2010年01月15日

どの口が言う?

朝日新聞の電子版、「殺人未遂で立件を」によると、某反捕鯨団体の船が日本の調査捕鯨船団の監視船と衝突して沈没するという事故(?)に対し、同団体の幹部は日本側のの監視船の船長らを殺人未遂で立件するようニュージーランドの警察当局に求めたという。

ホント、「どの口でいう?」というのが感想だ。

現在の日本の調査捕鯨の良し悪しについてはここで論じない。 ただ、今回の船舶同士の衝突と、それに対する同団体の主張は言いがかりとしか思えない。 そもそも同団体がこれまで続けてきた日本の船への妨害行為は明らかに「傷害&傷害未遂」だろう。

今回の衝突事故は、法を守って車を運転していたら、どこからともなく暴走バイクの集団が現れ、彼らが爆音を響かせて蛇行しながら車を取り囲んだあげく、1台のバイクが車と接触した事故のようなものだ。

つまり、この例えで言えば、バイク集団がちゃんと道交法を遵守していれば充分事故が避けられたのに、接触したのは車側の所為だと言いがかりをつけているのと同じ構図だ。
(真面目なバイク乗りの皆さんへの誤解になりませんように・・・)

ホント、どの口で言うのか? 呆れるばかりである。


その昔、鎖国政策をとる江戸幕府に開国を求めてやってきた某国は、もともと「捕鯨船の燃料である石炭や水」の補給基地として日本の開港をせまるため、わざわざ軍艦まで率いて遠い日本にまでやって来たのだ。 その末裔が、今度は反捕鯨の旗を掲げて日本の船に対しテロ的抗議活動をするのは滑稽な話だ。


読売新聞の電子版「豪でも反感高まる」によると、同団体に同情的だったオーストラリアでは、今回の衝突事故等の模様を撮影した動画を見て、彼らの過激行動への反感が募っているそうだ。 ホエールウオッチなどを観光の目玉のひとつとして進めている同国にとっては、この反捕鯨団体の存在は「痛し痒し」なのではなかろうか?






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2009年04月09日

ジャパン・パッシング3…振り上げた拳をどう下ろす?

5日に北朝鮮が打ち上げた人工衛星と称する飛翔体について、国連内では日本の孤立感が漂ってるようだ。 共同通信社の7日付けの電子版「安保理で日中が全面対立」が報じるとおり、米国が米国債の最大保有国である中国に強い態度で臨めないこともあり、日米の共同歩調が取れず日本が孤立する可能性も出てきたという。

また、ロイターの電子版、「国連安保理、北朝鮮ロケット発射で直ちに行動取らず」によると、5日に召集された国連の国連安全保障理事会では、「中国とロシアは発射が国連のルールに違反するかどうか確信はない」との立場をとり、また、非常任理事国の内の3カ国が中露の立場を支持しているという。 また、中露は北朝鮮に対する新たな制裁が盛り込まれる決議案には拒否権を発動する構えとも伝えられている。 NYのブルームバーク・ニュースは「中国は、単に従来の決議内容(2006年の安保理決議1718号など)を再確認するだけの内容なら、新たな決議採択に同意してもいいというサインを内々に送っている」とも報じているが、安保理の協議においては中露とも安保理決定では最も弱い「報道機関向け声明」が適当と主張している。

今回の北朝鮮の人工衛星打ち上げの件では、せいぜい、制裁決議の1ランク下の「議長声明」に留まるのではないかとの見方が強いようだ。


しかしながら、今日、午前中の記者会見において河村建夫官房長官は「あくまで新決議採択を目指す考えを強調した」(時事)と伝えられており、また、その後、明日開幕の東アジア首脳会議(サミット)前に予定されている麻生総理と中国の温家宝首相の首脳会談で「決着を求めていく」と語ったされる。

しかし、中国側が「北朝鮮への新たな制裁決議」に応じることはまずないだろう。 そして、日本政府はこの件で「中国を敵に廻してでもやりぬく」ほどの度胸もないだろ・・・。 仮に中国を敵に廻せば日本の国益の損失の方がよほど大きいのだから。


本来ならば、日本政府は、北朝鮮が「人工衛星打ち上げ」をIMO(国際海事機関)に通告した時点で、「発射後」の対応について、中国・ロシアと下交渉を進めておくべきなのだが、現在の状況だけをみれば、外務省がその職責を全うしたとは言いがたい。 ロシアのラブロフ外相は、今回の安保理招集前から「日本政府は騒ぎすぎ」と公言している。

しかも、諸外国から「日本が自国からの輸出品の管理が出来ていれば、このような問題は起きなかったはずだ」とも言われたら反論できない。

03年5月の米上院公聴会で北朝鮮から亡命した元技官の男性が「北朝鮮のミサイル部品の90%は日本製」と証言している。 また、03年以降も北朝鮮への不正輸出は続いており、最近では07年に共同通信社が「北朝鮮へ軍事転用可能部品輸出」を報じているし、国際原子力機関(IAEA)は07年の北朝鮮の核関連施設への査察で核兵器製造に転用可能な日本製真空ポンプを発見している。

ある意味、今日の事態は日本自身が招いたとも言えるかもしれない。



そもそも北朝鮮の人工衛星打ち上げの表明から約1ヶ月もの時間があったにも係わらず、今回の騒動では、またもや日本政府の外交ベタが目だっただけという結果に終わりそうだ。
posted by 少彦梛 at 22:12| Comment(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月17日

麻生総理、シベリアへ日帰り外遊

さて、今日一日マスコミ各社は中川昭一財務相のローマでの記者会見の件で騒ぎまくっていたようですね。 そんな中、米国のクリントン国務長官が来日し、来週24日にホワイトハウスにご招待されて舞い上がっている麻生総理は、明日、18日、日帰りでサハリンへ行きロシアのメドベージェフ大統領と会談するという。

時事通信社の電子版『対ロ外交で反転狙う』によると、「サハリン沖の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の稼働式典への招待に応じたもの」だが「原油価格の急落などでロシアの国内経済が低迷している今こそ、領土問題を含む日ロ関係を前進させる好機」と捉えたらしい。 ロシア側から今回の首脳会談の話が日本政府に来たのがわずか3週間前と聞くが、麻生総理は自分の内閣の支持率アップを目論んだのか直ぐに飛びついたらしい。

ところが、今回のローマG7での「中川財務相酩酊」事件・・・。 スポニチの電子版『「衆院選はいつ?」海外メディア報道』のとおり、ロシアのクドリン副首相兼財務相との会談から中川財務相は変だった。 私がTVニュースで見た限り、中川氏と会った際のクドリン氏は明らかに退(ひ)いていた。 嫌そうな表情を見せてた。

