2008年11月07日

橋下大阪府知事の発言から教育を考える

何故、今回このタイトルで記事を書こうと思ったかというと、10日程前、大阪府が「教育問題討論会」を開催した際のTVニュースで観た時、討論の中で橋下知事が声を荒げた時「今日もキレましたね」とのプラカードが客席から揚がり、思わず笑ってしまったからだ(苦笑)。 なのでいつか取り上げようと思っていたのだ。 まあ、傍から見てると橋下知事キレ易いという印象はある(笑)。 しかし、討論会で橋下知事が保護者に向けて意見を聞くための発言をしてるのに、教育者側(?)の野次の酷さには更にウンザリだ。 討論会の様子については、産経新聞の電子版「教育問題討論会で渦巻く怒号、やじ」などを参照してください。


ところで、日本人は「討論」がヘタだ。 恐らく「討論する」という訓練を受けてこなかったためと思われる。 その代わりにというか、「議論」ズキだ(苦笑)。 では、「討論」と「議論」の違いは何か? Web辞書をひくと、
【討論】 ある問題について、互いに意見を述べ合うこと。ディスカッション。
【議論】 それぞれの考えを述べて論じあうこと。また、その内容。
同じような感じだが、私の認識では、「討論する」のは互いに意見をぶつけ合い意見の溝を埋めるために行うものであり、「議論する」のは互いの考えを述べて何らかの結論を導こう、または自分の意見を納得させようとするものである。 もちろん、溝が埋まらないこともあれば結論がでないこともあるのですが・・・。

私としては、子供さんをお持ちの皆様方には、是非、いろいろな世の中の課題・話題を取り上げ、家族で話し合う機会を作ることをお勧めしたいと思います。 月1回でもいいんです。 お子さん達が物事をどのように捉え、考え、表現するか知る機会にもなりますし、わざと反対の意見を与えてみるなどのサジェスチョンを行えば、より物事を深く考える訓練にもなると思いますから。 ただし、議論で親の考えと同じに持って行こうととしたり、頭ごなしに否定してはいけませんよ。 私みたいにヒネクレ者になちゃいますから(爆)。

ちなみに、先日の大阪での教育問題討論会でも、討論を目的とするのではなく、ただ単に知事への「抗議」「批判」のために参加した人も多そうだ。 「中山前国交相の日教組批判に対する知事発言の撤回を求める」などの要求は、討論会に無為な時間を浪費させるだけだ。 抗議活動は別の機会に知事にすべきだろう。 真っ当な論議をしたい教育者、保護者、行政からすると迷惑なだけで、特に被害を受けたのは教育を受ける子供を抱える保護者だろう。 先の産経新聞の電子版でも、『発言中はヤジが多く、たまりかねた橋下知事は「まず人の話を聞きなさい。いい大人なんだから」「こういう先生に子供たちを任せておくことはできない。中山前国交相の発言こそ正しいじゃないですか」と持論を述べると、知事の発言を支持する他の参加者たちから大きな拍手がわいた。』とあり、それが証明していると思う。(私自身は中山前国交相の日教組発言は、一概に正しいとは思いませんが)


2つめに・・・、橋下知事の「国旗、国歌意識して」発言。

これも産経新聞の電子版「橋下知事が高校生に呼びかけ」によると、「僕ら(橋下氏)の世代は日の丸、君が代をまったく教えられていない。 僕らの世代は最悪の教育を受けてきた。 社会を意識するためには国旗や国歌を意識しなければならない。 教育として本質的な部分だ。(要旨)」と発言したとのこと。 うーん・・・、確かに今は「国旗国歌法」で、日章旗(日の丸)を国旗に、君が代を国歌にと定められてるが、「社会を意識するためには国旗や国歌を意識しなければならない。」というのは論理が飛躍してると思いますが・・・。 橋下知事が青少年の頃どのような教育を受けたかしりませんが。 「日の丸、君が代を教える」ていうのはどういう意味なんでしょう。 他方「日の丸、君が代は戦前の軍国主義に・・・」とか、これまた私には理解不能なことを論じる方もいますけど。 どちらも間違い、ではないですか? 私は橋下氏よりちょっと年上ですが、同じ校下であったなら少なくとも小学校は一緒の学び舎の下で勉強したことになりますが、「最悪の教育を受けた」とは思いませんけど。 ただ、入学・卒業、始業・終業の各式、運動会などの時は、日の丸掲揚、君が代斉唱はありましたよ。 小・中・高と公立学校でしたが。 小学校の時は小4くらいからは道徳の授業も週1ありましたっけ。 都道府県毎に方針が違うのでしょうがね。

国旗国歌なんぞを強調する前に、子供達に自分の住んでる街や市町村や都道府県がどんな処か、どんなに良い処なのか、特に人物や自然地理などを小学生くらいから教えて、自分の住む街、村に誇りを持てるようにすることを最初にすべき事ではないかと思う。 むろん、治していかねばならない悪い処もあること併せて教える必要もありますが・・・。 その土壌があってこそ初めて「社会を意識する心」が芽生えるのではないでしょうか。 そして、社会を意識する心が育った上で漸く国旗国歌の出番なのです。 『我が国の国旗国歌は日の丸、君が代です。我々はこれを尊重せねばなりません。 そして、同じように他の国の国旗国歌も尊重せねばなりません。』 それが順序というものではないでしょうか。 ただ、「社会を意識するために国旗や国歌を意識せよ」と訓示したところで、オリンピックやワールドカップなどで暴徒と化すときの道具にしか映りませんよ、若い彼らには(たぶん)。


3つめに、橋下知事が高校生と意見交換した時のことを。

これは確かフジテレビのニュース番組で観たと思うのですが、『女子高校生を泣かせた』と見出しにしたタブロイド紙もあったような・・・。 大阪府の私学助成予算を約28億円の削減(H19年度歳出約600億円)に対し、高校生のグループが私学助成予算削減を止めてもらうよう陳情に大阪府へやって来た。 これに、橋下知事は「子供達の戯言みたいにならないよう反論していくので、きょうは議論したい(要旨)」と初っ端から打った。 子供扱いしないのは良いこととも思うが、理由は「すでに義務教育を終えたので大人として扱う(主旨)」という。 つい、『じゃあ、16歳以上には府知事、府議の選挙権を認めてやれよ』と、心の中で毒づいてしまった(笑)。 都合のいい時には大人扱いかよ。 ところで、フジテレビのニュースではコメンテータ(?)が、「日本国憲法89条で、公金は公の支配に属さない教育に支出ししてはならない、ということをちゃんと話した方が良かった(要旨)」と言っていたのは、そのとおりだ。 税金を納め、子供もいない私などは、『私立学校振興助成法』は「憲法違反」だと裁判に提訴えてもいいくらいなのだ(←身勝手・苦笑)。 助成してもらえるだけ有り難いと思え・・・と言いたいところだが、ここは自重(苦笑)。

まあ、年端も行かない子供相手に議論を吹きかける橋下知事も大人気ないが、ある女生徒が泣いてる子に「勉強せなあかん。負けてたらあかんで。悔しいからな、勉強していろんなこと知らなきゃあかん」と言っていたのが、せめてもの救いであり、彼らにとって無駄な時間ではなかったと思いたい。

ちなみに、大阪府のHPによると、高校生に限れば、私学助成は、学校側への助成は一人あたり293,560円 → 265,612円(▲27,948円)、各世帯への授業料軽減助成費は据え置きだ。 来年度、再来年度も減額されると想定されるが、高校生ならそのくらいは夏休み中のバイトなどで工面しろよ・・・と思うのだが・・・。 逆に、学校法人側が私学助成費減を隠れ蓑にし、助成金減額以上の授業料増にならぬよう父兄は監視すべきだろう。

