2009年02月21日

絵本「くませんせいのSOS」の紹介

毎日新聞の電子版より・・・
『医師不足など地域医療の危機的な状況が問題となる中、千葉県東金市のNPO法人「地域医療を育てる会」と、兵庫県丹波市の「県立柏原(かいばら)病院の小児科を守る会」が共同で、絵本「くませんせいのSOS」(A5判、44ページ)を自費出版した。動物たちのやりとりを通し医師の過重労働の問題などを描く。PTAや地方自治体、医療関係者から注文が相次いでいる。【細川貴代】』

絵本は1冊500円。注文や問い合わせは「育てる会」ホームページへ
ご注文のページはこちら→えほん「くませんせいのSOS」
注)当方と、絵本「くませんせいのSOS」の販売及びその関連団体とは、一切関係ありません。


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posted by 少彦梛 at 12:19| Comment(0) | 医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月24日

点滴って…今や看護師さんも出来るんだ。

私自身が古い人間なので、最近まで「点滴(針を入れる)」は医療行為として、医師がやらなければならないと思ってました…(苦笑)。


実は、少し前から左扁桃腺に違和感があり、月曜日(22日)から飲み食いすると痛み、昨日は左耳に違和感が出て、今日には軽く痛むので、思い切って(?)「耳鼻咽喉科」に行って診察を…。 診察の結果『扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)』…って何じゃそりゃ? CTは撮ってないが、所見では緊急手術もあり得ると…。 とは言え、小さな総合病院で口腔外科(?)的手術施設も無いし、先生も某大学付属病院からの派遣で来ていただいてる医師なので、病院現場では現実的には切開は無理。 それにもう、年末年始休に入るから…(笑) あ、私は元々扁桃腺肥大なのだが(苦笑)。 熱は無いと思っていたが、測ってみたら37.4℃(驚)。 抗生物質の経口投与ではなく、今日、明日と点滴注射で抗生物質(ペントシリン2g)を投与し様子を見て、明後日、金曜日にその某大学付属病院の耳鼻咽喉科で最終判断することに。

点滴・・・と聞いて嫌な予感が。 案の定(?)、点滴管を3mmほどの気泡がツツーッと静脈の中に。
( ̄□ ̄;)  まあ、この程度の気泡が入っても特に人体に影響無いのだとは思いますが。

何故、点滴で嫌な予感がしたかというと、受け持ちの看護師さんが、恐らく何年か医療の一線から離れていた方で、今年復帰された方だと思っていたから。 恐らくお歳も私より10くらい上だろう。 半年程前、CTを撮る必要となった時、造影剤の針を入れてくれた看護師さんがこのお方だった。 あの時は、針がちゃんと入ってなかったのか、造影剤が静脈から漏れ出し、コブシ3分の1程腕が膨れ、血も外へ溢れ出した・・・。 そこそこ痛かった (T_T)

私は、この看護師さんを責めるつもりはない。 ブランクもあるのだろうから仕方が無い。 病院側も責められない。 恐らく、病院単体では赤字経営だろう。 少しでも人件費を減らさねば廃院となろう。 そうなると、最終的に困るのは我々患者だ。 私の場合は、いくつかの持病を抱えているので、内科、外科、整形外科(スポーツ医学)、リハビリ科は必須なのです。 また、この医院には眼科と耳鼻咽喉科が、非常勤といえど存続してるのには安心感もあります。 ある意味、小さい病院の利点として、院内の小回りが聞き、患者に行き届いた診療サービスも可能なのかもしれない。

今回の耳鼻咽喉科を受診したときも、内科のカルテも取り寄せて診察してもらった。 これまで処方された口径抗生物質の種類、それから、以前『ムンプス(通称おたふく風邪)』罹患(生涯2回目の高熱)以降、私の扁桃腺肥大の状況は毎回内科が確認してくれてて、簡単ではあるが咽喉内の状況変化のスケッチを先生が書いていたこともある。 これは、私の6週間毎に受ける定期内科検診日(金曜日)には、院内の耳鼻咽喉科が休診日重なったこともあるのだが…。 これを同じように、一般の開業医を何件も廻るようになれば、受診のカルテをお金を払ってのコピー開示を求め、患者自ら持ち歩く必要があるし(まあ、ICカード化の議論もあるが)、かなり大変だと思う。

閑話休題

先日、某TV報道で、出産子育てで医療現場を離れた、内視鏡がご専門の女医さんが以前の職場に復帰を求められ、復帰のための研修を受ける模様や、また、お子さんの託児、学童保育の重要性を取材・放映していた。 医療崩壊の進みに少しなりともブレーキをかけるには良い取り組みだと思う。 また、これから医療第一線で働くことになる20代の層の医師をみれば、現在の女医さんはすでに3分の1を超えてるとか…。 であれば、先のような医師復帰、院内託児所開設はいい事だと思う。

現在の医師不足、看護師不足を解決する「ツナギ政策」として、家庭の事情などにより「医師、看護師を一旦やめざろう得なくなった」が「復帰を望む医師、看護師」が働くための『再研修制度』や『託児所の整備』など、政府が先等に立って、早急に対策を広めて欲しいものだ。 病院側としては、特に当直の必要な医院では、今の診療報酬の中では、医師、看護師の『託児所の整備』などを自力で行うのは難しいだろう・・・。 また、将に、総合病院などは、今すぐ医療現場の労働環境の整備を始めなければ、現在20代の女医さんの将来の離職率はグンと上がり、医師不足が加速すると思うのだ。