そして今回のメドベージェフ氏との会談だ。 麻生総理が幾ら意気込んで行っても、メドベージェフ大統領から「ローマでの中川前財務相はどうしたんだい」(つまり、俺は知ってるぞ)と言われたら、麻生氏はロシアへは何も言えずに帰ってくるしかないだろう。 日銀の白川総裁が口を噤んでも、中川前財務相がお酒の匂いをプンプンさせてれば、クドリン氏に分からぬはずはない。 当然、メドベージェフ大統領にも報告が上がっていよう。 ロシア通信も、記者会見前のクドリン副首相兼財務相との個別会談で、中川氏が麻生首相のことを「大臣」と呼ぶなど、既に「普通の状態でない」ことが明らかだったと報道しているという。

麻生総理は一旦中川氏をかばった(即クビにしなかった)が、今回ロシアのメドベージェフ大統領と会談するのなら、ローマで記者会見した時の中川氏の行状を(お酒に酔ってたか)洗いざらい公表すべきだったろう。 日本の主権(領土問題)にも係わるかもしれない重要な外交会談の前に、つまらぬ「弱み」を握られたもんだ。


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2009年02月15日

単なるボヤキ・・・

明日、16日、アメリカの国務長官のヒラリー・クリントン氏が日本に来る。 時事通信社の電子版「クリントン長官、16日に来日」によると、河村官房長官は、歴訪の最初に日本を訪問することを『日米同盟重視の姿勢の表れ』などと能天気に言っているようだが・・・。 クリントン氏がアジア歴訪する中で、訪日が最初と最後で何か違いがあるのか? 政府自民党のメンツを除けば、両者に対した違いはなかろう。

しかも、米国サイドは、クリントン氏が足を運んで『日本政府の約束手形を受取りに来る』だけのことだ。 まずは、これから発行する米国債の引き受け額を約束させ、米国がメチャクチャにしたイラクの「復興支援金」、それから、米国がこれから攻め込むアフガンに「治安回復・復興支援」の名目で、米国の尻拭いのための資金を無心する・・・のだろう。 そして、なかなか進展しない在日米軍再編に対して日本政府の尻を叩き、米国の都合(戦略)なのに日本の負担は3兆円とも聞く「海兵隊のグアム移転に関する協定」のサインを貰いにくるのだ。 わざわざ来るのは、さすがに、米国のための資金を調達するのに、日本側を呼びつけるわけにもいかないからだろう(もっとも、麻生総理なら、オバマ大統領に会えるというだけでもシッポを振って渡米しそうだが)。 さて、今回、日本政府は米国に幾らのお金(我々の税金)を用立てる約束をするのでしょう?

さてクリントン氏は、そんな大仕事は数時間で片付け、わざわざ日本の民主党代表の小沢氏に会う(時事)らしい。 クリントン氏側のたっての要望だとか? 小沢氏側は「時間が取れない」と言って断って(?)いたにも係わらず、何とか調整したようだ。 しかも17日の午後9時からという遅い時間に、だ。 クリントン氏としては、そこまでしても野党の小沢氏との会談が重要なのか? そして、果たして、クリントン氏に小沢氏の腹の内が読めるかな?(苦笑)


ところで、ロイターの電子版「G7声明」のとおり、ローマで開かれた7カ国の「財務相・中央銀行総裁会議」が閉幕した。 中川財務相と白川日銀総裁の記者会見で、記者と中川氏の質疑応答がまったくかみ合ってなかったり、中川氏は寝てるのか目を閉じて俯いている様子がTVニュースで流されていた。 会議で侃々諤々やりあった疲労・・・というより「また二日酔いか?」と思ってしまうような様子だった。 これをAP通信が世界に配信したそうだから・・・。 各国はどう取るか分からないが、画像だけ観れば日本の恥である。 そうそう、今回、「日本政府が国際通貨基金(IMF)に最大1000億ドルを拠出する取り決めに正式に署名した(時事)」そうだ。 IMF加盟国支援が必要になった場合、要請がありしだい、日本の外貨準備からIMFに貸し付ける形で拠出するという。 お金に色が付いているわけではない。 IMF専務理事は「人類の歴史上、最大の貢献だ」と言ったそうだが。 IMFが支援する諸外国が日本に感謝したり尊敬の念を抱いてくれるわけではないだろうに・・・。 


<追記>2/16 7:30
共同通信の電子版『中川財務相、G7会見で“迷言” 「深酒」や「居眠り」疑惑』
posted by 少彦梛 at 23:20| Comment(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月06日

マケイン上院議員の素晴らしさ

昨夜、書いた記事をアップしようとしたら・・・「メンテナンス中です」 _| ̄|○ 。
↑ショック大きい・・・。

昨日、13時も過ぎ遅い昼食を食べていると、共和党のマケイン候補が「大統領選の敗北宣言」の演説を行う模様を某公共放送でLIVE中継していた。 「敗軍の将、多くを語らず」なのでしょうが、演説も上手いですねえ。 同時通訳を介してであっても、そう感じますよ。 日本は選挙の演説は、当落後の演説も、候補者の多くは演説は下手ですよ。 煩いだけの人も(笑)。

マケイン候補は、選挙人獲得数ではオバマ候補にダブルスコアで敗れたが、オバマ氏が過半数を獲得することは避けようのない状況になった時、地元フェニックスの支持者の前でこう演説した。 「私は、オバマ氏に電話で祝意を述べた(同時通訳)」と。 支持者のブーイングを抑えながら演説を続け、オバマ氏の勝利を「歴史的偉業を達成した」とオバマ氏を称えてみせた。 また、投票日前にお亡くなりになったオバマ氏のお婆さんへの哀悼の意を表すことも忘れなかった。

そして、
「These are difficult times for our country, and I pledge to him tonight to do all in my power to help him lead us through the many challenges we face.」(米ロイターの電子版より)
の発言である。
『わが国は困難な時にあり、そして、直面する多くの難問に彼が我々(国民)を終始リードするにあたり、私自ら全力で役立つことを、今夜彼に誓った。』(彼=オバマ)
(↑英語能力は中学生レベルの私なので(苦笑)、正しいかどうか分からない翻訳です(笑)。)


同時通訳を聞きながらマケイン氏の演説を観ていたのですが、さすがに「アメリカの大統領」を窺う人物だ。 政策に意見の違いがあっても、選挙で結果が出て負ければ潔くそれを受入れ、次に、自国のために自分ができることに全力を尽くそうという気概をもっているということは大変すばらしい・・・と、感動する私がいた。