閑話休題

ところで、3つ目の本論は別のところにある。 今回の意見交換に出席した子供らが私学に進んだ理由が、
「公立に入ったとしても、勉強についていけるかどうかわからないと言われて」とか、
「『そこ(私立)にしか行けない』って言われたんです」とか・・・。 これは教師による生徒への『恫喝』ですよ。 オカシイと思いませんか? どこの高校を受験しようが学生側の自由のはず。 しかも、今もそうかは知りませんが、入試の点数だけではなく「中学教師の書く内申書」も合否を左右するんでしょ。 中学教師は合格率が悪ければ叩かれますから、学生を成績と内申書で脅し、中学校自体が学生から受験の自由を奪っているのではないでしょうか? であれば、知事が学生にいくら「自らの努力が足りない。自己責任」といっても画龍点睛を欠きます。 自由が極端に制限されているのに責任だけを説くのは筋違いでしょう。 また、公立高校の一斉入試にも問題がある。 競争だから負けることもあるのは仕方がないが、敗者復活の機会が与えられないのでは真の公平とは言えない。 現在の公立大学のように学校毎にABと入試日を分けなくとも、2次募集などの機会と枠を広げるべきではないだろうか。 自己責任を説くなら、府立高校間にも、学生の選択の自由と能力に応じた機会の確保を保証すべきだろう。

併せて、中学を卒業するに値しない学力しか有しない者は卒業させるべきではないのではいか。 中学までの義務教育は社会に出るための必要最小限の学力・知識を身に付けるためにあるのだろう。 少なくとも中1レベル(私個人の思いなので30年近く前の中1です・苦笑)の知識が付いて無い生徒は、卒業させるべきではないだろう。 評論家の三宅久之氏がある番組でおっしゃてましたが、「子供が知識を習得することは苦痛ではない。義務教育の段階では強制力を伴ってもちっともおかしくない。何年までには漢字はこれだけ覚えなさい。九九はともかく憶えなさい。頭が良いとか悪いとかでなくて、それをやってなかったら社会に出て困るでしょう。そういうことについては教えなければいけません。(要旨)」。 そのとおりだと思います。 あるレベルの知識を習得していない子供を社会に、または高校に出してはいけないと思います。 もちろん、憲法で定められた「教育を受けさせる義務」が親にはあるのだから、当然16歳以上の卒業できない子の保護者からは授業料を徴収は必要でしょう。 少なくとも成年(18歳とするか20歳とするかは議論が必要ですが)になるまでは。

蛇足だが、「教育問題討論会で渦巻く怒号、やじ」の記事に、ある教員団体関係者が「(全国学力テストの)結果公表でランク付けが進めば、子供たちへの悪影響は計り知れない。」と発言しているが、学生達の高校入試に向けて、高校毎にランク付けをし学生を振り分け、学生達の生涯に悪影響を及ぼしている君たちがそれを言うのは、矛盾以外のなにものでもないことを銘記すべきだ。


また、学生さん側にも一言。 学力の不足する子もいるでしょう。 中にはイジメによる不登校、病気などにより小中学校にあまり通えなかった子、皆さんそれぞれに事情はおありだと思います。 でも、同級生の皆と同じ歩調で人生を歩まなければいけない理由はありません。 さすがに、今は夜学の高校は少なく、社会環境的に夜学に通うのは難しいでしょう。 しかし、お金が無いなら無いなりに、病気などの理由なりに、学力向上(高卒、大卒の資格取得)をしたいならいくらでも手段があります。 働きながら通信学校で高校を卒業することも可能です。 中学浪人覚悟で公立を受けても良いではないですか? その苦労は必ず将来倍以上になって報われます。 目的もなく高校に行くより、1年遠回りしても行きたい学校に行けばいいじゃないですか。 それが嫌で、ただ然したる目的も無く皆と同じでありたいのなら、社会環境の変化で負担が重くなったといって不平不満を言うべきではありません。 「皆と同じ高校生でありたい」ということだけが目的なのだから。

私の友人にも中浪したヤツ、居ますよ。 高校に入れなくて、一浪して稼いで高校に入ったやつが。 その後、彼は希望大学に進学し、今は希望していた私立高校で教師をしてます。 今1年間遠回りしても、20代、30代になるころには全然関係ありません。 そして、バブル経済が破裂し、家庭の事情で学校を中退せざろう得なくなった連中も沢山見てきました。 中には死んだヤツもいます。 私学助成削減や橋下氏にちょっとやりこめらた位で、泣いたり絶望したりしてたら、この先の世の中渡っていけませんぜ。 自分の将来のレールは自分で敷いていかなきゃ、誰も他人のレールは敷いてくれないのだから。
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2008年11月06日

マケイン上院議員の素晴らしさ

昨夜、書いた記事をアップしようとしたら・・・「メンテナンス中です」 _| ̄|○ 。
↑ショック大きい・・・。

昨日、13時も過ぎ遅い昼食を食べていると、共和党のマケイン候補が「大統領選の敗北宣言」の演説を行う模様を某公共放送でLIVE中継していた。 「敗軍の将、多くを語らず」なのでしょうが、演説も上手いですねえ。 同時通訳を介してであっても、そう感じますよ。 日本は選挙の演説は、当落後の演説も、候補者の多くは演説は下手ですよ。 煩いだけの人も(笑)。

マケイン候補は、選挙人獲得数ではオバマ候補にダブルスコアで敗れたが、オバマ氏が過半数を獲得することは避けようのない状況になった時、地元フェニックスの支持者の前でこう演説した。 「私は、オバマ氏に電話で祝意を述べた(同時通訳)」と。 支持者のブーイングを抑えながら演説を続け、オバマ氏の勝利を「歴史的偉業を達成した」とオバマ氏を称えてみせた。 また、投票日前にお亡くなりになったオバマ氏のお婆さんへの哀悼の意を表すことも忘れなかった。

そして、
「These are difficult times for our country, and I pledge to him tonight to do all in my power to help him lead us through the many challenges we face.」(米ロイターの電子版より)
の発言である。
『わが国は困難な時にあり、そして、直面する多くの難問に彼が我々(国民)を終始リードするにあたり、私自ら全力で役立つことを、今夜彼に誓った。』(彼=オバマ)
(↑英語能力は中学生レベルの私なので(苦笑)、正しいかどうか分からない翻訳です(笑)。)


同時通訳を聞きながらマケイン氏の演説を観ていたのですが、さすがに「アメリカの大統領」を窺う人物だ。 政策に意見の違いがあっても、選挙で結果が出て負ければ潔くそれを受入れ、次に、自国のために自分ができることに全力を尽くそうという気概をもっているということは大変すばらしい・・・と、感動する私がいた。

翻って、日本の政治家は・・・。 情けない限りですな。 マケインも「比べて欲しくはない」と言うだろう。(笑)
参院選で破れても首相として居座り、党内で首相の座をたらい回しにし、国民へ信も問えず右往左往している。 その上、国民のためになる政策は、全くと無いといっても過言でなかろう。 挙句に国会のねじれ現象を非難し、直近の民意が反映された参議院からの修正案や法案は受け入れようともしない・・・。 本当により良い法案を作る気があるのかね、与党自民公明は・・・。

以前の記事にも書いたが、自らの案を受入れてもらうには、まずは相手がどう考えてるのか良く聞かなければ、議論にならない。 議員立法案ならまだしも、政府(官僚制作)提出法案ならば猶のことだ。 官僚の作った法案に民意は反映されていない。 与党がちょと修正することはあってもね。 これでは、憲法の規定する「国の最高機関」の名が泣くぞ。


オバマ氏の勝利宣言の演説については・・・他に誰かが書いてるでしょうから、特に取り上げません。
オバマ氏が米国の大統領になって、日本がどう影響を受けるかは・・・また別の機会にでも・・・。

ただ、今日のTVニュースなどで、オバマ新大統領誕生による日本への影響について、お追従団体の記者クラブのインタビューに太郎ちゃんが答えてましたが、考えが甘いですねぇ。 河村官房長官も記者会見で「日米関係は(米政権が)民主党に代わっても全く揺るぎない」とか言ってますが、揺るぎの無いのはオバマ氏が発言した「日米同盟」だけでしょう。 つまり、軍事に関する「日米安保条約」だけは揺るがないのであって、日本との経済や貿易、その他のことをオバマ氏はこれまで特に発言してませんから。 11月15日のワシントンでのG20緊急サミット出席の際も、太郎ちゃんとの会談についてはオバマ氏側が時間が取れないと断ってますが、他の主要国はすでにオバマ氏との極秘会談のスケジュールを押さえてますよ、きっと。 例え10分でもね。 他国の外務省は数ヶ月前からオバマもマケインも抜け目無くスケジュールを押さえてますって。 それが外交ってもんでしょ。

posted by 少彦梛 at 12:17| Comment(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月04日

結婚したら富山県に住もう!(笑)

ご結婚されて、お子さんを儲けようとお思いの20代から40代の皆さん、是非、富山へ移住しましょう!