医療、介護は、これからの日本に極めて重要な「インフラ」だと私は思う。 もちろん、ソフト面(人材)が優先だろう。 ハードは、例えばNICUなどの不足分は別にして、可能な限り現有ハコモノを有効利活用(介護施設等は赤字公共施設の改築など)を可能とすべく、政策を見直して欲しいモノだ。


話は変わるが、
「点滴」といえば、今日、共同新聞の電子版「娘の点滴に腐敗水・殺人未遂容疑で母逮捕」によると、「母親が集中治療室(ICU)で、入院治療中の娘の点滴回路の管に、腐敗した水を注射器で注入した疑い」により、殺人未遂容疑でこの母親を逮捕したということだ。

自分の子供を虐待したり、また、死亡させたりする事件は1年間に数十件はあると思うが、このような事件は例がないだろう。 他の報道によると、母親は「(病気になれば)ずっと付き添って看病してやれると思った。殺すつもりはなかった」と供述しているとも聞く。
また、他紙では、子供などをわざと傷つけて看病するような行動がみられる「代理ミュンヒハウゼン症候群」(Wikipedia)だった可能性があるとの見解も報じているが、実際にはまだ良く分からない。 が、空恐ろしい事件だと思う。

今回の事件の模倣犯が現れないことを願いつつ、マスコミなどはこの事件を「ワイドショー化」することなく、一定の配慮ある報道するをしていただきたいと思う。 特に、「代理ミュンヒハウゼン症候群」といったものは一般社会に全くといって認識されていないものであろうからこそ、マスメディアには「憶測報道」や「警察発表垂れ流し」、また、「メディアスクラム」の無いようにし、充分な裏づけに基づいた報道をして頂きたいと願うものである。
posted by 少彦梛 at 23:51| Comment(0) | 医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月23日

社会的常識の欠落?

今頃取り上げるのは遅いのだが、政府が19日に主催した全国知事会議において、麻生総理は「(医者は)最も社会的常識がかなり欠落している人が多い」と発言した。 未だ、本会議の議事録が公開されていないが、共同通信の電子版『首相の医師をめぐる発言要旨』によると、地方の医師不足について、
「医者の確保をとの話だが、自分で病院を経営しているから言う訳じゃないけど、大変ですよ。はっきり言って、最も社会的常識がかなり欠落している人が多い。ものすごく価値判断が違うから。それはそれで、そういう方をどうするかという話を真剣にやらないと。全然違う、すごく違う。そういうことをよく分かった上で、これは大問題だ。」
と述べたという。 この発言以前の11月10日に、二階経済産業相が「政治の立場で申し上げるなら、何よりも医者のモラルの問題だと思う。忙しい、人が足りないというのは言い訳にすぎない」と発言し、各所から抗議の末、発言の撤回に到ったことを知らないのだろうか? まあ、麻生氏は新聞を読まないそうだから(笑)。


まず、麻生総理の言う「自分で病院を経営している」となんだろう? 恐らく、弟の麻生泰氏が経営している「株式会社麻生」の医療事業の1つ、麻生飯塚病院などの病院を指しているのだろう。 別に、麻生総理が経営してるのではない。 まあ、株主であるとは思うけど。 その「株式会社麻生」が、新しく病院事業に乗り出すのだが、これこそ「社会的常識の欠落」ではないのか? リンク先が無いので、以下に、日刊ゲンダイの記事を転載する。

「麻生病院建て替え計画に川口住民が大激怒」 日刊ゲンダイ2008年10月16日(15日発行)

麻生首相の実弟が経営する「麻生グループ」が埼玉県川口市で進めている病院建て替え計画に地元住民が大激怒だ。高さ100メートルのマンションの併設が発覚。「話が違う」となっているのだ。

 問題の舞台になっているのは、1959年に開業した「川口工業総合病院」。経営母体は、地元の鋳物・機械産業で構成する健保組合で、数年前から施設老朽化で建て替えを検討してきた。だが資金不足で自力再建を断念、新たな譲渡先を探していた。

「そこに突然、現れたのが、麻生首相の実弟・泰氏が経営する麻生グループ『株式会社麻生』でした。組合側は、渡りに船とばかり、この話に飛びついたのですが、その後明らかになった計画では、高さ30メートルの病院棟に隣接して高さ100メートルの高層マンション建設まで示されたのです。病院は必要ですが、高層マンションと一緒となると話は別。みんなカンカンです」(地元住民)

 一帯は「準工業地域・特別工業地域」で、市の基準で容積率が決まっている。今回の計画は明らかにこれをオーバーするが、麻生らは市に対し容積率などの変更を要望。市は受け入れる考えを示している。

「市は、公的負担がゼロで病院改築ができる――との理由で、建設計画をお膳立てしています。住民説明会も形だけで、説明に来るのはゼネコン担当者。しかし、近隣住民にとって、高さ100メートルのマンションが建つ圧迫感はハンパじゃない。わざわざルールを変える必要があるとは思えません」(前出の住民)

 こうした声に対し、川口市は「市の景観計画では高さ100メートルまでの建設物は認められていて問題ない」(都市計画課)と素っ気ない。一方の麻生は「(計画反対など)いろいろなご意見があるのは聞いているが、現時点でコメントは差し控えたい」とダンマリだ。