翻って、日本の政治家は・・・。 情けない限りですな。 マケインも「比べて欲しくはない」と言うだろう。(笑)
参院選で破れても首相として居座り、党内で首相の座をたらい回しにし、国民へ信も問えず右往左往している。 その上、国民のためになる政策は、全くと無いといっても過言でなかろう。 挙句に国会のねじれ現象を非難し、直近の民意が反映された参議院からの修正案や法案は受け入れようともしない・・・。 本当により良い法案を作る気があるのかね、与党自民公明は・・・。

以前の記事にも書いたが、自らの案を受入れてもらうには、まずは相手がどう考えてるのか良く聞かなければ、議論にならない。 議員立法案ならまだしも、政府(官僚制作)提出法案ならば猶のことだ。 官僚の作った法案に民意は反映されていない。 与党がちょと修正することはあってもね。 これでは、憲法の規定する「国の最高機関」の名が泣くぞ。


オバマ氏の勝利宣言の演説については・・・他に誰かが書いてるでしょうから、特に取り上げません。
オバマ氏が米国の大統領になって、日本がどう影響を受けるかは・・・また別の機会にでも・・・。

ただ、今日のTVニュースなどで、オバマ新大統領誕生による日本への影響について、お追従団体の記者クラブのインタビューに太郎ちゃんが答えてましたが、考えが甘いですねぇ。 河村官房長官も記者会見で「日米関係は(米政権が)民主党に代わっても全く揺るぎない」とか言ってますが、揺るぎの無いのはオバマ氏が発言した「日米同盟」だけでしょう。 つまり、軍事に関する「日米安保条約」だけは揺るがないのであって、日本との経済や貿易、その他のことをオバマ氏はこれまで特に発言してませんから。 11月15日のワシントンでのG20緊急サミット出席の際も、太郎ちゃんとの会談についてはオバマ氏側が時間が取れないと断ってますが、他の主要国はすでにオバマ氏との極秘会談のスケジュールを押さえてますよ、きっと。 例え10分でもね。 他国の外務省は数ヶ月前からオバマもマケインも抜け目無くスケジュールを押さえてますって。 それが外交ってもんでしょ。

posted by 少彦梛 at 12:17| Comment(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月13日

給油活動は国際貢献になっているのか?

ロイターの電子版「対テロ新法改正、審議入り」によると、先日10日に、インド洋での海上自衛隊による給油活動を延長するための「テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法」改正(延長)案について政府側が趣旨説明し、審議入りしたそうだ。 早ければ、参議院で否決後、衆議院の3分の2条項を使って24日に再可決、成立する見込みという。 また、時事通信社の電子版、「アフガン支援、給油に専念」によると、アフガニスタンへ戦闘部隊を派遣していない日本やNATO加盟国に対し米国からアフガニスタン軍育成のために少なくとも1兆7千億円の拠出を求めている件について、「給油活動継続が現在の最大の仕事で、これを確実にやることが一番大事だ」と述べたらしい。 別の報道では、9日にキーティング米太平洋軍司令官と会談した浜田靖一防衛大臣も、「活動の意義を国会、国民に丁寧に説明して支持を得るよう努力したい」と応えたという。 少なくとも、政府・自民党はインド洋上での無料給油スタンドを継続する気マンマンのようだ。 ただ、旧テロ特措法の審議の際も、現行の所謂新テロ特措法の可決にあたっても、安倍政権や福田政権が国民に丁寧に説明してきたとは思えない。 昨年の各報道機関の世論調査でも、約6割の国民が、海上自衛隊のインド洋上での給油活動継続に反対だったと記憶しているが、それが証明している。 今回も「国民が納得できる」説明は期待できまい。


実際のところ「テロ対策海上阻止行動」がテロとの戦いに功を奏してるとも思えない。 事実、IMFの報告では、'07年のケシの生産量は、ターリバーンがケシ栽培を禁止した'01年の44倍の8200トンにのぼるという。 国際市場に流れているアヘン(ケシから採れる)の90%はアフガンからのものと言われ、ターリバーンの資金源になっている。 このケシにより豊富な資金を得たターリバーンは武器を調達している。 そして '05年以降、アフガニスタンのテロ活動は再びターリバーンが勢力を盛り返し、治安も儘成らない状況だ。 英国軍の駐アフガニスタン最高司令官のカールトンスミス准将が、ターリバーンとの戦闘について「我々はこの戦いには勝てない」と悲観的な見方を示した、と英紙サンデー・タイムズ(電子版)が報じているという。 これらの状況は、テロ対策海上阻止行動が結果として役に立ってないことの裏返しではないだろうか。

また、新テロ特措法も直接的な実績を見ても首をかしげざろう得ない。 情報自体があまり公表されてないから分かり難い面もあるが、防衛省の資料や、昨年のテロ特措法(旧法)改正案が審議された時に提出された資料「テロ対策特別措置法に関する資料」(270P)を読むと、効果が無いことが読みとれると思う。 一部、'04年(H16)を抜き出すと、海上阻止行動(OEF-MIO)艦船の臨検で検挙されたのは以下のとおりである(防衛省公開分)。
 ・大麻約280万ポンド(1270トン?、末端価格約11億円)
 ・ライフル・軽機関銃540丁、同弾薬12000発、14.5mm機銃2丁、同弾薬84発
この間、海上自衛隊が給油したのは、約5万トン、約20億円。 少し時期はズレるが '04年度に海上自衛隊が給油活動に要した費用(歳出)は合計約82億円だ。 海上阻止活動に参加してる他国の艦艇の艦数は不明だが、「大金を投じて、成果はたったこれだけ?」という感が否めない。

それから、日本の給油した燃料が本当にテロ対策のみに利用されてるかも疑問だ。 新テロ特措法は、給油の条件を「テロ対策海上阻止行動」に使われるものに限定している。 ただ、これは参加国からの申請を信じるしかない。 だが、かつて米国の補給艦を介して米空母キティホークに間接給油されていたが、その時、実はキティホークがイラク戦争参戦の命を受け活動していたのではないかとの疑惑もある(米軍は否定。給油時はあくまでテロ対策海上阻止行動中であったと強弁している。給油後イラク戦争に実戦参加。)。 他にも '04年度にはパキスタンの軍艦へ約5300kLの給油を行っている。 米軍、仏軍に次ぐ給油量である。 そのパキスタンは、カシミール地方の領有権をめぐって対立するインドとは現在停戦状態であり、対インドを想定したパキスタン海軍の軍事演習に流用されている・・・可能性も考え得る。 当時のパキスタンはムシャラフ大統領統治下にあったが、ムシャラフ大統領は軍出身(統合参謀本部委員会議長)であるし、パキスタンの情報機関・3軍統合情報部はターリバーンに資金支援しているという報道もされている。 極めて不透明な国であるのは事実だ。 