10年ほど前まで、旧自治省だったか、毎年住みやすい「市」のランキングを発表していた。 ランキングトップ10の内、6市か7市は富山県内の市であった記憶がある。 教育御三家といわれる中にも入っていて(他は、秋田、福井)、小6・中3の全国学力テストも3位〜5位以内に入ってる。 持ち家率も国内トップクラスだ。 もっとも、住みやすい「市」ランキングは評価方法が不透明だとか、国がすべきことかとの反発があり今では実施されていないし、平成の大合併もあり、10年後の現在も住み良いかどうかはわかりませんが・・・。 しかも平成の大合併で15市町村(10市4町1村)と、県下の自治体の数は日本で一番少ない県になっている(ウィキペディアより)


閑話休題

別に富山を宣伝するつもりではなく、今回富山県を取り上げたのにはかなりの説明がいる(苦笑)。

昨日のテレビ朝日の夕方のニュースで、都内の「総合周産期母子医療センター」の昭和大病院に24時間密着取材した模様が放映されたのがきっかけだ。 同様の報道が産経新聞の電子版「過酷な産科医師勤務」で取り上げられてるのでそちらもご参考に。 その中で印象に残ったのが、当直の産科医は3人とも手が開いてるのに、新生児集中治療室(NICU)のベットが開いていないため、救急の妊産婦さんが受入れられないという状況だった。 既に臨月で、事前検診などにより胎児の健康状態にまったく問題がなく、NICUは不要と判っていれば妊産婦さんを受入れることも可能だろう。 しかし、「総合周産期母子医療センター」に救急搬送される多くは、重い妊娠中毒症や切迫早産などといったリスクの高い妊娠さんだ。 母親が助かっても未熟児などの新生児の集中治療ができないなら、救急の受け入れようがない・・・。 新生児は確実に亡くなるであろうから。

それでも、病院側の状況がどうあれ、何としても受入れろと強弁する人もいる。 先日の墨東病院に救急搬送された脳内出血の妊婦さんの事例もそのひとつだ。 最初の報道の姿勢は、明らかに受入れなかった7つ(後に8つと判明)の病院を責める論調だった。(無論、当直の産科担当医が一人しかいない状況にも非があるが、これは都知事の責任だ) では、例えば、貴方が交通事故に遭い頭蓋骨骨折や臓器破裂などの重症を負ったとしよう。 それなのに、病院にはICUの空きが無くても受入れろと言うのと同じである。 仮に緊急手術が成功しても、回復するための手段であるICUが無ければ、貴方は死んでしまうことは明白だろう。 生きるか死ぬかの境を彷徨ってる時に、無菌室ではない個室ベットに入れば、普通の風邪程度の弱い感染症でもオダブツだ・・・。 

話が逸れたが、以上のことからもNICUを増やす必要はある。 ただ、NICUは相当高額なものらしいし、もちろん運用コストも相当かかる。 でも、命を金には換えられまい。 税にしろ何にしろ、医療費増は避けて通れまい。 ところが、だ。 新生児集中治療技術を持つ小児科医がこれまたいないのでNICUが増やせないと聞く。 当然ながら、新生児集中治療に精通した看護師も必要だ。 ただNICUを買い増せばいいというものではない。 例えば、フェラーリのF1カーを買えも、ライセンスを持つドライバーとF1カーに精通したメカニックを雇えなければ、F1には参戦できない。 F1カーがNICUであり、ドライバーが小児科医、メカニックが看護師だ。 今、産科医不足がマスコミなどでも叫ばれているが、小児科医も同様に不足しているのが現状である。 また、他の新聞紙面によれば、都道府県、病院によっては、NICUを出ても大丈夫なくらい小児が回復・成長しても、その児が次に移れる小児用ベッドの空きが無いという。 空きベッドが見つかるまでNICUからは出られない。 そのため、救急の新生児を受入れられないという悪循環が生じているところもあると聞く。

仮に小児用医療ベッドが充足しているとして、厚生労働省の通達(だと思う)によれば、出生数1000人あたりNICUが3床は必要とされると聞く。 しかしながら、数日前どこかの新聞(朝日新聞だったかなあ?)の電子版を読んだ時に、出生数1000人あたりのNICU数が書かれていたが、埼玉は1.4床、神奈川は1.7床、東京でも1.9床だった(と思う)。(スイマセン、再検索しましたが削除されたのか、当該記事が見つかりませんでした) 出産の絶対数が他府県より圧倒的に多いと思われる首都圏なのに、あまりに少ない。 そして、その記事で強烈に記憶に残ってるのが富山県なのだ。 なんと、出生数1000人あたりのNICUは6.9床! 全国1位なのだ。 確か2位の山口でも4.5床くらいだったと思うので、抜きん出てる床数である。 何かの間違いではないのか?と思ったほどである(笑) そもそも47都道府県で、出生数1000人あたりのNICUが3床を越える県域は、10県もないのだ。 こんな状況で「リスクの高い妊産婦を受入れろ」というのは元々無理な話しだろう。 

もうひとつ、妊婦がリスクの高い出産に到る原因として、現代の女性の食生活や、過度のダイエットも関係しているのではないかと個人的には思っている。 特に、ジャンクフードやファストフードといった食生活の多い今の10代後半から20代にかけては、今後出産するにあたって、母子ともに出産リスクは今以上に高くなるのではないだろうか。 もちろん、私は専門家ではないのであくまで「勘」でしかありませんが・・・。


そこで漸く、この記事の最初の記述のご提案である。 結婚して子供を望むなら、NICUの充実した富山県へ引っ越しましょう。 ひとつのリスク回避である。 点数のみで学力をはかるのもどうかとは思うが、富山は教育県でもあるし、生まれた子供にとっても環境にも良いのではなかろうか。 悪い遊びを覚えるようなところも少ない田舎だろうし(笑)。 でも、妊娠が判ってからの引っ越しは難しいと思う。 持ち家率が高いということは、賃貸住居は少ないと思えるからだ。 出産するまでに住む所が確保できないかもしれない。 

もっとも、1つ大きな問題が・・・。 仕事は無いかもしれない(爆)。 まあ、金沢あたりなら通勤圏内だと思いますけどね。 
posted by 少彦梛 at 23:45| Comment(0) | 医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月03日

低レベルの政策審議より、さっさと解散を

わが国政府のトップの太郎ちゃんが、「政局より政策」と叫んでから約1ヶ月経ち漸く「定額給付」とやらを含む『生活対策』を発表した。 「新たな経済対策に関する政府・与党会議」と「経済対策閣僚会議」とが合同で取りまとめたようだが、素人目に見ても「これが生活対策と言えるのか?」って感じがする。 まあ、個々の政策の内容の評価や期待される経済効果は、経済通などその筋の専門家が新聞紙面やテレビで侃侃諤諤喧喧囂囂やるでしょうから特には申し上げません。 ただ、一読してみて、政策の多くは、これまで自公与党が行ってきた愚策を焼き直しただけ。 「こんなものに1ヶ月も時を掛けて。ただ時間を浪費しただけじゃないか」というのが私の感想だ。