<以上転載終わり>

立ち行かなくなった病院の譲渡を受け、新たに経営を引き継ぐのは異論ない。 しかし、もともと市の基準で容積率が決まっているところを枉げてまで高層マンションを建設しようとするのは、社会的常識の欠落ではないのか? マンションを建てるな、とは言わない。 だが、既に定まっている容積率を超えた計画を立て、市ではなくゼネコン担当者がその説明を周辺住人にするのはオカシナ話なのではないか? しかも、都市計画の変更が決定する前に! そもそも都市計画の変更についての住民説明は、川口市役所にその責務があるはずだ。

また、その川口市役所も「川口工業総合病院地区都市計画の縦覧のお知らせ」にあるとおりで、一応「計画案」とは言ってるが、高度利用地区計画書の資料「川口都市計画高度利用地区の変更」を見ると、既に『川口市決定』と書いてある。 市には市の理由があるかもしれないが、明らかに周辺住民の意思を無視し、企業と役所の談合出来レースと・・・しか思えてならない。

これが「社会的常識」なのか? 大きな疑問が生じる。


さて、麻生総理の発言に話を戻そう。

全国知事会の席で
1.「(医者は)社会的常識がかなり欠落している人が多い。ものすごく価値観が違う」
と発言し、その夜のぶら下がり会見で、
2.「医者は友達にもいっぱいいるが、おれと波長が合わねえのが多い。そういう意味では全くない。まともなお医者さんが不快な思いをしたというのであれば申し訳ない。」(つまりは、麻生総理と波長が合わない人物は全て「社会的常識がかなり欠落」しているということか?)
と釈明。 翌20日、日本医師会が首相官邸に赴くと
3.「価値観が違うことを強調したかったが、まったく言葉の使い方が不適切だった。」
と陳謝し、撤回。 その日の夜、記者団に対し
4.「丁寧に真意を説明し理解をいただいた。」
会談内容を問われると
5.「発言の内容を私からあなたに説明する必要はない」
という。
このように、麻生総理の『真意』がどこにあったのか、国民への説明は皆無だ。 麻生総理が、医療の第一線で奮闘している誠意と義務感に溢れ、「社会的常識」の範疇外で頑張ってる医師達をどう思っているのか、感謝してるのかが国民にはちっとも分からない。

しかも、河村建夫官房長官は記者会見で「首相の旺盛なサービス精神が勇み足をしたのかなという思いもする」と擁護してるが、総理大臣は顧客を接待する営業の「太鼓持ち」ではない。 政府の活動に影響を与えかねないサービス精神をしない様諌めるのも官房長官の仕事ではないか。 それができないなら、さっさと辞任したらどうか。


もうひとつ、先にあげた共同通信の電子版にある、麻生総理の発言、
「小児科、婦人科(の医師不足)が猛烈に問題になっているが、これは急患が多いから。急患が多いところは皆、人が引く。点数が入らない。点数を変えたらいいんです。」
との発言だが、これも自称「自分で病院を経営している」麻生総理の事実誤認ではないか? 

急患、救急など時間を問わない医療現場から医師が引いていくのは、その過酷な職場環境にある。 彼らは、日中通常勤務をこなし、夜間の当直勤務を行い、翌日も日中勤務を行う。 36時間から40時間、ぶっ通しで仕事をするのだ。 医師不足もあって、月300時間勤務はざらのようだ。 つまり、一般の企業でいうと残業時間は月100時間をゆうに越える。 これが1年通して行われるのだから、明らかに労働基準法違反だろう。 しかも、時には医療過誤とされ、訴訟沙汰に成り、最悪の場合は刑事訴追すらありうる。

本来、夜間の勤務(当直)は「宿直勤務」扱いという。 労働基準法で用いられる「宿直、または、宿日直」は、
「夜間休日において、電話対応、火災予防などのための巡視、非常事態が発生した時の連絡などにあたることをさす。  医療機関において、労働基準法における宿日直勤務として許可される業務は、常態としてほとんど労働する必要がない業務のみであり、病室の定時巡回や少数の要注意患者の検脈、検温等の軽度または短時間の業務に限る。 夜間に十分な睡眠時間が確保されなければならない。  宿直勤務は、週1回、日直勤務は月1回を限度とすること。」(厚生労働省の通達)
私も、医師の当直は「夜勤」扱いと思っていた。 ところが、多くの、救急指定や産科医、小児科医は夜間の当直はこの「宿日直」扱いと聞く。 つまり、22〜翌9時の間は「宿直」なので「勤務時間」に含まれず「宿直手当て」が出てるだけ。 実際、法定賃金でいっても、夜間勤務と比べ「宿日直」扱いならその手当ては雲泥の差だ。 しかも、医師不足で周辺の病院は救急業務から撤退し、救急患者は特定の病院に集中することになるから「宿直」といいつつも医師には寝る暇などほとんど無いのが実状だろう。 しかも、週1回しか許されない「宿直」だが、自分の勤務(常勤)する病院だけなく、医師不足のため、他の病院からも「宿直」を頼まれるなど、週2回以上当直をしているのが実状のようだ。