OEF(Operation Enduring Freedom・不朽の自由作戦)とその作戦の一部である海上阻止行動(OEF-MIO) は、国連での位置付けは、あくまで国連憲章第51条基づく「米国の自衛権の行使」とそれに伴う集団的自衛権の行使である。 世界各国は、給油を含むロジスティクスも軍事行動と認識している。 つまり、インド洋上での海上阻止行動に参加する艦船へ給油することは、他国は「集団的自衛権の行使」に他ならないと認識していることとなる。 日本が国内で「集団的自衛権」に当たらないと強弁しても、それは国内だけ通用する言い訳であって、日本政府が普段好んで使う言葉である「グローバル・スタンダード」ではないことを銘記していただきたい。 実際、昨年、当時の防衛大臣であった小池百合子氏がパキスタンへ行き、記者会見で「給油活動を中止することは国際社会やテロリストに「ネガティブなメッセージ」を与えてしまう」と発言。(小池氏はイスラム圏であるエジプトのカイロ大卒というが、イスラム社会であるパキスタン国内でこのような発言をした場合、イスラム原理主義者へ与える影響が大きいことを考えはしなかったのか?)

その後、アフガニスタンで平和貢献活動をする民間団体・NGOは現地市民による敵対感が強くなり活動を縮小せざろう得なくなったらしい。 また、パキスタンでの小池氏の発言が、8月にNGO・ペシャワール会の伊藤和也さんが拉致された原因、または、遠因になったのではないかとも言われている。 実際AFP通信の電子版「パキスタン情報機関が関与か」でも、伊藤氏の拉致にパキスタンの情報機関の関与が取りざたされている。 他の報道でも、パキスタンのイスラム原理主義者の関与が取りざたされているのも事実だ。 少なくとも、これまで敵対視されていなかった日本人も、現在ではパキスタン・アフガニスタンの両国の国民からは日本も米国に加担(集団的自衛権を行使)する敵国の一員と見る市民がどんどん増えているようだ。


軍事力ではテロは解決できない。 先の英軍准将の言葉も、英軍が、アイルランド独立闘争として対英テロ闘争を繰り返していたIRAを武力だけで封じることができなかった経験を踏まえての発言ではないか。 武装闘争に対して軍事力はあるていど必要なのは分かるが、米国のように軍事力一辺倒では解決しない。 強大な軍事力投入によるテロとの戦いが逆にテロ活動を拡大している結果になっている。 米軍などの軍事行動の犠牲になったアフガニスタンの一般市民が、 '05以降の累計で3200人を越えているという調査報告もある。 犠牲になった民衆の身内の多くがテロ活動に身を転じたり、あるいはテロリストを匿うのが現実として起こっている。 アフガニスタンの副大統領が、和平に向けてターリバーン側と交渉を開始したらしいが、ターリバーン側は「外国軍がアフガニスタンから出て行かない限り和平には応じられない」と主張しているという。 テロとの戦いと称する軍事行動がアフガニスタンの和平を阻害しているという一面も存在する。 なにも、軍事力を全否定するつもりはない。 テロリストによるゲリラ活動(自爆テロ含む)などの武装闘争から民を守るには、軍事力も必要だ。 ただ、テロリストを攻撃する場合は、必要以上の軍事力行使(空爆など)は一般市民を巻き込み、それが結果として新たなテロを生む。

閑話休題

日本も、自衛隊の補給艦、護衛艦の派遣といった、米国の行う軍事力行使優先のテロとの戦いに追従する道をもう一度見直し、新しい手法によるテロとの戦いを議論し、模索する時期に来ているのではないでしょうか? 合わせて、国際貢献に寄与しない、もしくはその度合いが低いインド洋上での海上阻止行動の補給活動はもう止めるべきだろう。
posted by 少彦梛 at 13:33| Comment(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月04日

米国発金融不安は収まるか?

先月中旬、米リーマン・ブラザーズが破産法11(日本でいう民事再生法)の適用を受け、AIGにはFRBから資金が注入され、メリル・リンチがバンク・オブ・アメリカへ身売りした。 この米国の「金融恐慌」とも言える事態に米国政府は2年間で7000億ドル、約72兆円規模の税金を使い、住宅・不動産債権を中心に買い取るという「金融安定化法案」を議会に提出した。 しかし、この法案は政府と議会のトップクラスで合意が得られたものの、下院では否決。 修正法案が上院で可決され下院で再審議されるらしい。 ロイターの電子版『3日に下院本会議で採決へ』によると、下院の民主党院内総務は「3日に下院本会議で議論し採決を行う」としているが、下院議長のペロシ氏は「法案が可決されると確信できるまで採決するつもりはない」と言い、約14兆円の減税施策と預金保護を約2600万円(25万ドル)まで引き上げることを抱き合わせて何とか現地時間の3日に可決された。

自民党の総務会長である笹川堯(たかし)氏は、米下院で金融安定化法案が当初否決されたことについて、「下院議長は女性でしょう。」云々と女性蔑視に取られかねない発言をしたらしいが、米下院の金融安定化法案は否決は恐らく議長が誰であれ、仮に共和党が議長でも否決されていたと思う。 何故なら、法案否決は米国民の声が反映したものであるからだ。

リーマン・ブラザーズやメリル・リンチ、モルガン・スタンレー、そして、業界1位のゴールドマン・サックスなどは、日本では証券会社として紹介される場合もあるが、アメリカでは「投資銀行」という位置づけである。 彼らはコンシューマ(一般客)は相手にしない。 大企業や富豪しか相手にしないのだ。 それ故、多くの米国民は、「何故金持ちを助けるために税金を投入しなければならいのか」という不満が大きい。