政府として今回の「生活対策」の目玉は、やはり、具体的施策でも一番最初に上がっている「生活支援定額給付金(仮称)」なんでしょうねぇ。 計5兆円の予算の4割にあたる2兆円を計上するくらいだから。 ただし、この「生活支援定額給付金」については、共同通信の電子版『定額給付金で見解相違』にもあるように、与謝野経財相の「高い所得層の人に生活支援というのはおかしい(主旨)」との考えに対し、中川財務相や公明党の山口政調会長は「早急に実施するためには支給事務が煩雑な所得制限には否定的(要旨)」のようだ。 リーマンブラザーザーズ破綻以降、「一気に外需落ち込み深くなると考えられない(要旨)」といった発言のように、甘い経済見通しの発言ばかりで国民からの信用度が落ちてると思われる与謝野経財相だ(ただし、大臣としては風評被害を起こす訳にはいかないから「悪くなる」などとも言えないのは理解できる)が、この定額給付金についての発言は彼の考えのほうが正しいと思う。(ちなみに、与謝野氏基準では私も給付対象者です・苦笑)

そもそも定額給付金はかつて公明党がごり押しした「地域振興券」と同じような愚策だ。 旧経済企画庁が「地域振興券の消費喚起効果等について」で報告したとおり「消費の喚起効果は約3割(意訳)」という愚策をまたやろうというのである。 いや、地域振興券は15歳以下の子供のいる世帯主や、また、老齢福祉年金・障害基礎年金・特別障害者手当等の受給者など社会的弱者への給付だった分大義も立ち、今回の「定額給付金」より余程マシだろう。 「定額給付金」という2兆円ものバラマキを実施しても効果が無いどころか、将来増税をする理由(言い訳)の1つにしたいだけではないのだろうか。 


と書いてたら・・・今日のテレビ朝日の「TVタックル」でも同じような議論をしてた(笑)。 同番組中で、定額給付金を高額所得者にもばら撒くのはオカシイと突っ込まれ、自公側の出演者の小野寺五典氏、西田実仁氏が「まだどのように給付するか決まっていない」といった旨の発言をしていた。 しかし、自民財務相や公明政調会長が全国民にばら撒くと言ってるのを、お二方がひっくり返せるのでしょうか? まあ無理でしょうね。 そして、今回同番組に出演していた宮崎哲弥氏は「経済対策として有効なのは中小企業への資金繰り対策だけ(要旨)」と発言していた(*1)。 宮崎氏の足元にも及ばない私のような素人でさえ「効果が期待できない」と思う愚策しか提出できない与党。 金融危機と不況がヒタヒタと迫っている現在、無能な与党はさっさと下野するか、解散総選挙で国民に信を問うべきだろう。 愚策な法案を審議して、無駄な時間を浪費している場合ではない。 私はそう思うのだが・・・。

(*1):ただし、経済対策として番組中に提示されたフリップの中で、ということかもしれない

<後記>昨日のTVタックルでは宮崎氏と大竹氏が激高して一触即発の場面があって、野次馬根性の私としては面白かったですね(苦笑)。 そういえば、先々週くらいの金曜日の「太田光の私が総理大臣になったら」でも、米国人(?)のケビンとやらの発言に「じゃぁ、アメリカ国民はイラク戦争の責任は取らないのか!」と激高されてましたねぇ。 バカが多くて最近お心がお疲れなんでしょうか…、宮崎氏。(笑) 宮崎哲弥さん、応援してるので頑張ってくださいね。 


<追記>11/4 16:50 後記、および、加筆修正しました。
posted by 少彦梛 at 22:26| Comment(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月25日

腰抜武士の後思案

腰抜武士の後思案(こしぬけぶしのあとしあん)。 臆病な武士(腰抜武士)はイザというときに役に立たず、事後に無益な思案をめぐらすことを表わす、ことわざ。

先日、当ブログの「労働者としては扱われないのか?」で昨今の医療崩壊について思うところを書いた。 その中で「大都市以外の地方都市」では人材不足・医師不足で、過酷な労働条件を強いられてる、とも書いた。 ところが、時事通信社の電子版「24歳看護師の過労死認定」によると、昨年、東京都済生会中央病院において、看護師が宿直明けに意識不明になり過労死したと報じられた。 記事によると、その看護師さんは当時24歳で、担当する手術室はもともと26人態勢だったのが同僚の退職等で18人になり、新人の補充後も人員不足の状態は続いたらしい。 その看護師さんは4月から5月にかけ「25時間拘束」の宿直勤務を8回こなしたほか、土日に働くこともあり、残業は月約100時間だったそうだ。 一般のホワイトカラーの会社員でも月100時間の残業はかなりキツイが、医療現場、しかも人の生死に直結する手術の現場で、かつ、仕事に不慣れな新人の教育もこなしていたのだろうから相当の肉体的精神的ストレスが掛かっていたのだろう。 医療従事者でない私でも、過酷な状況の想像はつく。

しかし、大都市東京の、それも著名な「北里柴三郎先生」が初代院長を勤めたことでも名の通った、東京都済生会中央病院ですら『人員・人材不足』が起こっている。 驚愕的な報道だ。 医師、看護師の人員・人材不足はすでに大都市東京の医療現場すら蝕んでいる・・・。 都内に住む人はその事実を知っているんだろうか?

そして、もうひとつの事件。 脳内出血を起こした妊婦さんが、かかりつけだった産科院が必死に探したにも係わらず、対応できる転送先の病院が1時間近く見つからず、結果として妊婦さんが亡くなるという痛ましい事件が発覚した。 結局、「総合周産期母子医療センター」で「東京ER(総合救急診療科)」にも指定されている『東京都立墨東病院』に受入れられ、帝王切開による出産と、そして妊婦さんの脳内出血の手術が行われた。 しかしながら、残念なことにその3日後、お母さんの方は亡くなったという。 ご遺族の方はもちろんのこと、かかりつけの産科医さんも「もっと早く頭部の処置ができればお母さんの命も救えたのではないか」という想いはお強いだろう。 担当の産科医さんは自責の念にかられているかもしれない。 受入れた都立墨東病院は、昨年末に産科常勤医1名、今年6月に研修医1名が退職したため、7月から土日と祝日のセンター当直医を本来の2人から1人に減らし、週末の受入れ態勢が整っていなかったそうだ。 「リスクの高い妊娠に対する医療、及び、高度な新生児医療等の周産期医療を行うことができる医療施設」であるはずの、しかも人材を集めやすいと思える「東京」の、総合周産期母子医療センターですらこのような状況・・・。 日本の産科医不足は相当深刻なことは間違いない。

詳しいデータがある訳ではないが、医師については、産科医、小児科医、麻酔医、外科医の順で不足しているらしい。 どの診療科も、特に命に係わる緊急時には無くてはならない医師達ではないだろうか? とはいえ、一人の医師を育てるには相当な時間がかかる。 ブルーカラー・ワーカーとは異なり、人が足りないからと募集広告を打てばすぐ集まるといった類のものではない。 日本全体の「医師」というリソース、特に先にあげた4つの科の専門医数には限りがある。 殊更、救急医療においては、このリソースを効率的に、そして効果的に活用する施策を早急に打つ必要があると言えそうだ。 もちろん、医師も人間であるから無理はさせられない。 恐らく、そのためには、リソース管理といった仕組み(システム)作りやカルテの電子化とネットワーク(データ流通)構築等が必要であり、相当のコスト負担が求められる。 千、二千億円では利かない。 場合によっては都内だけでも1兆円超えということも・・・。 ただ、これは、小泉純一郎氏が、厚生大臣時に「医師削減」を閣議提出・決定し、その後、彼が総理大臣の時に医療に関する制度を大幅に変えたことに連なる失政のツケなのだ。 投票という間接的な行動であっても、そういう政権を選択してきた国民がそのツケを払うしかない。 失政のツケは結局税金という形で国民が負担せざろう得ない。 国会議員も官僚も払ってはくれない。 むろん、ツケをお金をかけずに済ますこともできる。 救急医療を切り捨てるという選択肢だ。 その時は、自分の命でその代償を払う場合があることを覚悟せねばならない。 放っておけば、救急医療の状況は今より確実に悪くなる・・・。