これを自分の身になって考えて欲しい。 例えば、あなたがメーカー工場のラインの仕事に就いているとしよう。 9〜17時まで働き、残業をした後、「宿直」で夜を徹して働き、次の日も17時まで働く。 しかもこの生産ラインは100種類の型番の製品がランダムに流れて来る。 次にどの型番の製品が来るのか知らされていない。 あなたは、来た製品をひと目で見て、組み立てる部材を判断しなければならない。 その部材も似たような形状のものが幾つもあり、微妙に取り付け位置が違うなど、型番によって全て異なる。 その上、不良品は1個も出してはいけないのだ。 1つでも不良品がでれば、あなたには、不良品1個につき数千万円の単位で損害賠償が請求される。 週休2日でも宿直が週2回ある、そんな職場だ。 年収は1000万円ほどか。 あなた、そんな職業に就きますか? まあ、年収がもう少し多い勤務医もいるだろうが、これが、概ね、勤務医の実態だろう。

現在の我々国民の命は、病院経営者が労働基準法等の法律を無視し、遵守していないことを知りながら、患者の命を救うために過酷な勤務に耐え、なんとか完全な医療崩壊に至らないよう踏みとどまるという「ものすごく価値判断が違う」医師(勤務医)の頑張りに頼っているに過ぎない。 彼らも人間だ。 彼らが倒れたら我々の救命医療も終焉を迎える。 

閑話休題

診療報酬(=麻生総理の言う点数)を上げれば良いだけの話ではない。 以前の記事、「労働者としては扱われないのか?」でも述べたが、医師の労働環境を整備すると共に、出産育児などで一線を退いた女性医師の復帰を図る研修制度(医療は日進月歩であり、医師免許があるからといって即一線で働けるものではない)などの政策を行うなど、とにかく、早急に全国的に必要な医師を確保し、医師というリソース全体を増やす方策を採るべきだろ。 今更医大生の定員数を増やしても、一人前の医師として第一線で活躍できるのは10年以上後のことだ。 


ちなみに、「これだけ激しくなってくると、医師会もいろいろ、厚生省も、5年前に必ずこういうことになりますよと申し上げて、そのまま答えがこないままになっている。」といった麻生総理の発言は、全く意味がわからない。 医師会が医学生の定員削減を求めたのは1970年代と聞くし、その後の更なる医師数削減を推進したのは、小泉厚生相以降の自民党政権であり、なにより小泉元首相が実行したのではないか。 自民党総裁選では小泉氏に破れたとはいえ、当時の総裁選でも、麻生氏が医療崩壊の警鐘を鳴らしていたという記憶はない。

麻生総理は「医者は友達にもいっぱいいるが、おれと波長が合わねえのが多い」と言うが、それは『類は友を呼ぶ』(=麻生総理も社会的常識がかなり欠落している)のか、それとも、一般的な常識を有する医師と波長の合わない麻生総理が「社会的常識がかなり欠落している」のかのどちらかだろう。(単なるヒニクです・苦笑)

※一部記事の追加修正を行いました(11/24 15:35)
posted by 少彦梛 at 23:38| Comment(0) | 医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月04日

結婚したら富山県に住もう!(笑)

ご結婚されて、お子さんを儲けようとお思いの20代から40代の皆さん、是非、富山へ移住しましょう!

10年ほど前まで、旧自治省だったか、毎年住みやすい「市」のランキングを発表していた。 ランキングトップ10の内、6市か7市は富山県内の市であった記憶がある。 教育御三家といわれる中にも入っていて(他は、秋田、福井)、小6・中3の全国学力テストも3位〜5位以内に入ってる。 持ち家率も国内トップクラスだ。 もっとも、住みやすい「市」ランキングは評価方法が不透明だとか、国がすべきことかとの反発があり今では実施されていないし、平成の大合併もあり、10年後の現在も住み良いかどうかはわかりませんが・・・。 しかも平成の大合併で15市町村(10市4町1村)と、県下の自治体の数は日本で一番少ない県になっている(ウィキペディアより)


閑話休題

別に富山を宣伝するつもりではなく、今回富山県を取り上げたのにはかなりの説明がいる(苦笑)。

昨日のテレビ朝日の夕方のニュースで、都内の「総合周産期母子医療センター」の昭和大病院に24時間密着取材した模様が放映されたのがきっかけだ。 同様の報道が産経新聞の電子版「過酷な産科医師勤務」で取り上げられてるのでそちらもご参考に。 その中で印象に残ったのが、当直の産科医は3人とも手が開いてるのに、新生児集中治療室(NICU)のベットが開いていないため、救急の妊産婦さんが受入れられないという状況だった。 既に臨月で、事前検診などにより胎児の健康状態にまったく問題がなく、NICUは不要と判っていれば妊産婦さんを受入れることも可能だろう。 しかし、「総合周産期母子医療センター」に救急搬送される多くは、重い妊娠中毒症や切迫早産などといったリスクの高い妊娠さんだ。 母親が助かっても未熟児などの新生児の集中治療ができないなら、救急の受け入れようがない・・・。 新生児は確実に亡くなるであろうから。

それでも、病院側の状況がどうあれ、何としても受入れろと強弁する人もいる。 先日の墨東病院に救急搬送された脳内出血の妊婦さんの事例もそのひとつだ。 最初の報道の姿勢は、明らかに受入れなかった7つ(後に8つと判明)の病院を責める論調だった。(無論、当直の産科担当医が一人しかいない状況にも非があるが、これは都知事の責任だ) では、例えば、貴方が交通事故に遭い頭蓋骨骨折や臓器破裂などの重症を負ったとしよう。 それなのに、病院にはICUの空きが無くても受入れろと言うのと同じである。 仮に緊急手術が成功しても、回復するための手段であるICUが無ければ、貴方は死んでしまうことは明白だろう。 生きるか死ぬかの境を彷徨ってる時に、無菌室ではない個室ベットに入れば、普通の風邪程度の弱い感染症でもオダブツだ・・・。 