また、ウォール街の経営者達にも、米国民からは憎悪の目が向けられているようだ。 例えば、メリル・リンチがバンク・オブ・アメリカへの身売り交渉を始めるに当たって、経営者達は、まず、自分たちへの経済的保証の確認を求め、その了承を得てから交渉に入ったという。 6万人の部下の雇用が危ういというときに、自分たちの経済的な保身を優先したのだ。 このことは、米通信社のブルームバーグが報じている。 それによると、最高経営責任者(CEO)のジョン・セイン(John A.Thain)氏が合併後の新会社に入社しない場合、1100万ドル相当の新会社株を受け取る。 また、トレーディング部門の責任者に就いたばかりのトーマス・モンタグ(Thomas K. Montag)氏は、メリル・リンチへの移籍時に貰うことが決まっていた2008年分の3900万ドルのボーナスとは別に、今回の合併に伴って解雇・降格される場合、3000万ドル相当の株と640万ドル相当のオプションを受け取れる、という。 これを知ったアメリカ国民の怒りは収まらないだろう。 普段から巨額の報酬を受け取ったうえ、いざ会社が破綻するとなると従業員を見捨てて自己保身に走る・・・。 そういう輩が跋扈するウォール街を救う必要性を感じるアメリカ国民はいまい。 ウォール街を跋扈するこうした経営者の罪と自己責任を明確にすることを法案化しない限り、今のままでは、アメリカの国民の支持を得るのは難しいのではないだろうか。


今回、米国の金融安定化法が可決したからといって、現在の金融不安が可決する訳でない。 住宅・不動産債権を米国が買い取るといっても「どういうルールで買い取る」かは明らかでない。 米国のサブプライムローンに関連する住宅・不動産債権の残高は15兆ドル以上とも言われている。 今回可決された7000億ドルでは焼け石に水だろう。 実際は、債権の「時価」で買うことになると思うが、そうなると、金融機関は経営上のバランスシートから債権の損出を切り離せる反面、同時に資本不足に陥ることになる。 つまり、日本で起こったバブル崩壊後に銀行が行ったのと同じく、「貸し渋り」「貸し剥がし」が起きるだろう。 結果として、アメリカの内需は更なる収縮が起こる。 例えば、車を買うにも「貸し渋り」でローンが組めなくなる。 当然、日本車も米国では売れなくなる。 米国の不況は、米国の金融機関がサブプライム債権などの不良債権を一掃し、体力が回復するまで続くことになる。 つまり、現在の外需頼みの日本経済は、日本政府が国内の産業の構造改革に乗り出し、内需拡大政策に転換しないかぎり、アメリカに引きずられて更に永い不況に喘ぐ事になる。

ただ、日本の内需拡大といっても、むやみに公共事業・土建国家を拡大をしても、これまでの経験から日本の国の借金を増やすだけで景気対策にはならないことを付け加えて記しておく。 今日の日本の不景気を鑑みれば、失われた10年、プラス小泉政権下の5年を見ても、これまでの日本政府・与党自民党の土建国家&新自由主義の経済政策の失敗は明らかであろう。
posted by 少彦梛 at 06:40| Comment(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月17日

米国FRBがAIGへ融資

ロイターの電子版『米AIGへの融資決定、FRBの一貫性に疑問符も』でも、FRB側は「AIGの金融市場への関与の大きさにより、行動の必要があった」という。 それに対し、JPモルガンのエコノミストは「FRBは企業を救う理由を明確に説明する必要があり、そうでなければ救済を要請する企業が多数出てくる」とモラルハザードも含め疑問を呈してる。 確かに、AIGはいろいろな債権に「保険」債務保証しているわけだから、この債務保証がAIG破綻で無くなれば多数の金融会社への負の波及効果がおよび、金融システムへの影響の度合いを考慮すれば国家的に救済せざろう得なかったのかもしれない。 また、企業の切り売りを拒否していたリーマンと異なり、株式の80%近くを米国が保有することに合意し、また、経営陣が総退陣することに合意したことが今回の「公的支援」導入といった大きな決断を後押ししたのかもしれない。

ただ、AIG傘下の子会社はどうだろうか。 今日の某公共放送の21時のニュースで、AIG傘下の、たぶんAIU生命の社員だと思うが「ホッとした」という旨の発言をしていた。 ところが、それは早計ではないか思う。 恐らく、米国はAIGのグループ企業は高値で売れるものから順に切り売りしていくだろう。 場合によっては、潰して清算してしまうこともあり得る。 日本の生保の場合は破産しても最悪の場合は「生命保険契約者保護機構」に強制加入させれているから大丈夫との声もあるが、これまでの例だと受け取れる保険金額が大幅減になると聞く。 AIUやアリコの財務状況は良く知らないが安穏とはしていられないのではないか。 しかも、今回のFRBからの繋ぎ融資の前に、NY知事は、AIGの資金繰りを支援するため、同社がグループ内で200億ドルの資金を融通することを許可した。 AIGに、資金を保険子会社から親会社に移すことを認めたのだ。 これが日本のAIG子会社にどう影響しているのかは、報道などでは語られていない。


私は経済素人であるから軽々には言えないけれど、不確定要素が多すぎ、今回の米国の対応を日本経済に対するひとつの安心材料になるとは考え難い。

IMF専務理事が「金融危機の最悪期はこれから訪れ、問題に直面する主要金融機関が今後数カ月でさらに増える可能性がある」と述べているという(ロイター)。 今回のFRBによるAIG救済は一時しのぎであり、米国の金融危機はまだまだ膨らむと見るべきだろう。
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2008年08月28日

ある青年の死

とうとうアフガニスタンの地で、有為の日本人の青年が亡くなるという事件が起こった。 彼が拉致されたとの報を聞いたとき、どうか無事に・・・と思いましたが、最悪の、そして、残念な結果に終わってしまいました。 ご家族ご親族の皆様への心よりの哀悼の意を表すと共に、青年のご冥福を心よりお祈り致します。 結果は結果として受け止めねばなりませんが、誠に残念でなりません。


拉致犯人で拘束された2人は自らを「ヒズビ・イスラミのメンバー」と名乗り、共同通信の電子版によると『最初から殺すつもりだった』と供述しているという。 今回の事件は情報が最初から錯綜しており、この報道もどこまで正しいのか判らない。 犯行グループと治安部隊(これも現地警察なのかはっきりしないが)との銃撃戦もあったという報道もあり、青年らしい遺体が発見され足に銃創があったとの報道に接した時には、まず、治安部隊に誤射されて亡くなったのではないかと疑った(普通、軍事訓練を受けた者なら腹を狙うと聞くし、頭部を撃つは無抵抗の時だろう)。 ただ唯一疑いの余地の無いことは、亡くなった青年は、現地の人々のために、現地の人と、現地に溶け込んで皆に信頼されて援助活動を行っていたということだろう。


なぜ、現地の人々から慕われ、信頼の厚く、アフガニスタンの未来のために尽くしてきたこの青年が死ぬことになったのか? むろん、実際に手を下した犯行グループの所為であり、彼らと深く係わりがあると言われ、今回の犯行声明を出したターリバーンにも責任がある。 ただ、私は、彼らだけが悪者だとも思えない。

