2009年04月04日

ジャパン・パッシング

4月2日にロンドンで行われた第2回G20金融サミット。 日本からは麻生総理と与謝野財務・金融担当・経済財政政策担当大臣の二人が参加した。 外遊好きの麻生総理は、内政の不人気を自分の得意とする外交(と思ってるのは本人だけだろう)で挽回すべく勇んで出発したものの、今回も諸外国首脳から無視されたようだ。 それだけならともかく、時事通信社の電子版『「政策総動員」世界に訴えへ』のとおり、ドイツの首脳を怒らせ、また、英紙フィナンシャル・タイムズがインタビュー(和訳)を同紙の1日付の1面で「麻生首相がG20の分裂を露呈させた」とセンセーショナルに報じ、各国首脳からも呆れられたようである・・・。

実際、G7首脳は誰ひとり麻生総理との個別会談に応じていない。 米国の「TIME」の電子版、4月2日付けの記事、 『 How the G-20 Succeeded 』には、オーストラリアのラッド首相、中国の胡国家主席、そしてインドのシン首相までもが発言を引用されてるのに、Japanの字も麻生のアの字も単語すら無いのだ。

財政出動論についても「(日本は)そういう経験を15年間やってきた。初めて同じような状況に直面している欧米諸国の中には、財政出動の重要性を理解していない国がある。」と麻生総理がいくら力説しても、どの国も相手にしないだろう。 15年間も財政出動をしてもGDPの伸びは2%程度に留まり、今回の世界金融危機では一番被害の少ないはずの日本が最もGDPが落ち込んでいるのだから、各国が麻生総理を相手にしないのは当然だ。 その上、日本として、途上国向けに2年間で2兆円を超える(総額220億ドル以上)貿易金融支援を行う考えを表明しても、各国からは受け流されたようだ・・・。


そもそも、麻生総理がG20金融サミットに参加するにあたり、2兆円以上の資金を拠出することに対する国民への説明も、ましてや、国会への通告もなしである。 以前、安倍元総理が、6割以上の国民が反対しているといわれたインド洋上での給油活動を勝手に国際公約してきたのと同じである。 自民党の総裁で総理大臣だったら、国民の意見も聞かず、彼らはどんな国際公約を海外でしてきても許されるとでも思っているのだろうか? ましてや、今年度の予算が国会を通過して数日も経たないのに、赤字国債を発行してまで「今年度の補正予算」の検討を指示するほど日本経済そのものが傾いてる状況にあるにも係わらず・・・だ。

尤も、安保闘争、成田闘争以来、そういう自民党政権にこれまで怒りの声をあげてこなかった国民に、その責任があるのだが・・・。 もはや、麻生総理が「世界第2位の経済大国」といくらアピールしようが、「世界のお財布」としてすら、G20各国の歓心を買わなかったようだ。 日本はどの国からもほとんど無視されているようだ。(むしろ麻生総理は邪魔?)



ところで、今日の午前中、朝鮮中央通信が「間もなく人口衛星を打ち上げる」と報じたとのニュース速報があって、『人口衛星打ち上げ成功オメデトウ』と皮肉記事でも書こうかな(笑)と思っていたやさき、公共放送が昼の地域ニュースを放映中に急に画面が変わり、「北朝鮮から飛翔体が発射された模様」と報じられた。 『ほぉ』と思っていたところ、すぐさま「誤報」との訂正・・・。 結局は、本日の打ち上げはなかった。

北朝鮮が人工衛星打ち上げを公表してから日本政府は「ミサイル発射でけしからん」と騒いでいるが、私は「政府はもう少し冷静になれよ」と思っていた。 米国は、89年のテポドン1の発射の際も「人口衛星の発射だった」との見解を示したし、今回も慎重な姿勢を保っている。 恐らく、今回の北朝鮮の打ち上げも表向きは「人口衛星」と公表するのではないかと私はみている。 麻生政権が殊更ミサイルと騒ぐのは、自民党お得意の「国民を脅して支持率を上げる」ことを狙ったものではないか? ついでに「防衛予算のアップもやむを得ず」の世論形勢も作りたいのだろう。 なにしろ弾道ミサイル防衛(BMD)計画はいくら金があっても足りないのだ・・・。