話が逸れたが、以上のことからもNICUを増やす必要はある。 ただ、NICUは相当高額なものらしいし、もちろん運用コストも相当かかる。 でも、命を金には換えられまい。 税にしろ何にしろ、医療費増は避けて通れまい。 ところが、だ。 新生児集中治療技術を持つ小児科医がこれまたいないのでNICUが増やせないと聞く。 当然ながら、新生児集中治療に精通した看護師も必要だ。 ただNICUを買い増せばいいというものではない。 例えば、フェラーリのF1カーを買えも、ライセンスを持つドライバーとF1カーに精通したメカニックを雇えなければ、F1には参戦できない。 F1カーがNICUであり、ドライバーが小児科医、メカニックが看護師だ。 今、産科医不足がマスコミなどでも叫ばれているが、小児科医も同様に不足しているのが現状である。 また、他の新聞紙面によれば、都道府県、病院によっては、NICUを出ても大丈夫なくらい小児が回復・成長しても、その児が次に移れる小児用ベッドの空きが無いという。 空きベッドが見つかるまでNICUからは出られない。 そのため、救急の新生児を受入れられないという悪循環が生じているところもあると聞く。

仮に小児用医療ベッドが充足しているとして、厚生労働省の通達(だと思う)によれば、出生数1000人あたりNICUが3床は必要とされると聞く。 しかしながら、数日前どこかの新聞(朝日新聞だったかなあ?)の電子版を読んだ時に、出生数1000人あたりのNICU数が書かれていたが、埼玉は1.4床、神奈川は1.7床、東京でも1.9床だった(と思う)。(スイマセン、再検索しましたが削除されたのか、当該記事が見つかりませんでした) 出産の絶対数が他府県より圧倒的に多いと思われる首都圏なのに、あまりに少ない。 そして、その記事で強烈に記憶に残ってるのが富山県なのだ。 なんと、出生数1000人あたりのNICUは6.9床! 全国1位なのだ。 確か2位の山口でも4.5床くらいだったと思うので、抜きん出てる床数である。 何かの間違いではないのか?と思ったほどである(笑) そもそも47都道府県で、出生数1000人あたりのNICUが3床を越える県域は、10県もないのだ。 こんな状況で「リスクの高い妊産婦を受入れろ」というのは元々無理な話しだろう。 

もうひとつ、妊婦がリスクの高い出産に到る原因として、現代の女性の食生活や、過度のダイエットも関係しているのではないかと個人的には思っている。 特に、ジャンクフードやファストフードといった食生活の多い今の10代後半から20代にかけては、今後出産するにあたって、母子ともに出産リスクは今以上に高くなるのではないだろうか。 もちろん、私は専門家ではないのであくまで「勘」でしかありませんが・・・。


そこで漸く、この記事の最初の記述のご提案である。 結婚して子供を望むなら、NICUの充実した富山県へ引っ越しましょう。 ひとつのリスク回避である。 点数のみで学力をはかるのもどうかとは思うが、富山は教育県でもあるし、生まれた子供にとっても環境にも良いのではなかろうか。 悪い遊びを覚えるようなところも少ない田舎だろうし(笑)。 でも、妊娠が判ってからの引っ越しは難しいと思う。 持ち家率が高いということは、賃貸住居は少ないと思えるからだ。 出産するまでに住む所が確保できないかもしれない。 

もっとも、1つ大きな問題が・・・。 仕事は無いかもしれない(爆)。 まあ、金沢あたりなら通勤圏内だと思いますけどね。 
posted by 少彦梛 at 23:45| Comment(0) | 医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月25日

腰抜武士の後思案

腰抜武士の後思案(こしぬけぶしのあとしあん)。 臆病な武士(腰抜武士)はイザというときに役に立たず、事後に無益な思案をめぐらすことを表わす、ことわざ。

先日、当ブログの「労働者としては扱われないのか?」で昨今の医療崩壊について思うところを書いた。 その中で「大都市以外の地方都市」では人材不足・医師不足で、過酷な労働条件を強いられてる、とも書いた。 ところが、時事通信社の電子版「24歳看護師の過労死認定」によると、昨年、東京都済生会中央病院において、看護師が宿直明けに意識不明になり過労死したと報じられた。 記事によると、その看護師さんは当時24歳で、担当する手術室はもともと26人態勢だったのが同僚の退職等で18人になり、新人の補充後も人員不足の状態は続いたらしい。 その看護師さんは4月から5月にかけ「25時間拘束」の宿直勤務を8回こなしたほか、土日に働くこともあり、残業は月約100時間だったそうだ。 一般のホワイトカラーの会社員でも月100時間の残業はかなりキツイが、医療現場、しかも人の生死に直結する手術の現場で、かつ、仕事に不慣れな新人の教育もこなしていたのだろうから相当の肉体的精神的ストレスが掛かっていたのだろう。 医療従事者でない私でも、過酷な状況の想像はつく。

しかし、大都市東京の、それも著名な「北里柴三郎先生」が初代院長を勤めたことでも名の通った、東京都済生会中央病院ですら『人員・人材不足』が起こっている。 驚愕的な報道だ。 医師、看護師の人員・人材不足はすでに大都市東京の医療現場すら蝕んでいる・・・。 都内に住む人はその事実を知っているんだろうか?