もともとは、アフガニスタンの実権を握っていたターリバーンに対し、9・11と言われるNYの同時多発テロの首謀者を匿ってる(?)として報復攻撃をかけた「テロとの戦い」がそもそもの始まりかもしれない。 しかし、国連の承認によるNATO軍を中心とした「国際治安支援部隊(ISAF)」がアフガニスタンの治安維持を支援し、そしてターリバーンは弱体化したはずだった・・・。 現に、アフガニスタン軍の元兵士の武装解除のみならず、非合法な武装集団の武装解除も進んでいたと聞く。 日本も、外務省のリリースにあるとおり、非合法武装集団解体他のために、現カルザイ政権に対し30億円を超える無償資金援助をしている。

しかし、元々ターリバーンの勢力が強かったアフガニスタン南部地域だけでなく、他の地域・州にもテロ、外国人襲撃、盗賊行為が飛び火し始めているという。 北部地域では大規模なテロが発生するようになり、カルザイ政権には、もはやターリバーンなど非合法武装集団を抑える力がない状況になっているようだ。 実際、カルザイ大統領暗殺未遂事件も起きている。 いったん力が弱まったターリバーンたちが何故勢力を盛り返してきたのか? もちろん、息を潜め身を隠していた連中もいるのだろうが、新たにメンバーになったり、また、協力する人々がどんどん増えているからではないだろうか。

では、なぜターリバーンなどの下に走る人が増えるのか。 「アジアプレス」所属のあるジャーナリスト氏によれば、『アフガン東部や南東部は米軍の誤爆や誤射などが多く、(一般人の間にも)外国人への反発が強まっている。 盗賊くずれやタリバン志願者も増え、2年間でさらに治安は悪化している。 2年前には“敵国”の外国人ばかりをターゲットにしていたが、最近は対象が「すべての外国人」に広がっている風潮がある。(要旨)』という。 また、空爆やその不発弾により畑の耕作ができなくなり、耕地が減ったため収益性の高いケシ栽培(アヘン)に走り、販路を持つターリバーンなどに資金が流れているとも聞く。

やられたから、やりかえす・・・。
今、アフガニスタンでは負のスパイラル・負の連鎖が再び広がっているのではないのだろうか。


ところで、今日の某公共放送のニュースで、『高村外務大臣はアフガニスタンの外相と電話会談し、「国際社会は尊い犠牲を払いながらアフガニスタンの平和と復興のための努力を継続しており、日本としても、引き続きできるだけの努力をしなければならないとあらためて感じている」と伝えた。』と報道されていたが、当の外務省は、先のリリースを出して2年、これまで何をしてきたのだろう。 今回の青年が拉致された事件でも錯綜した情報に振り回されっぱなしだ。

今回被害にあった青年の所属する「ペシャワール会」をはじめ、日本のNGOは5団体くらい活動していると聞く。 ところが、外務省はアフガニスタン国内に「日本人の安否」といった重要事項を収集するための情報網すら構築していない。 いろいろな情報を得るために、信頼できるアフガニスタン人を選び、雇う、といった時間はたっぷりあったし、そのための費用は十分あったはずだろう。 外務省は、普段からまともに仕事をしていないことも、また、入ってきた情報を分析するといった一番重要な能力すらないことも、今回また露呈してしまった。 アフガニスタンにも首都カブールに日本の大使館があるはずなのだが・・・。 

これでは、今回の事件の対策本部の本部長たる外務副大臣が何の対策も打てず、事件が起こったこの2日間に、然して訴えるものもないブログをパソコンに向かって打って、10回以上更新する暇があるのもいたしかたなかろう・・・。
posted by 少彦梛 at 23:19| Comment(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月13日

南オセチアでの紛争

8月8日に始まったグルジアの南オセチア自治州での、グルジア軍とロシア軍との紛争は、読売新聞の電子版『露が作戦終結命令』のとおり12日に一応収まった。
この間、日本は北京オリンピックに浮かれ、TVのニュースでの今回の紛争の扱いは小さく一般の人にはほとんど紛争の理由は語られていない気がしてならない。 私自身も実際のところ良く分からない・・・。 


実は、昨年の3月、当時の安倍元首相とサーカシヴィリ大統領(グルジア)とが会談し、「共同声明」が出されていることはあまり知られてないだろう。
この中で、二国間関係全般として『双方は、民主主義(中略)という基本的価値を共有する両国の関係を一層強化し、コーカサス地域の安定と繁栄に貢献していく考えであることを確認』している。
また、『アブハジア問題及び南オセチア問題が国際的に認知された国境内でのグルジアの領土一体性の原則に基づき平和的に解決されることが、グルジア及び南コーカサス地域全体の平和と安定にとって不可欠であるとの見解』も共有している。
要は、日本国として、アブハジア独立共和国も南オセチア自治州も「グルジアの国内(領土)」であると認め、グルジアを含めたコーカサス地方の安定に貢献していく、としているのだ。


しかしながら、今回の紛争で日本の外務省がロシア・グルジア両国に対して発したのは、「憂慮の念を伝えるとともに、事態がこれ以上エスカレートしないよう、すべての当事者が自制して、和平協議のテーブルにつくよう」と求めただけだ。 現在進行形で行われている紛争当事者同士に対し、この単なる期待でしかない求めがどれほどの意味を持つのだろうか。 残念ながら、日本には紛争解決に向けたの外交力そのものが無いだけではなく、日本としてのスタンスを国際的に主張する力量も無いのだ。 それを鑑みるとグルジアとの共同声明も虚しく聞こえるだけだ。
本来、グルジアとの共同声明に基づけば、グルジアの領土の南オセチアにロシア軍が駐留していること(ロシアは平和維持部隊と称して以前から駐留)を非難し、合わせて両軍の撤退と和平協議を求めるのが筋ではないか。 外務省のリリースどおりなら、ロシア、グルジア双方から無視されるだけだ・・・。



今回の南オセチアでの紛争の沈静化は、グルジア側から一旦軍を引きロシア側に「即時停戦と、それに向けた対話の用意がある」と伝えたことから始まったようであるが、仲介役にフランスのサルコジ大統領とクシュネル仏外相が当たっている。 これは、おそらくEC(ヨーロッパ共同体)の議長国がフランスだからであろう。 グルジア側からすれば、EU(ヨーロッパ連合)加入を目指す立場からこれをむげにはできまい。 もともと、グルジア軍が撤退したのは、ロシア側が南オセチアをほぼ制圧し(一部には南オセチアを出てゴリという都市まで進行したとの報道もある)、首都トビリシへのロシア軍進行を迎え撃つため、とも思われる。