閑話休題

一般医療にしろ、救急医療にしろ、医療の現場への対策は焦眉の急の事態にあるのに、今回の妊婦さんが脳内出血でお亡くなりになった事件については「いい加減にしろよ」と思うことが2つある。

まずはマスコミの報道だ。 今回も、奈良県で破水した妊婦さんが17件(だったかな)の病院が受入れなくて亡くなった事件があった時と同じく、センセーショナルに書きたて、事の本質を深く掘り下げた取材をした報道をせず、「また悲劇」などと書きたて悪者探しに終始し、騒ぎ立ててるだけだ。 以前、福島県立大野病院の産科で帝王切開手術を受けた産婦が死亡したことについて、執刀医が逮捕されたことをセンセーショナルに書きたて、それが産科医を目指す医学生の減少といった結果に繋がった、と言われている。 報道が産科医減少といった事態に向かう片棒を担いだという反省はないのだろうか。 今回の報道で、また医師の産科医離れが加速するのではないかと懸念している。 書くなとは言わない。 ただ、重箱の隅をつつくようなことを報道の自由と言うのはいい加減に止めにして、現実を丹念に調べあげる義務と責任を果たした上で、報道の自由を闊歩していただきたい。 特に、大手新聞社やTV局には心すべきだろう。

例えば、ある番組で「産科医1人でも、ERなんだから患者は受入れるべき」という意味合いの発言もあったようだ。 しかし、今回の脳内出血の妊婦さんの処置の場合、ICUとNICUを確保した上で、必要な医師が
 脳外科医:2人
 産婦人科医:2人
 新生児科医:1〜2人
 麻酔科医:1人以上
であったろうと言う方もいらっしゃいます。 この人員が正しいかはともかく、きちんと取材していれば番組内で「産科医1人でも・・・」といったいい加減な発言はあり得ない。 こういう輩は、恐らく、産科医が1人なのに患者を受入れ、患者がもし亡くなれば「なんで受入れたのか」と責める側に廻るのだろう。 残念ながら、今のところ、きちんと取材したと思われる真っ当な報道には接してない。 単に耳目を集めるからといった理由で情報をタレ流すだけでなく、きちんと検証もしてもらわねば、戦争に突っ走る片棒を担いだ報道のニノマエだろう。 
 

もうひとつは、舛添厚生労働大臣と石原東京都知事のクダラヌ論戦だ。

舛添厚労働大臣が記者会見で「周産期医療問題の解決に力を入れてきたのに、このようなことが起きたのは羊頭狗肉だ」とか「医療体制が整備されているはずの東京都でこのような事態が起きたのに、妊婦の死亡から2週間以上も厚労省に報告があがってこないのはどういうことか。とても都には任せられない」と批判したと思えば、(そもそも報告義務なんてあるの?)
石原知事は「東京に任せてられないんじゃない。国に任せていられないんだよ。厚労省の医療行政が間違ってきて、お医者さんがこういう体たらくになった。(中略)こういう事態つくったの国じゃないですか。国に任せていられないんだよ。誰がやったんですか?国に任してたからこういうことになっちゃったんだよ。反省してもらいたいのは厚労省で、今担当のその大臣様だね。物言うならもう少し冷静に頭冷やして物言った方がいいと私は思いますけども」。

まあ、どちらも呆れてモノが言えません。 まるでガキの喧嘩のようだ。 今回の都立墨東病院の件については、厚労省も都も、両者ともイザという場合の備えに全く役にたたず、事後に無益な言い争いをしている・・・。 まさしく、タイトルにした「腰抜武士の後思案」そのものだろう。 石原知事にいたっては、今回妊婦が脳内出血を起こしたことを「レアケース」とまで言い切ってる。 ホントにレアケースなのか? 確か、昨年8月にも妊婦が出産時に脳内出血で亡くなったというニュースがあったはずだ。 その時も20近い病院に受入れを断られていたと記憶している。 症例は少ないかもしれないが、特殊な例(レアケース)と、少なくとも専門外の石原知事が言うことではなかろう。 少し話が逸れたが、お二方とも今回の件の責任者であることを自覚されてるのでしょうか。 また、国民、あるいは都民の命を預かる立場にあるのだから、お互い責任の擦り合いのようなことを言ってる場合じゃないことぐらい分からないんですかね。


最後になりましたが、今回取り上げさせていただきました、お亡くなりになった看護師さん、妊婦さんには、ご冥福をお祈り申し上げます。
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posted by 少彦梛 at 04:42| Comment(4) | 医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月17日

日本の新たな国際貢献の有り方

読売新聞の電子版「新テロ法案、衆院特別委で論戦スタート」にあるとおり、今日から「新テロ特措法」、所謂OEF−MIO(海上阻止行動)に対するインド洋上での参加艦艇への給油・給水活動を1年延長するための法案の衆議院テロ防止特別委員会の審議が始まった。 麻生総理は、「補給活動は、日本が国益をかけて日本自身のためにしてきた活動だ。」と言っていたが、そもそもこの給油活動をやめたらどんな「国益」が守れないのか? どんな「国益」が掛かっていたのだ? 彼の発言は勢いがあるように見えるだけで、いつも肝心のところが分からない・・・。 実を言うと、今日は体調が芳しくなく仕事を休んだのだが、体調も悪いし、しかしすることもないので床の中から国会の委員会中継をずーっと見ていた(苦笑)。

今回の委員会審議で、特筆すべきと思う政府回答は、河村建夫官房長官が、現在行われているテロとの戦いである不朽の自由作戦(OEF)とそれに伴う海上阻止行動(OEF-MIO) は「国連憲章第51条基づく、米国の自衛権の行使とそれに伴う集団的自衛権の行使である」と答弁したことだ。 つまり、日本の給油活動の後ろ盾である「新テロ特措法」の目的中に「国連安保理決議の第1368号、第1373号、第1776号」をわざわざ持ち出しているが、給油活動の実態は「集団的自衛権の行使」であることを間接的に認めてしまったことだろう。 つまり、給油活動は国際貢献ではなく、米国を始めとした連合国の自衛権行使への参加であることははっきりしたのではないか? 日本は集団的自衛権は行使できない、というのが政府と与党自民党の見解だ。 この矛盾を報道各社がこの矛盾を取り上げ報道しないのは、私には不思議でならない。


また、今回の委員会で民主党が提案してる「アフガニスタン復興支援特別措置法案」も同時に審議される。 私自身、この法案を読んだ訳ではないが、この法案の主旨(特徴)は以下のとおりと聞く。
 ・抗争停止合意の形成の支援及び合意成立後の復興支援活動の実施
 ・計画実施前の国会承認と国会への報告義務
 ・アフガニスタン人間の安全保障センターの設置
 ・自衛権の発動及び国連憲章第7章のに係る対応措置に関する基本原則の制定
  ( 安保理決議第1674号(2006/04/28) 「武力紛争と文民に関する決議」(武力紛争における文民の保護)に基づく活動)
 ・国際の平和及び安全に対する脅威に対し直ちに必要な措置を執るための組織設置の検討
 ・国際連合の決議に基づくテロ対策海上阻止活動に対する参加の検討(→海賊行為の多発)
  ( 安保理決議第1816号(2008/06/02)安保理決議第1838号(2008/10/07) 「ソマリア情勢に関する決議」(ソマリア沿岸、アデン湾での海賊行為の阻止)活動など)