そして、もうひとつの事件。 脳内出血を起こした妊婦さんが、かかりつけだった産科院が必死に探したにも係わらず、対応できる転送先の病院が1時間近く見つからず、結果として妊婦さんが亡くなるという痛ましい事件が発覚した。 結局、「総合周産期母子医療センター」で「東京ER(総合救急診療科)」にも指定されている『東京都立墨東病院』に受入れられ、帝王切開による出産と、そして妊婦さんの脳内出血の手術が行われた。 しかしながら、残念なことにその3日後、お母さんの方は亡くなったという。 ご遺族の方はもちろんのこと、かかりつけの産科医さんも「もっと早く頭部の処置ができればお母さんの命も救えたのではないか」という想いはお強いだろう。 担当の産科医さんは自責の念にかられているかもしれない。 受入れた都立墨東病院は、昨年末に産科常勤医1名、今年6月に研修医1名が退職したため、7月から土日と祝日のセンター当直医を本来の2人から1人に減らし、週末の受入れ態勢が整っていなかったそうだ。 「リスクの高い妊娠に対する医療、及び、高度な新生児医療等の周産期医療を行うことができる医療施設」であるはずの、しかも人材を集めやすいと思える「東京」の、総合周産期母子医療センターですらこのような状況・・・。 日本の産科医不足は相当深刻なことは間違いない。

詳しいデータがある訳ではないが、医師については、産科医、小児科医、麻酔医、外科医の順で不足しているらしい。 どの診療科も、特に命に係わる緊急時には無くてはならない医師達ではないだろうか? とはいえ、一人の医師を育てるには相当な時間がかかる。 ブルーカラー・ワーカーとは異なり、人が足りないからと募集広告を打てばすぐ集まるといった類のものではない。 日本全体の「医師」というリソース、特に先にあげた4つの科の専門医数には限りがある。 殊更、救急医療においては、このリソースを効率的に、そして効果的に活用する施策を早急に打つ必要があると言えそうだ。 もちろん、医師も人間であるから無理はさせられない。 恐らく、そのためには、リソース管理といった仕組み(システム)作りやカルテの電子化とネットワーク(データ流通)構築等が必要であり、相当のコスト負担が求められる。 千、二千億円では利かない。 場合によっては都内だけでも1兆円超えということも・・・。 ただ、これは、小泉純一郎氏が、厚生大臣時に「医師削減」を閣議提出・決定し、その後、彼が総理大臣の時に医療に関する制度を大幅に変えたことに連なる失政のツケなのだ。 投票という間接的な行動であっても、そういう政権を選択してきた国民がそのツケを払うしかない。 失政のツケは結局税金という形で国民が負担せざろう得ない。 国会議員も官僚も払ってはくれない。 むろん、ツケをお金をかけずに済ますこともできる。 救急医療を切り捨てるという選択肢だ。 その時は、自分の命でその代償を払う場合があることを覚悟せねばならない。 放っておけば、救急医療の状況は今より確実に悪くなる・・・。


閑話休題

一般医療にしろ、救急医療にしろ、医療の現場への対策は焦眉の急の事態にあるのに、今回の妊婦さんが脳内出血でお亡くなりになった事件については「いい加減にしろよ」と思うことが2つある。

まずはマスコミの報道だ。 今回も、奈良県で破水した妊婦さんが17件(だったかな)の病院が受入れなくて亡くなった事件があった時と同じく、センセーショナルに書きたて、事の本質を深く掘り下げた取材をした報道をせず、「また悲劇」などと書きたて悪者探しに終始し、騒ぎ立ててるだけだ。 以前、福島県立大野病院の産科で帝王切開手術を受けた産婦が死亡したことについて、執刀医が逮捕されたことをセンセーショナルに書きたて、それが産科医を目指す医学生の減少といった結果に繋がった、と言われている。 報道が産科医減少といった事態に向かう片棒を担いだという反省はないのだろうか。 今回の報道で、また医師の産科医離れが加速するのではないかと懸念している。 書くなとは言わない。 ただ、重箱の隅をつつくようなことを報道の自由と言うのはいい加減に止めにして、現実を丹念に調べあげる義務と責任を果たした上で、報道の自由を闊歩していただきたい。 特に、大手新聞社やTV局には心すべきだろう。

例えば、ある番組で「産科医1人でも、ERなんだから患者は受入れるべき」という意味合いの発言もあったようだ。 しかし、今回の脳内出血の妊婦さんの処置の場合、ICUとNICUを確保した上で、必要な医師が
 脳外科医:2人
 産婦人科医:2人
 新生児科医:1〜2人
 麻酔科医:1人以上
であったろうと言う方もいらっしゃいます。 この人員が正しいかはともかく、きちんと取材していれば番組内で「産科医1人でも・・・」といったいい加減な発言はあり得ない。 こういう輩は、恐らく、産科医が1人なのに患者を受入れ、患者がもし亡くなれば「なんで受入れたのか」と責める側に廻るのだろう。 残念ながら、今のところ、きちんと取材したと思われる真っ当な報道には接してない。 単に耳目を集めるからといった理由で情報をタレ流すだけでなく、きちんと検証もしてもらわねば、戦争に突っ走る片棒を担いだ報道のニノマエだろう。 
 