そもそも、グルジアは旧ソ連邦が崩壊して以降、次第にロシアとの距離を取り、欧米との関係強化に努めてきている。 また、グルジアは現大統領下で、EU加盟・NATO加盟を目指している。 ちなみに、イラクへも米英に次ぐ約2千人もの兵力を送り込んでおり、また、今回の紛争ではこれらイラク駐留グルジア軍の帰還に米軍が輸送部隊を提供したとも聞く。 ロシア側からみれば、グルジアは黒海へ繋がる要所でもあり、カスピ海油田から地中海へ伸びるパイプライン(アゼルバイジャン〜グルジア〜トルコ)の存在は、カスピ海のロシアの原油利権にも大きな影響を与えている。 (注:カスピ海は領海が確定していない) この上、NATO加盟で米軍などが駐留すれば、ロシアとしては銃を持って玄関に上がられるに等しい。 ロシアの戦略上の拠点として、何とか押さえておきたい要所がグルジアなのだ。



もともと、グルジアは、アブハジアと南オセチアの独立問題を抱え、この2つの自治州とサーカシヴィリ大統領の対立により国際的には多くの批判を受けてきた。 そこに乗じたのがロシアだ。 ロシアに支援を求めてきた2つの自治地域の人々に対し、ロシアは自国政府発行のパスポートを発行している。(つまりはロシア国民、または、永住権を持つ者と認めているに等しい)

そして、「ロシアはあくまでも人道的見地から南オセチアに介入しているのであって、民間人を守り、(サーカシヴィリ大統領による)民族浄化を防ぐために介入している」のだと、ロシアの外相は主張している。 この主張は、かつてNATO軍と米軍が旧ユーゴスラビアのコソボ紛争に介入したのと同じ理屈ではないか。
(前記の日本とグルジアの共同声明を基に、両自治区はグルジアの主権が及ぶ領土であると、何故このロシアの主張に日本政府が声を大にして異議を唱えないかは不思議でならない。)


しかも、フィナンシャルタイム誌に対しスウェーデンのビルト外相は、「外国領内のとある地域に、自分たちの国が発行したパスポートをもつ人たちがいるからといって、その地域に軍事介入していいなど、そんな権利はどこの国にもない。 国内の人たちを保護する義務は、その人たちがいる国の政府にある」と応えた。 そして、「自分の国のパスポートをもつ人たちがどこか別の国にいる。 だから、その相手の国に軍事介入していい・・・この教義(ドクトリン)を駆使しようとしたがゆえに、欧州はこれまで何度も戦場と化した。 だからこそ、(ロシアが今回主張する)こんな教義(ドクトリン)は何としてでも、徹頭徹尾、否定しなくてはならないのだ」とも語っている。 (ちなみにスウェーデンはNATO(北大西洋条約機構)に加盟していない。) 


ビルト氏の言はもっとだ・・・、と思うのだが、「我が国は『平和協力国家』として、国際社会において責任ある役割を果たしていかなくてはなりません。」と述べた福田首相は、ビルト氏の発言をどのように聞くのだろう?
自衛隊のイージス艦が漁船を沈めた時も「あー、そうだってね。大変ですね」と発言する人だ。 遠い国での紛争も同様に「大変ですね」で済ますのかもしれない(苦笑)。

そして、今回の紛争の調停は難航が予想されているだけに、結局日本には、調停役のEUからも当事者たるグルジアからも、「何もしなかった国」としての評価(批判)だけが残ることになるだろうか・・・。


追記
時事通信社電子版
「国際司法裁にロシアを提訴=民族浄化と主張−グルジア」

16日追記
AFP通信より「【図解】ロシアとグルジアの軍事衝突」
posted by 少彦梛 at 20:57| Comment(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月09日

ワールドカップ?

今日で洞爺湖サミットは終了した。
先日「どうせガッカリするなら、今から期待しないでおこう」と書いたけど・・・今回議長国である日本の国民である私としては、議長・福田康夫が『なんとかオゥンゴールを防いだ』といったところだと思う。
つまり、自滅しそうなところを何とか防いだ・・・ということ。 ここまで酷いとは、私の予想の最低ラインをも下回った。

主要国(G8)の首脳は、絶対に「失敗だった」とは言えないから成果を強調するが、その主張は明らかに全員が自国向けだ。 つまり、主張している成功の内容は各国バラバラ・・・。 福田氏などは、サミット会合前にブッシュと会談して釘をさされたのか、「議長国の特権」とも言える『議長総括』でさえ、日本国の主張を盛り込むことをほぼ完全に押さえ込まれている・・・。
某公共放送のニュースでは、声明発表中かどうか分からないが「薄っすら涙を浮かべているのではないのか」と思えるほどだ。

記者会見では、人から聞いた話だが、
フィナンシャルタイムズの記者が、「京都議定書は1990年が基準年。温暖化ガスの排出量を半減させるというが、いつを基準年として考えているのか(要旨)」と質問した。
これに対して福田氏は困惑したような感じで、「いろいろな基準年の考え方があり、いろいろな数字が飛び交っている。最近の現状から考える、ということで特に考え方に混乱があるということではない(要旨)」と、質問の内容に対し意味不明の回答をしたようだ。

基準年、この点を曖昧にしたままで「全世界の50%減」だとか「先進諸国は80%にしろ」だとか議論しても無意味だ。 どの時点をガス発生の減少を量る基準年とするか、これが決まっていなければ今回の合意そのものが雲散霧散する可能性は高い。 ベース(土台)が固まってないのに、どんな家を建てようか論じても意味はない。 沼地に家を建てるようなものだ。 ある意味、泥舟に乗ってるのと変わらないかもしれない。

福田氏の発言の「最近の現状から」という言葉が基準年を示しているなら、今年の2008年、もしくは更に先伸ばしされて排出量削減で合意される年、例えば2010年、では各国にとって大きく有利不利が出るからだ。 京都議定書を離脱した米国、議定書のー6%どころか更に6%増えた日本、そしてロシアは有利になるのに対し、EUの主要国は血の出るような努力して排出量削減してきた努力が無に帰すからだ。 今は主要8カ国と新興国8カ国で排出削減率で対峙してるが、やがて、主要8カ国の中で「基準年」について対峙することになるだろう。

これでは、いくら福田氏が自画自賛しても、私には空々しく響くだけである。


結局、今回のサミットで、政治生命の延命、そして支持率の回復を狙っていた福田氏には、痛恨のドローである。 サッカーでもドローは勝ち点1が与えられるが、今回の福田氏の実情をサッカーに例えるとしたら、ワールドカップ予選落ち・・・だろう。
そう言う意味でいけば、予選を通過したのはG8の中ではロシアだけだったのかもしれない。


