも、2期目には「日米安保」についてだけは重要視した。

言い換えれば、外交相手にも、理論的な交渉や論理にかなった意見交換ができる能力を求めていると思われる。 麻生総理や頭の悪い中曽根外相などと話が合うとは思えない。 英語が得意な麻生総理も、ゴルゴ13で仕入れた国際ネタなどを調子に乗って披露すれば、「真の国際情勢を知らない奴だ」とバカにされかねない。 最初の頃はともかく、すぐに日本は相手にされなくなるだろう・・・。 アフガンの後始末や北朝鮮の核問題解決などのための「金ヅル」として日本と付き合う、日米安全保障条約を機軸とし、そんな外交戦略も取り得るのだ。

そう考えると、ノホホン麻生で大丈夫か?ニッポン!
posted by 少彦梛 at 19:26| Comment(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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