これらほとんどは国連の安保理決議に沿って国際貢献活動を実施すことに主眼に置かれてる。 また、アフガニスタンの国内の安定がテロ活動を抑制する効果があるとし、現在アフガニスタン大統領が軍事力によらず、ターリバーンとの和平への道を模索していることを後押しすることを目指しているらしい。 委員会での民主党案への質問にも「アフガニスタンの生活再建こそがテロ対策」「アフガニスタンの和平には『油』(洋上給油)でなく、『水』(を供給して農業の発展)を」と民主党・犬塚直史氏が答弁してきた。 つまり、ペシャワール会などが行ってきた渇水対策やケシ栽培から食糧生産への転換活動などの人道復興支援を日本国が行うことで、米軍やNATO軍がテロとの戦いで巻き添えにしてきた一般市民の憎しみからの負の連鎖を断ち切り、テロの温床を無くして行こうということらしい。

もちろん、仮にこの法案が通って実施する段階になれば、さまざまな課題も想定される。 例として、イラクの復興支援を行った際には、現地の人からは「雇用」を期待されたが希望に添えなかったことや、せっかくの水道の給水施設を造っても運用・維持管理をする技術者の育成を怠ったため満足に水道施設の運用できなかったなど、多くの事例、問題があった。 また、アフガニスタン内で武装勢力に襲われた時、「安保理決議第1674号(2006/04/28)」に乗っ取って行動するとはいえ、陸自の銃火器の使用についての議論など、クリアすべき点はあると思う。 もしかすると、「ペシャワール会」の伊藤和也氏に続き日本人の犠牲者が出ることがあり得るのも確かである。 しかしながら、日本がとるべき新しい国際貢献のあり方として、民主党の法案を基に国民が議論することは大切なことではないだろうか。


今回、もうひとつ衆議院テロ防止特別委員会の審議で特筆すべきと思う、民主党の長島昭久氏が質問した、日本のシーレーンにも関わる「ソマリア沿岸、アデン湾での海賊行為の阻止活動」についての論議もあったのだが、これについては次回に述べたい思う。


最後になりますが、エチオピアで拉致され現在ソマリアで拘束されていると言われている国際NPO「世界の医療団」の日本人医師とオランダ人看護士が無事に、また、早期に開放されることを心よりお祈り申し上げます。
posted by 少彦梛 at 23:53| Comment(0) | 軍事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月16日

お詫び

これまでの記事において、自ブログ内のリンク先設定に誤りが数件ありました。 謹んでお詫びしますとともに、修正致しましたことをご報告いたします。
また、報道各社の電子版につきましては、報道各社の方針(掲載期間など)により記事(リンク先)が削除される場合があります。 どうかご了承ください。
posted by 少彦梛 at 12:43| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月13日

給油活動は国際貢献になっているのか?

ロイターの電子版「対テロ新法改正、審議入り」によると、先日10日に、インド洋での海上自衛隊による給油活動を延長するための「テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法」改正(延長)案について政府側が趣旨説明し、審議入りしたそうだ。 早ければ、参議院で否決後、衆議院の3分の2条項を使って24日に再可決、成立する見込みという。 また、時事通信社の電子版、「アフガン支援、給油に専念」によると、アフガニスタンへ戦闘部隊を派遣していない日本やNATO加盟国に対し米国からアフガニスタン軍育成のために少なくとも1兆7千億円の拠出を求めている件について、「給油活動継続が現在の最大の仕事で、これを確実にやることが一番大事だ」と述べたらしい。 別の報道では、9日にキーティング米太平洋軍司令官と会談した浜田靖一防衛大臣も、「活動の意義を国会、国民に丁寧に説明して支持を得るよう努力したい」と応えたという。 少なくとも、政府・自民党はインド洋上での無料給油スタンドを継続する気マンマンのようだ。 ただ、旧テロ特措法の審議の際も、現行の所謂新テロ特措法の可決にあたっても、安倍政権や福田政権が国民に丁寧に説明してきたとは思えない。 昨年の各報道機関の世論調査でも、約6割の国民が、海上自衛隊のインド洋上での給油活動継続に反対だったと記憶しているが、それが証明している。 今回も「国民が納得できる」説明は期待できまい。


実際のところ「テロ対策海上阻止行動」がテロとの戦いに功を奏してるとも思えない。 事実、IMFの報告では、'07年のケシの生産量は、ターリバーンがケシ栽培を禁止した'01年の44倍の8200トンにのぼるという。 国際市場に流れているアヘン(ケシから採れる)の90%はアフガンからのものと言われ、ターリバーンの資金源になっている。 このケシにより豊富な資金を得たターリバーンは武器を調達している。 そして '05年以降、アフガニスタンのテロ活動は再びターリバーンが勢力を盛り返し、治安も儘成らない状況だ。 英国軍の駐アフガニスタン最高司令官のカールトンスミス准将が、ターリバーンとの戦闘について「我々はこの戦いには勝てない」と悲観的な見方を示した、と英紙サンデー・タイムズ(電子版)が報じているという。 これらの状況は、テロ対策海上阻止行動が結果として役に立ってないことの裏返しではないだろうか。

また、新テロ特措法も直接的な実績を見ても首をかしげざろう得ない。 情報自体があまり公表されてないから分かり難い面もあるが、防衛省の資料や、昨年のテロ特措法(旧法)改正案が審議された時に提出された資料「テロ対策特別措置法に関する資料」(270P)を読むと、効果が無いことが読みとれると思う。 一部、'04年(H16)を抜き出すと、海上阻止行動(OEF-MIO)艦船の臨検で検挙されたのは以下のとおりである(防衛省公開分)。
 ・大麻約280万ポンド(1270トン?、末端価格約11億円)
 ・ライフル・軽機関銃540丁、同弾薬12000発、14.5mm機銃2丁、同弾薬84発
この間、海上自衛隊が給油したのは、約5万トン、約20億円。 少し時期はズレるが '04年度に海上自衛隊が給油活動に要した費用(歳出)は合計約82億円だ。 海上阻止活動に参加してる他国の艦艇の艦数は不明だが、「大金を投じて、成果はたったこれだけ?」という感が否めない。

それから、日本の給油した燃料が本当にテロ対策のみに利用されてるかも疑問だ。 新テロ特措法は、給油の条件を「テロ対策海上阻止行動」に使われるものに限定している。 ただ、これは参加国からの申請を信じるしかない。 だが、かつて米国の補給艦を介して米空母キティホークに間接給油されていたが、その時、実はキティホークがイラク戦争参戦の命を受け活動していたのではないかとの疑惑もある(米軍は否定。給油時はあくまでテロ対策海上阻止行動中であったと強弁している。給油後イラク戦争に実戦参加。)。 他にも '04年度にはパキスタンの軍艦へ約5300kLの給油を行っている。 米軍、仏軍に次ぐ給油量である。 そのパキスタンは、カシミール地方の領有権をめぐって対立するインドとは現在停戦状態であり、対インドを想定したパキスタン海軍の軍事演習に流用されている・・・可能性も考え得る。 当時のパキスタンはムシャラフ大統領統治下にあったが、ムシャラフ大統領は軍出身(統合参謀本部委員会議長)であるし、パキスタンの情報機関・3軍統合情報部はターリバーンに資金支援しているという報道もされている。 極めて不透明な国であるのは事実だ。 

OEF(Operation Enduring Freedom・不朽の自由作戦)とその作戦の一部である海上阻止行動(OEF-MIO) は、国連での位置付けは、あくまで国連憲章第51条基づく「米国の自衛権の行使」とそれに伴う集団的自衛権の行使である。 世界各国は、給油を含むロジスティクスも軍事行動と認識している。 つまり、インド洋上での海上阻止行動に参加する艦船へ給油することは、他国は「集団的自衛権の行使」に他ならないと認識していることとなる。 日本が国内で「集団的自衛権」に当たらないと強弁しても、それは国内だけ通用する言い訳であって、日本政府が普段好んで使う言葉である「グローバル・スタンダード」ではないことを銘記していただきたい。 実際、昨年、当時の防衛大臣であった小池百合子氏がパキスタンへ行き、記者会見で「給油活動を中止することは国際社会やテロリストに「ネガティブなメッセージ」を与えてしまう」と発言。(小池氏はイスラム圏であるエジプトのカイロ大卒というが、イスラム社会であるパキスタン国内でこのような発言をした場合、イスラム原理主義者へ与える影響が大きいことを考えはしなかったのか?)