今回の誤報は、千葉にあるレーダーサイトから「日本海で何らかの航跡を探知」との報告を受けてとのことらしい。 人間はもともと「次はこういう事があるはずだ」と思い込んでいると、次にそれとは異なる指示や報告が届いても、元々思い込んでいた行動をするという。 例えば、昨年多発した、旅客機が許可を得ないまま滑走路に進入したという事故である。 パイロットが次に滑走路進入指示があると思い込んでいると、「滑走路の手前で待機せよ」という管制官の指示を「滑走路に進入せよ」との指示だと取り違える。 恐らく、今回の誤報も同じような人間心理が働いたものではないかと想像される。 

しかしながら、今回の「誤報」については報道各社が政府の不手際を責める一方、浜田防衛大臣が「情報伝達の不手際」と釈明し陳謝すると、それ以上追及しないのは何故なのか? TVニュースなどでは「今後、情報伝達に間違いの無いように」といったコメントが流れ、時事通信社の電子版「速さ重視、確認追いつかず」のとおり政府の言い訳をそのまま伝えている。 河村官房長官は、記者団に、米軍などに照会せずに発射情報を公表したことについて「(防衛省から)情報を受けたから、速やかに伝達した」と釈明したという。 また、情報収集体制の見直しの必要性に質問が及ぶと、「それはない。検証は必要だが、マニュアル通りにやってもらいたい」と答えたという。 

今回の誤報は、「誤認」「伝達ミス」「確認ミス」・・・などといった単純なレベルの話だろうか? 千葉にあるレーダーサイトの情報を「鵜呑み」にした結果の誤報であるが、防衛省は日本海に2隻、太平洋に1隻のイージス艦を派遣し監視をしている。 また、E−2C早期警戒機も飛ばしている。 たぶん、警戒管制システムを搭載したE−767早期警戒管制機も飛んでいるだろう。 ちなみに、米軍の早期警戒衛星の情報も入る手筈だし、米軍はイージス艦を2隻日本海に展開し電子偵察機「RC135Sコブラボール」も2機飛ばしている。 米軍情報」はともかく、自衛隊として得られる情報のみでも充分北朝鮮のロケット(?)発射情報は収集できたはずである。 それなのに「誤報」を流した・・・。

つまり、日本政府は防衛措置を行う上で一番重要な、そして、国防に必要不可欠な「情報分析」の能力が欠如していたことが露呈したのだ。 これこそが由々しき問題なのである。 河村官房長官は浜田防衛大臣に対し「緊張感を持ってやってほしい」と注意したというが、そういったレベルの話ではない。 そもそも、日本に落ちる場合は「破壊措置命令」が出てる以上、自衛官は普段以上に緊張感を持って任務にあたっているだろう。 今回の「誤報」を、緊張感の欠如による『単純ミス』『マニュアル通りやれば良い』と思っているのなら、そんな政府首脳達の方がよほど気が抜けているんじゃないか。 責任を押し付けられる自衛官が可哀想だ。
 
しかも、今回の誤報は、ロイター通信は政府発表の1分後日本の報道を引用し「北朝鮮がロケットを発射」と配信。 また、韓国も日本の公共放送の報道を受けて一時特番に切り替えて報道し、中国の新華社通信も「日本政府は北朝鮮が飛翔体を発射したと表明」と速報したという。 全世界的に日本政府の無能さを晒したのだ。 ある外務省幹部は「中国やロシアは、日本のインテリジェンス(情報収集分析力)はこの程度だと思うだろう」(要旨)と言ってるという。


遡って鑑みれば、麻生総理が「破壊措置命令」を出したことを発令当日に公表したのがそもそも間違いだ。 PAC−3の展開や「こんごう」「ちょうかい」「きりしま」といったイージス艦の展開情報が報道された。 しかも、PAC−3移動時に交通事故(ぶつけた)を起こしたことまで(苦笑)。 これでは、日本の自衛隊の展開力(要する時間など)が他国からまる分かりである。 本来なら、「破壊措置命令」発令の公表は展開が完了間近ないし完了後にすべきだ。



日本は国防能力についての重要な情報を他国に晒したのだ。

こんな政権に「外交」や「国防」を語る資格はない。


<追記>
本文中で、「安保闘争、成田闘争以来、そういう自民党政権にこれまで怒りの声をあげてこなかった国民に、その責任がある」と書きましたが、けして武力闘争を勧めているわけではありません。 活動は法に則って行ってください。(3/5)
posted by 少彦梛 at 23:32| Comment(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。