それに・・・いくら先進国、とか、主要国だとか言っても、原油を始めとする資源と国民が生きていくための食料を自前で、もしくはお互いを協力国として補完しながら確保できないのでは、これからの世界では「国家」として生き残っていけないように思う・・・。
新興国、途上国・・・、彼ら自国が生き残るためには、「金銭」だけで先進国の言うことを聞かず、「資源」と「食料」を武器にして自国の利益が有利になるように先進諸国を揺さぶることができる、と彼らに確信させた。 そのことだけが、今回の国際会議で唯一得られた成果ではないか・・・。 そう思える。

(注:7月10日14時半頃、加筆修正しました)
posted by 少彦梛 at 21:54| Comment(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月08日

北海道洞爺湖サミットの開催

昨日から3日間、北海道の洞爺湖で「主要国首脳会議(G8)」が開催されている。
日本の首相、ドイツの首相、アメリカの大統領、フランスの大統領、イギリスの首相、カナダの首相、イタリアの首相、ロシアの大統領、そして、EU(欧州委員会委員長)が顔を突き合わせて、言葉は同時通訳で(笑)諸問題を論議、討議する・・・らしい。 錚錚(ソウソウ)たるメンバーだ。
同時通訳が必要な会議なら、直接会わずに、TV会議にでもした方がよほど無駄なCO2も発生しないだろうに(冗)。

日本の首相、福田康夫が今回の議長で「地球温暖化対策」を討議の柱にしたい模様だが、各国の首脳が力を入れたい論議は「温暖化」ではなく、「原油高騰」や「食料問題」などと、また、これらの問題の元凶のひとつともいえる「投機資金の規制」を求める国とそれを拒否(?)する国もあり、各国の思惑はバラバラのようだ。

この、どれもこれも大切な議題で「百花繚乱」のようになってる中、議長の福田首相は今回の会議を総攬(ソウラン)できるとはとても思えない。 論議が四散発散して、総攬どころか「騒乱」で終わってしまう気がしなくもない。
毎回、最後に議長声明を読み上げることになってるが、どんな内容になることやら・・・。
先月発表した「骨太の方針08」のように、見かけは太いが内容は「骨粗しょう症」ってことで終わりそうな気がしてならない。 どうせガッカリするなら、今から期待しないでおこう(苦笑)。


ところで、サミット開催はともかく、重要な課題そっちのけで周りのお祭り騒ぎをニュースする、この日本の報道機関の連中はなんなのだろう?

某公共放送まで、19時のニュースで、首脳達の晩餐会のメニューや使う器、輪島塗だとか、を報道するような有様・・・。 それって、受信料を徴収している国民に対して、如何ほどの重要な意味があるのだ? そんなことを公共の資産である電波を使って放送するくらいなら、もっと、各国の主張とか、地球温暖化以外の重要なテーマとか、もっと掘り下げて取材して国民に知らせるべきだろう。

例えば、産経新聞の電子版、「英各紙厳しく報道」によると、イギリスの新聞紙は次のような論調だ。
『世界が食糧問題で苦しむ中、洞爺湖サミットに出席した首脳たちはぜいたくな料理を楽しみ、その一方で食糧危機を論じるのは「偽善的」。』
まさしく、そのとおり。 他のイギリスの各誌も、同じように首脳達の晩餐会に手厳しい。

それから、これも、産経新聞の電子版からだが、『洞爺湖サミットの七夕行事が行われ、「YOSAKOIソーラン」が主要8カ国首脳らに披露』されたとのことだ。 (ここでもソウランか・笑)
そんなものより、せっかく先日アイヌ民族の方々を「先住民族として認めるよう政府に促す」国会決議をしているのだから、北海道の「アイヌの文化を紹介する」とか(まぁ地味かもしれんけど)することによって、日本も民族問題を大切に考えてることを世界にアピールするなど・・・、もう少し意味のある考え様がないのだろうか?
『「YOSAKOIソーラン祭り」の創設者で次期衆院選の北海道1区公認候補者である某氏の名前を「華々しいサミットの舞台を借りて」アピールしたい』という自民党の思惑がある・・・などと言われれば、つい「その通りだ」と納得してしまう。

蛇足であるが・・・、
開催そのものを反対している方々。
その思いはわからぬでもないが、行動は洞爺湖ではなく、ニューヨークの国際連合の本部の前で「G8サミット反対」のデモをすべきなのではないか? 「国連があるのにG8だけで勝手に決めさせるな」と。 「国連でなぜ議論しないんだ」と。 何故、国連を動かすための活動をしない? だいたい、G8というカエルの面に、彼らがいくら水を掛けても痛痒にも感じまい。 
posted by 少彦梛 at 16:36| Comment(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月19日

安倍氏、外遊へ出発

今日、安倍氏は、インドネシア、インド、マレーシアへの外遊に出発した。

ある新聞の電子版によれば、今回の外遊において、インドでは、極東国際軍事裁判で判事を務めた故パール判事の長男と面会し、日本とともに戦ったインド独立の志士チャンドラ・ボース氏の記念館も視察する。 また、インドネシアでは、終戦後も現地に残って独立戦争に加わった旧日本兵ら27人が埋葬されているカリバタ英雄墓地にも訪れるという。

安倍氏は何故この2つの行程を今回の外遊日程に加えたのだろうか。 先の日本が起こした戦争にも正当なところがあったことをアピールしに行くのではないか、と考えるのは私の邪推であろうか。

ご存知の方もいらっしゃると思うが、故パール判事は、東京裁判で、事後法により敗戦国を裁くことに疑問を呈しA級戦犯被告全員の無罪を主張した。 確かに、法を遡及して適用することはあってはならない事と思うが、仮に当時適法であって法の下で処罰できなくとも『罪は罪』であり、太平洋戦争開戦の詔書に署名した者々の責任は免れようはないではないか。
また、旧日本軍がインド、インドネシアでの独立戦争に手を貸したのは、あくまでも勢力を拡大するために利用したのであり、戦後も一部の日本人が残って独立に手を貸したのは彼らの個人の義からであって、日本国や日本軍がその国への信義を持って行ったのではないだろう。

一己の遺業は事実であっても、それはいち個人が賞賛を受けるべきであり、もしも、それをもって旧日本軍の過ちの一部でも正当化しようとするならば、それは単なるカムフラージュであり、正しく先の戦争を見つめることにはならないものと考える。
posted by 少彦梛 at 20:58| Comment(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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