その後、アフガニスタンで平和貢献活動をする民間団体・NGOは現地市民による敵対感が強くなり活動を縮小せざろう得なくなったらしい。 また、パキスタンでの小池氏の発言が、8月にNGO・ペシャワール会の伊藤和也さんが拉致された原因、または、遠因になったのではないかとも言われている。 実際AFP通信の電子版「パキスタン情報機関が関与か」でも、伊藤氏の拉致にパキスタンの情報機関の関与が取りざたされている。 他の報道でも、パキスタンのイスラム原理主義者の関与が取りざたされているのも事実だ。 少なくとも、これまで敵対視されていなかった日本人も、現在ではパキスタン・アフガニスタンの両国の国民からは日本も米国に加担(集団的自衛権を行使)する敵国の一員と見る市民がどんどん増えているようだ。


軍事力ではテロは解決できない。 先の英軍准将の言葉も、英軍が、アイルランド独立闘争として対英テロ闘争を繰り返していたIRAを武力だけで封じることができなかった経験を踏まえての発言ではないか。 武装闘争に対して軍事力はあるていど必要なのは分かるが、米国のように軍事力一辺倒では解決しない。 強大な軍事力投入によるテロとの戦いが逆にテロ活動を拡大している結果になっている。 米軍などの軍事行動の犠牲になったアフガニスタンの一般市民が、 '05以降の累計で3200人を越えているという調査報告もある。 犠牲になった民衆の身内の多くがテロ活動に身を転じたり、あるいはテロリストを匿うのが現実として起こっている。 アフガニスタンの副大統領が、和平に向けてターリバーン側と交渉を開始したらしいが、ターリバーン側は「外国軍がアフガニスタンから出て行かない限り和平には応じられない」と主張しているという。 テロとの戦いと称する軍事行動がアフガニスタンの和平を阻害しているという一面も存在する。 なにも、軍事力を全否定するつもりはない。 テロリストによるゲリラ活動(自爆テロ含む)などの武装闘争から民を守るには、軍事力も必要だ。 ただ、テロリストを攻撃する場合は、必要以上の軍事力行使(空爆など)は一般市民を巻き込み、それが結果として新たなテロを生む。

閑話休題

日本も、自衛隊の補給艦、護衛艦の派遣といった、米国の行う軍事力行使優先のテロとの戦いに追従する道をもう一度見直し、新しい手法によるテロとの戦いを議論し、模索する時期に来ているのではないでしょうか? 合わせて、国際貢献に寄与しない、もしくはその度合いが低いインド洋上での海上阻止行動の補給活動はもう止めるべきだろう。
posted by 少彦梛 at 13:33| Comment(0) | 国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月10日

労働者としては扱われないのか?

朝日新聞の電子版、「林を抜けると一面ピンク」によると、長野県箕輪町で「高嶺(たかね)ルビー」という赤いソバの花が満開だそうだ。
見ごろを迎えた赤ソバの畑=長野県箕輪町、加藤丈朗撮影.jpg
加藤丈朗氏撮影
蕎麦好きの私とすると、11月下旬頃から出回る新ソバで打った薫り高い蕎麦が今から楽しみなのだが・・・。 ただ、ここ数年、その時期出かける時間が取れなくて、お目当ての蕎麦になかなかあり付けない(涙)。 

まあ、時にはそんな楽しい話題も書きたいのだけれど。 昨日は日経平均株価が9千円割れ寸前でしたが、翌日の今日にはもう8千円割れ目前。 はてさて、どこまで下げ続けるのでしょうか。 明日からG7の財務相・中央銀行総裁会議があるそうだが、私としては然したる成果は期待できないと見ている。 まあ、この話題は日経平均が7500円割れ(汗)するか、政府から新たな金融政策等が出た時にしたいと思います。


今日の本題は、昨今の医療崩壊について。

毎日新聞の電子版「女性産科医、妊娠中も当直減らず」によると、法律で義務付けられた育児休暇制度が無いなどのため、産婦人科で働く女性勤務医が妊娠・育児中であるにもかかわらず、当直(夜勤)を続けざろう得ない状況であり、当直回数を減らすなどの対応すらしていない病院が5割強もあるという。 確かに、産科医そのものの減少に拍車がかかっており、人材不足がその背景にあるのだろう。 出産をする妊婦さんも、自分の担当医は男性であるよりは同じ女性を望むだろうから、経営する立場の病院側としても女性産科医に働いて欲しいという一面があるのかもしれない。 しかし、何故産科医はこれほどの人材不足になったのだろうか。 日本の出生率、つまり生まれてくる赤子の数は年々減っているのだが、それに見合う以上に産科医のなり手が減っているのだけではないと思われる。 インフォームドコンセントやそれに付随する同意書の作成などなど・・・仕事量も増えたのだ。 患者一人当たりにかかる時間も増えていることも大きな要因の1つと思われる。

だが、勤務医は労働者として見られていないのか?

実際、出産は昼夜問わずだし、必ず予定日に出産になる訳でもない。 ましてや、母体にも胎児にも気を配らねばいけないのだろうから、医師としては相当の重圧があると思う。 それ故、産科医にはなりたくないと思う医学生も多いのだろう。、更に拍車をかけたと思われるのが、福島県立大野病院で帝王切開を受けた女性が亡くなった件で、マスコミなどがセンセーショナルに報道し、執刀した産科医が業務上過失致死と医師法違反の容疑で逮捕、起訴されたことだろう。 この事件以後、ますます産科を敬遠する傾向が強まったとも聞く。 しかしながら、事は産科医に限らず、医師の総数そのものが減っているのだという。 もともと厚生省は '80年代中頃から医大の学生の定員を絞ってきた(医師過多で収入が落ち込むことを恐れた日本医師会が圧力をかけた?)。 しかも '90年代後半の頃だったか、閣議決定により医療費抑制施策として(直接はそう書いて無いが)大幅な医師数の抑制が行われたと記憶している。 当時の厚生大臣は小泉純一郎氏だったはずだ。 所謂、医療費亡国論の始まりだ。 医療費抑制に一番手っ取り早いのは、医師の数を減らすことだ。 医師がいなければ患者は病院に掛かることができず、結果として健康保険を利用できないから医療費が減る。 暴論のようだが、事実そうなのだ。 例えば、風邪をひいても医者にかかられず市販薬で済ませてもらえばいいのだから・・・。 

医師不足や医療崩壊など世間が騒ぎだし、2年ほど前になって、厚生労働省は「医師の需給に関する検討会報告書」を出した。 大まかに言うと、ここでは確かにマクロ(総数)でみられる医師数は需給バランスとしてみると不足していることを認めつつ、 '22年には需給バランスは均衡するという。 そして、 '40年には概ね1万人程の医師過剰になるような書きぶりだ。 ちなみに、この報告書は読んでて頭が痛くなるくらい難解です(苦笑)。 ただ、どうやら厚労省としては、医師数が不足してるのではなく、都市と地方間、それぞれの専門分野間において需要供給のバランスがとれていないことを強調したいようだ。 それを考慮に入れて読むと、この報告書自体が机上の空論に思える。 第一、検討会のメンバーを見ても、九州(恐らく福岡)と茨城県在住と思われる2名を除き、全員東京で働いているような方々だ。 医療現場の実態をどこまで理解しているのかは私には甚だ疑問である。