もうひとつは、舛添厚生労働大臣と石原東京都知事のクダラヌ論戦だ。

舛添厚労働大臣が記者会見で「周産期医療問題の解決に力を入れてきたのに、このようなことが起きたのは羊頭狗肉だ」とか「医療体制が整備されているはずの東京都でこのような事態が起きたのに、妊婦の死亡から2週間以上も厚労省に報告があがってこないのはどういうことか。とても都には任せられない」と批判したと思えば、(そもそも報告義務なんてあるの?)
石原知事は「東京に任せてられないんじゃない。国に任せていられないんだよ。厚労省の医療行政が間違ってきて、お医者さんがこういう体たらくになった。(中略)こういう事態つくったの国じゃないですか。国に任せていられないんだよ。誰がやったんですか?国に任してたからこういうことになっちゃったんだよ。反省してもらいたいのは厚労省で、今担当のその大臣様だね。物言うならもう少し冷静に頭冷やして物言った方がいいと私は思いますけども」。

まあ、どちらも呆れてモノが言えません。 まるでガキの喧嘩のようだ。 今回の都立墨東病院の件については、厚労省も都も、両者ともイザという場合の備えに全く役にたたず、事後に無益な言い争いをしている・・・。 まさしく、タイトルにした「腰抜武士の後思案」そのものだろう。 石原知事にいたっては、今回妊婦が脳内出血を起こしたことを「レアケース」とまで言い切ってる。 ホントにレアケースなのか? 確か、昨年8月にも妊婦が出産時に脳内出血で亡くなったというニュースがあったはずだ。 その時も20近い病院に受入れを断られていたと記憶している。 症例は少ないかもしれないが、特殊な例(レアケース)と、少なくとも専門外の石原知事が言うことではなかろう。 少し話が逸れたが、お二方とも今回の件の責任者であることを自覚されてるのでしょうか。 また、国民、あるいは都民の命を預かる立場にあるのだから、お互い責任の擦り合いのようなことを言ってる場合じゃないことぐらい分からないんですかね。


最後になりましたが、今回取り上げさせていただきました、お亡くなりになった看護師さん、妊婦さんには、ご冥福をお祈り申し上げます。
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posted by 少彦梛 at 04:42| Comment(4) | 医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月10日

労働者としては扱われないのか?

朝日新聞の電子版、「林を抜けると一面ピンク」によると、長野県箕輪町で「高嶺(たかね)ルビー」という赤いソバの花が満開だそうだ。
見ごろを迎えた赤ソバの畑=長野県箕輪町、加藤丈朗撮影.jpg
加藤丈朗氏撮影
蕎麦好きの私とすると、11月下旬頃から出回る新ソバで打った薫り高い蕎麦が今から楽しみなのだが・・・。 ただ、ここ数年、その時期出かける時間が取れなくて、お目当ての蕎麦になかなかあり付けない(涙)。 

まあ、時にはそんな楽しい話題も書きたいのだけれど。 昨日は日経平均株価が9千円割れ寸前でしたが、翌日の今日にはもう8千円割れ目前。 はてさて、どこまで下げ続けるのでしょうか。 明日からG7の財務相・中央銀行総裁会議があるそうだが、私としては然したる成果は期待できないと見ている。 まあ、この話題は日経平均が7500円割れ(汗)するか、政府から新たな金融政策等が出た時にしたいと思います。


今日の本題は、昨今の医療崩壊について。

毎日新聞の電子版「女性産科医、妊娠中も当直減らず」によると、法律で義務付けられた育児休暇制度が無いなどのため、産婦人科で働く女性勤務医が妊娠・育児中であるにもかかわらず、当直(夜勤)を続けざろう得ない状況であり、当直回数を減らすなどの対応すらしていない病院が5割強もあるという。 確かに、産科医そのものの減少に拍車がかかっており、人材不足がその背景にあるのだろう。 出産をする妊婦さんも、自分の担当医は男性であるよりは同じ女性を望むだろうから、経営する立場の病院側としても女性産科医に働いて欲しいという一面があるのかもしれない。 しかし、何故産科医はこれほどの人材不足になったのだろうか。 日本の出生率、つまり生まれてくる赤子の数は年々減っているのだが、それに見合う以上に産科医のなり手が減っているのだけではないと思われる。 インフォームドコンセントやそれに付随する同意書の作成などなど・・・仕事量も増えたのだ。 患者一人当たりにかかる時間も増えていることも大きな要因の1つと思われる。

だが、勤務医は労働者として見られていないのか?