閑話休題

実際、女性の産科医に限らず、また、男女を問わず大都市以外の地方都市では人材不足・医師不足で、過酷な労働条件を強いられてるのは確かだ。 地方自治体などと共同で、中核病院自身、また、各病院間の連携、などといった努力は行われているがそれにも限界がある。 地域医療の維持は、医師および看護師個人に大きな負担を強い、つまり、個々人の頑張りに負ってるところが大きい様に思う。 それ故、「医者の不養生」という言葉もあるけれど、養生したくともできない医師は毎年増加しているのも現実だ。 体を壊して医者を辞めざろう得ない方も多いと聞く。 医師も人間だ。 無理を強いれば過労で倒れるし、病気にもなる。 私自身の身近でも、歳もさほど違わない内科の私の主治医が、昨年、突然心筋梗塞を起こし亡くなった・・・。 当直を多くこなすと当然生活は不規則になるし、自分の体調管理に裂く時間すら取れない・・・。 過酷な医療現場ほど、例えば産科医のように、辞める医師は多く、残った医師への負担も膨らむこととなろう。 負の連鎖が断ち切れないでいるのだ。 しかも、現行の研修医制度が施行され、人員不足に落ちいった医大病院が地域の病院から派遣医師を引き上げたことがそれに拍車をかけたのも周知の事実だろう。

厚労省は、昨年「医師確保対策について」をまとめたが、実情に合った施策かは疑問に感じる。 内容はいわゆる補助金行政であり、その効果についても甚だ疑問に思う。 また、今回の補正予算では当直勤務の医師に直接手当てを支給(病院へではない)することも盛り込まれたが、地方の人手不足の現場からは「同情するなら医師をくれ」といった想いではなかろうか。 労働行政も司る「厚生労働省」である。 医療行政だけでなく、勤務医や看護師が一般の労働者と同程度の「労働環境」で働けるよう、逆にいえば、病院の経営サイドが法律で義務付けられた労働条件を整えることができるよう、対処することは急務であると思う。 また、既に医師全体の3割を占める女性医師への労働環境改善は特に必要だと思う。 助産師さんの増員や、医療秘書の増員など、医師でなくともできる業務を賄う人員養成も必要だ。 そして、出産などで退職を余儀なくされた(子育てしながら勤務医を続ける労働環境にないため)女性医師の勤務医復帰の道を開くための研修制度など、特に地方で、早急に対応して欲しいと思っている。 

しかしながら、行政任せではなく、我々患者サイドも自ら地域医療を守るために行動すべきであろう。 昼間は待たされるからと夜間外来に行くなどといった、コンビニ受診をやめる。 ホームドクターを持ち、病院の掛け持ちをしないことにより無駄な薬の処方を避け、医療費を抑制する・・・、などだ。

医師は決して病気を治してくれるのではなく、患者自らが病気を治そうとする力に手を貸してくれる存在なのだと思う。 医療をひとつのサービス業と観る向きもあるが、それは間違いだ。 「患者と医師はパートナー」という自覚が自らになければ、治るものも治らない。 相手に無理を強いれば、パートナーは居なくなってしまうこと(=地域医療の崩壊)を我々は肝に銘じたいと思う。 もちろん、「医は算術」といったような病院や医師がいないか監視し、そういう輩を許さない、排除することも必要だ。 


最後に、兵庫県の県立柏原(かいばら)病院で、小児科が廃止になりかけた際、地元のお母さん達が立ち上がり、地域の小児医療を守った「県立柏原病院の小児科を守る会」を是非紹介しておきたい。
posted by 少彦梛 at 22:46| Comment(0) | 医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月09日

遅すぎる政権与党の対応

昨日、日経平均株価が1万円を割り9200円近くまで下落し、今日は多少の反発して株価は上がるかとも思ったが、終値は更に下落し9100円台となった。 9000円割れは目の前だ。 先月、『リーマン・ブラザーズの経営破綻』(9/16)の記事に「次の総選挙(衆院選)の投票日前までに日本の株価(日経平均)は1万円を割る」気がすると書いたが、麻生総理は衆議院の解散すら行えずに、現実となってしまった・・・。

今日の読売新聞の電子版「首相が追加景気対策を指示」によると、今日の午前中に麻生総理が自公与党の両政調会長に「国内の株価下落などを受け、追加的な景気対策を取りまとめるよう指示した」らしいが・・・。 対応が遅すぎるのではないか。 そもそも、リーマン・ブラザーズの経営破綻の記事を書いたときにも、当時の町村前官房長官や与謝野経済財政担当大臣の発言について「悠長なことを言っていられるはずは無い」と記したが、あの時に日本への影響に対する対策案を検討していればもっと早く手を打てたはずだ。 まあ、今更言っても詮無きことだが・・・。 ただ、今回の追加景気対策案も然したる効果は見込めないだろう。 検討されるであろうと言われる、〈1〉証券優遇税制拡充、〈2〉企業の設備投資を促す減税、〈3〉住宅ローン減税の延長・拡充・・・などが柱と云われるが、果たしてどのくらい経済へのカンフル剤としての効果があるかというと、甚だ疑問である。

例えば「証券優遇税制拡充」も、株の配当を300万円(未定)まで非課税にするというが、今回の株式1万円割れ以前に多くの企業が経常利益見込みを大きく下方修正していることから、そもそも「配当があるかどうかも分からない」状況だった。 そこへ今回の株暴落だ。 企業収益の落ち込みは、先の収益見直し時から更に大きくなるだろうから配当が見込める企業は極僅かではないか。 とすれば、今回の優遇税制案が株価安定・上昇、株購入に有効な手立てとなるとは思えない。 「設備投資減税」も、GDPの6〜7割を占める一般消費の回復見込みがなければ、メーカー側も「減税」があるというだけでは設備投資に踏み切り難いだろう。

「住宅ローン減税」にいたっては、この減税を延長したところで新規住宅建設の増加には繋がるまい。 そもそも姉羽氏の「耐震偽装問題」を発端に、昨年、建築に関する法改正をし偽装チェックを厳重にしたまでは良いが、法の施行に向けての準備を国交省が怠ったため、「建築確認申請」が積滞し、多くの住宅は建設着工そのものができない状況に陥った。 そのため、昨年度の住宅着工件数は前年度比3割減だったとも聞く(要確認)。 しかも、確かこの10月からだろうか、一級建築士も「構造設計」と「建築設計」の2つの資格が新たに必要となったらしい。 つまりこの新たな2つの資格を取得しないとこれまでとおり設計の仕事ができないから、勢い、建築士の人員も減るだろう。 ましてや今年に入ってからは金融庁が銀行各行への監査(資本比率など?)を厳格化したらしく、貸し渋りが横行しているとも聞く。 住宅ローンを借りられなければ、家は建たない。 住宅建設については行政の引き起こした「官製不況」という感が否めない。 加えて首都圏では1万戸以上の分譲マンションの在庫があると聞くし、とてもじゃないが「住宅ローン減税」の延長によって住宅着工件数が増えるとは思えない。 着工件数減少への歯止めにすらならないかもしれない。


リーマン・ブラザーズの救済について米国政府関係と米大手銀行などの協議が報道され表に出た時に、政府がまともに日本への影響を検討していれば、現在の日本の株価はもう少しマシだったかもしれない。 過ぎた時間に「もしも」は無いが・・・。 少なくとも、その時期、自民党が「総裁選」というお祭騒ぎを繰広げていたツケは大きい・・・。
posted by 少彦梛 at 23:41| Comment(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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