実際、出産は昼夜問わずだし、必ず予定日に出産になる訳でもない。 ましてや、母体にも胎児にも気を配らねばいけないのだろうから、医師としては相当の重圧があると思う。 それ故、産科医にはなりたくないと思う医学生も多いのだろう。、更に拍車をかけたと思われるのが、福島県立大野病院で帝王切開を受けた女性が亡くなった件で、マスコミなどがセンセーショナルに報道し、執刀した産科医が業務上過失致死と医師法違反の容疑で逮捕、起訴されたことだろう。 この事件以後、ますます産科を敬遠する傾向が強まったとも聞く。 しかしながら、事は産科医に限らず、医師の総数そのものが減っているのだという。 もともと厚生省は '80年代中頃から医大の学生の定員を絞ってきた(医師過多で収入が落ち込むことを恐れた日本医師会が圧力をかけた?)。 しかも '90年代後半の頃だったか、閣議決定により医療費抑制施策として(直接はそう書いて無いが)大幅な医師数の抑制が行われたと記憶している。 当時の厚生大臣は小泉純一郎氏だったはずだ。 所謂、医療費亡国論の始まりだ。 医療費抑制に一番手っ取り早いのは、医師の数を減らすことだ。 医師がいなければ患者は病院に掛かることができず、結果として健康保険を利用できないから医療費が減る。 暴論のようだが、事実そうなのだ。 例えば、風邪をひいても医者にかかられず市販薬で済ませてもらえばいいのだから・・・。 

医師不足や医療崩壊など世間が騒ぎだし、2年ほど前になって、厚生労働省は「医師の需給に関する検討会報告書」を出した。 大まかに言うと、ここでは確かにマクロ(総数)でみられる医師数は需給バランスとしてみると不足していることを認めつつ、 '22年には需給バランスは均衡するという。 そして、 '40年には概ね1万人程の医師過剰になるような書きぶりだ。 ちなみに、この報告書は読んでて頭が痛くなるくらい難解です(苦笑)。 ただ、どうやら厚労省としては、医師数が不足してるのではなく、都市と地方間、それぞれの専門分野間において需要供給のバランスがとれていないことを強調したいようだ。 それを考慮に入れて読むと、この報告書自体が机上の空論に思える。 第一、検討会のメンバーを見ても、九州(恐らく福岡)と茨城県在住と思われる2名を除き、全員東京で働いているような方々だ。 医療現場の実態をどこまで理解しているのかは私には甚だ疑問である。


閑話休題

実際、女性の産科医に限らず、また、男女を問わず大都市以外の地方都市では人材不足・医師不足で、過酷な労働条件を強いられてるのは確かだ。 地方自治体などと共同で、中核病院自身、また、各病院間の連携、などといった努力は行われているがそれにも限界がある。 地域医療の維持は、医師および看護師個人に大きな負担を強い、つまり、個々人の頑張りに負ってるところが大きい様に思う。 それ故、「医者の不養生」という言葉もあるけれど、養生したくともできない医師は毎年増加しているのも現実だ。 体を壊して医者を辞めざろう得ない方も多いと聞く。 医師も人間だ。 無理を強いれば過労で倒れるし、病気にもなる。 私自身の身近でも、歳もさほど違わない内科の私の主治医が、昨年、突然心筋梗塞を起こし亡くなった・・・。 当直を多くこなすと当然生活は不規則になるし、自分の体調管理に裂く時間すら取れない・・・。 過酷な医療現場ほど、例えば産科医のように、辞める医師は多く、残った医師への負担も膨らむこととなろう。 負の連鎖が断ち切れないでいるのだ。 しかも、現行の研修医制度が施行され、人員不足に落ちいった医大病院が地域の病院から派遣医師を引き上げたことがそれに拍車をかけたのも周知の事実だろう。

厚労省は、昨年「医師確保対策について」をまとめたが、実情に合った施策かは疑問に感じる。 内容はいわゆる補助金行政であり、その効果についても甚だ疑問に思う。 また、今回の補正予算では当直勤務の医師に直接手当てを支給(病院へではない)することも盛り込まれたが、地方の人手不足の現場からは「同情するなら医師をくれ」といった想いではなかろうか。 労働行政も司る「厚生労働省」である。 医療行政だけでなく、勤務医や看護師が一般の労働者と同程度の「労働環境」で働けるよう、逆にいえば、病院の経営サイドが法律で義務付けられた労働条件を整えることができるよう、対処することは急務であると思う。 また、既に医師全体の3割を占める女性医師への労働環境改善は特に必要だと思う。 助産師さんの増員や、医療秘書の増員など、医師でなくともできる業務を賄う人員養成も必要だ。 そして、出産などで退職を余儀なくされた(子育てしながら勤務医を続ける労働環境にないため)女性医師の勤務医復帰の道を開くための研修制度など、特に地方で、早急に対応して欲しいと思っている。 

しかしながら、行政任せではなく、我々患者サイドも自ら地域医療を守るために行動すべきであろう。 昼間は待たされるからと夜間外来に行くなどといった、コンビニ受診をやめる。 ホームドクターを持ち、病院の掛け持ちをしないことにより無駄な薬の処方を避け、医療費を抑制する・・・、などだ。

医師は決して病気を治してくれるのではなく、患者自らが病気を治そうとする力に手を貸してくれる存在なのだと思う。 医療をひとつのサービス業と観る向きもあるが、それは間違いだ。 「患者と医師はパートナー」という自覚が自らになければ、治るものも治らない。 相手に無理を強いれば、パートナーは居なくなってしまうこと(=地域医療の崩壊)を我々は肝に銘じたいと思う。 もちろん、「医は算術」といったような病院や医師がいないか監視し、そういう輩を許さない、排除することも必要だ。 


最後に、兵庫県の県立柏原(かいばら)病院で、小児科が廃止になりかけた際、地元のお母さん達が立ち上がり、地域の小児医療を守った「県立柏原病院の小児科を守る会」を是非紹介しておきたい。
posted by 少彦梛 at 22:46| Comment(0) | 医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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